『経済成長=民間支出+政府支出+輸出―輸入』というのが、基本的なマクロ経済学の方程式ですが、実際の経済は、もちろんこれよりはるかに複雑なので、もっともっと複雑になります。 しかし、どんなに複雑なモデルでも、作るのは人間です。 モデルの定性的関係は論理的に作れても、定量的関係は感覚に左右されます。
シュミレーション・モデルを作った経験のない人にはちょっと分かり難いかもしれませんが、私の経験(東京都のヒート・アイランド・モデル)を踏まえて出来るだけわかり易く説明してみます。
定性的関係というのは、数値化される前段階の、言語で表現された論理的数式関係のことです。 たとえば、『都市のコンクリート化は気温を上昇させるが、緑化は下げる効果がある』という論理的表現を数式関係にすると、『気温上昇=コンクリートの面積-緑地の面積』と書けます(このレベルが定性的関係)。 上述の『経済成長=民間支出+政府支出+輸出―輸入』もそうです。 しかし、これではどの程度、気温が上がるのか、または下がるのかが分かりません。 そこでさらに、係数などの数値化を行います。 すると、『気温上昇(度/時間)=1.5×コンクリートの面積-1.2×緑地の面積』とわかりました(このレベルが定量的関係。ただし、係数はあくまでたとえです)。 ところが、この係数や指数などを決定する数値化の段階が、もっとも専門家の意見が分かれるところなのです。
コンクリート化が気温を上昇させ、緑化が気温を下げるという定性的関係に反対する人は、おそらく素人でもいないと思います。 しかし、どの程度か?となると、とたんに難しくなります。 上述の例では、なぜ1.48ではなく1.5なんだとか、1.19ではなく1.2なんだという意見の相違です。 ところが、これを客観的データで説明しようとしても本当に難しいのです(測定誤差などが必ずあるからです)。 しかも、複雑なモデルになればなるほど、わずかな小数点以下の違いが結果を大きく左右したりするから大問題になるのです。 最後の最後は、教授の長年の経験と感覚、複数の教授が居るときは、お互いの人間関係と政治力できまります(笑)。 本当です。 だから、なんども二つのカンジョウと感覚が重要だと言っているのです。
駄目だ、長すぎる。 明日もう一回だけコメントの返答にします。 おやすみなさい。
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