米連邦準備制度理事会(FRB)が量的緩和第三弾(QE3)を決定したので、今日は超入門をやりたいと思います。
リーマンショック後、FRBは非伝統的金融緩和と呼ばれるQEを矢継ぎ早に行って、株価を急速に回復させるのに成功した。 当初は株価急上昇をうけて、二番底はなし、アメリカ経済はまた成長を始めるという楽観論が大勢を占めていた。 ところが、株価は急回復したが、実体経済のもっとも重要な指標の失業率が思わしくない。
NYダウ平均株価は、2008年末に6,500ドルで底を打ち、昨日は13,500ドルまで回復、二倍以上の上昇である。 ところが、失業率は回復傾向にあるようだが、10%から8%、率で20%程度改善しただけである。 しかも統計では、失業者の中に求職をあきらめた人(求職活動を辞めてしまった人)を含めない。 実際はもっと多くの者が職を失った状態にあり、就労状況は実質的に全く改善していないともいわれる。
なぜ、株価は倍以上に回復したのに、実体経済は回復しないのか? いくつか理由を考えてみたい。
ひとつは、アメリカ経済が、実業型(製造業)から虚業型(金融とソフト産業)にシフトしたことが考えられる。 実業型は分業のすそ野が広く、多くの人々に仕事とお金が回るが、虚業型はそうではない。
自動車と投資金融を比べれば分かりやすいだろう。 自動車の製造販売で1億円を売り上げるには、設計、製造、販売などで何百人もの手を必要とするが、優秀なトレーダーなら一人でやることも普通だ。 十億、百億になると、さらに違いが際立ってくるだろう。 コンピューター・ソフトも同様である。 プログラミングは人手を介するが、完成したプログラムは、コピーペーストの原理で大量生産できる。
アップルはトヨタ自動車の半分の売り上げを、2割以下の従業員数で達成している。 また、日本の金融・保険業と製造業を比較してみると、前者の国内総生産は約25兆円で就業者数は約140万人、一人当たり1,800万円に近い。 一方、後者は約93兆円で1,000万人、930万円程度である。 前者には、個人経営の保険代理店も含まれるから、保険業を除けば、3倍近い差になるのではないか。
今日も読了ありがとうございます。 おやすみなさい。
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