昨年、公正取引委員会・委員の講演を聞きに行った。国立大学の法学部教授だったひとである。
その人がおっしゃっていた。『戦前、財閥の談合(計画)経済が日本を戦争に駆り立てた。だが戦後は、GHQのつくった独占禁止法で財閥を解体し、自由主義の国になった。そして、日本は大成功を収めた。だから、談合(カルテル)を厳しく取り締まらないとだめだ』。アメリカの洗脳は見事なものだ。この人は大正時代、政治も経済も自由主義だったことを全く知らないらしい。日本が談合(計画)経済に突入したのは、金融自由化をやっていたアメリカ発の恐慌と欧米のブロック経済からわが身を守るためだった。法律はどんなに詳しくても、この程度の歴史認識だから法の奴隷のようなことを言う。
公取幹部たちの考えは、みんな似たようなもんだ。彼らの著書、論文など何冊も読んだが、『アメリカから独占禁止法の運用強化を要請された』、『アメリカから不公正な商慣行(談合)を廃止するように要望された』、『アメリカから日本もフリーで、フェアーで、グローバルな国になりなさいと言われた』などという文言が得意げに書かれている。ちなみに、日本は輸入車の関税は0%だが、アメリカは乗用車が5%程度、トラックには10%超の関税をかけている。どこがフェアーなんだ。アメリカの自由にやりたいだけのフリーじゃないか。
自虐史観から決別する方法(その1)で書いた反日自虐被洗脳世代だからしょうがないが、こんな思想を持っている人たちが、日本の民業を取り締まっている。しかもご本人は、会社経営の経験は一度もなく、税金で終身生活保障されている。この点、猟官制のアメリカや幹部公務員公募制のヨーロッパ各国は日本と決定的に違う。車を運転したことのない者が教習所の教官だから、迷走、エンストするのも当然だろう。
バブルのころから20年以上も、構造改革が叫ばれてきた。そして、中央集権から地方分権、官僚主導から政治主導、土建国家から福祉国家、モノ作りから金融立国、輸出主導から内需主導などなど、じつに様々な改革が提案されてきた。結果はどうか、東京と一部の大企業の景気は良くなったが、地方とほとんどの中小企業はデフレ不況に苦しんだままでいる。なぜか?
理由は簡単である。デフレ不況最大の原因は国外にあるのに、国内だけの戦犯探しをしてきたからである。
現在のデフレ不況は、欧米(特にアメリカ)に国際経済のルールを変えられてしまったことが最大の原因である。決して談合など国内に第一の原因があるのではない(国内の第一原因は、少子化と社会保障費である)。そして、真っ先に責任を負うべきは、先のような文系エリートにある。
日本の文系エリートの国際競争力が全く頓珍漢だったから、日本の実態に合わない欧米に都合のよい国際経済ルールができてしまった。しかも、日本国内だけでしか通用しない瑣末な法律作りに血眼になって、日本の民業だけを取り締まり罰している。前にも書いたように、日本の公正取引委員会が取り締まっているのは、日本企業ばかりで、欧米企業のカルテルはただの一件も取り締まっていない。
洗脳された文系エリートが、失われた20年を招いたのである。
ところが、戦犯処罰権を持っているのは法律系の文系エリートだけだから悲劇である。
今日はここまでにします。
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