『業者は予定価格以下で落札をしているだけで、予定価格を不当に吊り上げるようなことはできない。だから、税金泥棒という非難はおかしい』。 業者の言い分である。
予定価格は、当該工事の標準的な金額として、発注者が定める。 業者が強調するのは、標準的な価格であって、無駄な経費を含んだ水増し経費ではないということ。 確かにそのとおりである。
ただ、実際には、民間の土建工事よりも公共工事の方が儲けが多かった時期もある。 バブル崩壊(1990年頃)からの10年間は、地方ほどうま味のある商売だったと思う。 同業者も羽振りが良く、オーダーメイドのスーツや高級車を買い、他業界が不況に苦しむ中、地方の飲み屋街は土建屋でもっていたような感じだった。 そして、周りから嫉妬された。
県庁にいる高校同期が同窓会で、『永崎は友達だから本当のこと言うけどよ』と前ふりしてから、『高校も卒業してない様な土建屋連中が、ベンツに乗ってるのを見ると本当に腹が立つよな』と言っていた(母校は県内トップの進学校なので、総じてプライドの高い、学歴原理主義者が多い)。 人間は論理ではなく、二つのカンジョウ(勘定と感情)で動く。 談合、建設業バッシングの根源はまさにここにあると思う。
『隣の芝生は青く見える』の例えどおり、羽振りが良く、ガラの悪い業者のイメージだけが、世間に残ってしまった。 だが、ここ10年ほどは、下り坂まっしぐらである。 予定価格は、過去の落札率等を参考に決定されるから、デフレ経済と安値受注競争下では、予定価格自体が下がり続ける。 ちなみに、現場作業員の給料は現在、三十、四十代でも時給換算で900円程度だ。 しかし、このような事実を報道するマスコミは皆無である。
二つのカンジョウに訴えれば、手っ取り早く儲かる。 しかし、論理を捨ててしまえば負け犬である。 二つのカンジョウも織り込んだ論理的思考をする者が、最後は勝者になる。
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