島国という特殊な環境で形作られた日本の歴史、文化、民族性は、東アジアの国々と比較してもいろいろ特色に富む。 少し話がはずれるが、Asia、Africa、America、Arab、ヨーロッパ以外すべてAで始まるように、アジアなどはヨーロッパがつけた別称である。 だから、あまり使いたくないが、便宜上しょうがない。 中国人がつけた、東夷、北狄、南蛮、西戎のようなものだ。 国連でどこか別な呼び名を提案する国はいないのかね。
終身雇用制や長子相続も、ユーラシアのような環境の激変がない日本だからこそである。 日本では、ユーラシアのような革命が歴史上一度も起きなかった。 皇室は世界で最も長く続いている王家であり、欧米人はエリートほどその歴史に尊敬をはらう。
終身雇用制を良しとする基本は、この道一筋何十年という職人文化である。 そして、日本ほど職人を尊敬する風潮は、中国にも朝鮮にもない。 むしろ、職人は被差別階級に近く、豊臣秀吉が朝鮮から連れてきた鍛冶職人などが、日本で神様として祭られていることを知ると、朝鮮人がびっくりしてしまう。
鍛錬という言葉の意味は、「鍛」は基礎が定着すること、「錬」は一つの道として揺るぎなく完成すること。 宮本武蔵が『五輪書』で、「千日(約3年)の稽古をもって鍛とし、万日(約30年)の稽古をもって錬とす」と書いているように、日本人はひとつの道に一生をかけることを是としてきた。
しかし、このような求道精神が生かされるのは、基本的な価値観の逆転が起きない、安定した環境が絶対条件である。 昨日まで牢屋に入っていた奴隷が玉座についたり、王が断頭台にかけられる国では、いつなんどき、今の職業、人間関係が無用になるかわかったものではない。 常に、複数の職業、複数の人脈を持つことが、リスク分散なのである。
今日も読了いただきありがとうございます。 おやすみなさい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます