日が暮れて、テーブルに食前酒が配られ、いよいよ始まる。
ミエコお姉様とテノール歌手前田さん、ピアノ演奏藤原さん、の3人が登場。
メゾソプラノのお姉様の「夏は来ぬ」から始まり、
テノールの「ヴォラーレ」に続き、
デュエット「エーデルワイス」あたりで、私も心の中で一緒に歌っている。
以後、歌劇「サムソン・・」や「トスカ」や「カルメン」から名曲が続く。
すっかり気分が高揚し、拍手喝采の中で終わった。
食事が始まる。
ワインがメインなので、食事はおつまみ的な量で、
さすがオークラ、大変おいしいが、、、量がさみしい。
とはいえ、コンサートが付いて、お酒は次から次へと配られ、
13千円あまり。(サービス料こみ)
まあ、納得はいくのである。
メインディッシュのお肉料理に差し掛かったころ、突然、
ぐらーぐらー・・・ゆらーゆらー・・・
船酔いしそうなくらい揺れが始まる。
地震がおさまらないどころか、だんだん大きくなる。
「あきちゃん・・・関東大震災のはじまりかなあ・・・こわいよお・・・」
すると、天井のシャンデリアの揺れを手で抑えていたボーイさんがすーっと来て、
「当ホテルは、耐震構造になっており、地上の揺れより大きく揺れるようになっています。
ですから、このように揺れますが、どうぞご安心ください」
と説明された。
夫は「よし、わかった、ありがとう」と答える。
いやあ、彼の説明が無かったら、怖さのあまり、立ち上がり夫の隣に行くところであった・・・
それから、ノンアルコールのカクテルを口にして、落ち着かせようとしたが、味が分からない。
霜降りのお肉も、なんだか咽喉につかえる。
しばらくして、震度4の知らせを聞くころには、デザートが運ばれる。
「シャンパーンのシャーベットにコーヒーリキュール漬けのスイカ。」の案内。
夫がすかさず「こいつはまったくお酒が飲めないんだ」
ボーイ「アルコールは一応飛ばしてはいますが、少し残っているかも」
私「一口試してみます」
シャーベットを一口、深みのある味わいで大変おいしい!
が、通り過ぎた食道あたりから、かーーーっつ と熱くなる、
そう、これはアルコール入りだあ・・・、だめだ、食べられない。
微量で酔ってしまい、しかもいつまでも二日酔いから抜け出せない私。
さらに、今日は私が運転係。
ボーイ「バニラアイスクリームをご用意します。」
一連のホテルの対応にすっかり関心した夫は、いたく満足。
私は、満足した夫をみて、ほっと胸をなでおろす。
「たまには、こういうのもいいな、仕事ばっかりでは、、、愉しみもないと」
うれしいよ、あきちゃん。
周囲のテーブルは、かなり年配の方々が占め、白髪の夫婦が、品よくおしゃれしている。
そういう雰囲気の中で、私たちも、年を経て、このようなカップルでいたいと思える。
大切なひとときでした。