永崎士道の建設業徒然なるままに、時々国防とグルメも

主に建設業の話題を書きたい。
私自身建設会社の社長だったので、
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日本の現行政府当局こそ、いじめっ子の典型だ(その25)!

2012-08-23 | 国防

前二回は回答が長くなって、久しぶりの封建制ですが、最初に質問した友人から、ヨーロッパとアジアを区切った天然の障壁を具体的に教えてほしいといわれました。 最大の障壁は、ヴィスワ川の東に広がるプリピャチ湿地です。 モンゴル帝国(キプチャク・ハン国)の西側境界になっています。 つまり、ここでモンゴル軍の侵攻はストップしました。 ただ、モスクワはこの東側にあったため、文化的にはヨーロッパの同系なのに、200年以上もモンゴルの支配をうけることになりました。 

 

なぜ封建制が、日本とヨーロッパで発生し、中国に存在しなかったのか。 四つ目の要因は、世俗権力から分離した宗教的権威が存在しなかったからである。

日本では世俗権力の武家政権に対して天皇家が、ヨーロッパでは国王に対してキリスト教会、教皇が存在した。 しかし、中国では世俗権力の中華皇帝に対して、天皇家、教皇のような強力な宗教的権威は存在しなかった。

鎌倉以来、幕府は天皇から征夷大将軍の肩書を貰い、他の大名たちに支配の正当性を認めさせた。 ヨーロッパの国王も、戴冠式で教皇から王冠を賜って、権力の正当化を行った。 ところが、中国では始皇帝以来、皇帝自らが宗教祭祀を行い、権力の正当化を続けてきている。 明の永楽帝が祭祀を行った天壇は、世界遺産にも登録されている。

 薩長雄藩が錦旗を手に入れてから、朝敵となるのを畏れ戦意を無くした徳川慶喜のように、世俗権力を正当化する権威が別にあれば、闘争は穏やかなものになる。 子供の喧嘩でも同じだ。 子供同士の時は結構派手にやっても、先生が来ればすぐに手を引っ込める。 暴力闘争は、動物のもっとも原始的な衝動だから、大人も子供も大して差がなくて当然かもしれない。 

錦旗を手中にすれば雌雄が決するということは、敗北側も余力を残しながら手打ちするということだ。 勝者と敗者の残存戦力に対して差がない場合も当然考えられる。 空手やボクシングなら判定勝負のようなものだ。 

しかし、錦旗がなければ、こうはいかない。 完膚なきまでに相手を打ちのめさなければ、いつ反撃されるか分からない。 必然的に戦争は、徹底した殲滅、皆殺し戦になる。 完全ノックアウト試合だ。

関ヶ原の合戦で負けた後も、西軍大将の毛利軍は相当な戦力を持っていたが、徳川家に臣下の礼をとったし、家康もとり潰しはせず、合戦前の1/3の石高を残している。 一方、漢の初代皇帝劉邦は、反秦連合軍で仲間だった項羽とその一族を完全に滅ぼした。 三国志の魏・呉・蜀も、統一王朝の晋ができるまで戦争を繰り返した。 抗日で手を結んだ毛沢東と蒋介石も、雌雄を決するまで戦った(蒋介石の台湾逃亡で実質的な戦闘は終わったが、これは裏にアメリカがいたから、毛沢東が殺すのを諦めただけ)。

錦の御旗があった日本、ヨーロッパでは、戦争後も権力が分立併存し、封建制が成立した。 一方、中国では、勝者が権威、権力のすべてを一人占めにする中央集権国家しか歴史上存在できなかったのである。

今日も読了ありがとうございました。 おやすみなさい。


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