以前は公共事業の予算が余ると、新たな工事を発注しなければならなかったが、最近はちがうようだ。 予算の使い方が弾力化され、別の使途に流用できるようになっている。 『科目流用』という。 おそらく、『無駄な公共事業』と叩かれた頃、事業予算を減らす名目で変わったと考えられるが、問題はその流用先だ。
7、8年ほど前、弊社が所在する県管内(1市8町村)で談合が完全に壊れたことがある。 当時は失格価格というものがなかったから、予定価格1億4千万円の工事を、3千5百万円で落札する業者が出てきた。 1憶500万円はどこに行ったんだ、という感じだが、知り合いの県庁幹部OBが話してくれた。
大幅な安値受注合戦がはじまってから、後輩の土木部長に忠告に行った。 『こんなたたき合い(安値受注競争のこと)をやらせていたら、業者ももたないし、粗悪工事が増えるからすぐにやめさせろ』と。 すると土木部長は、『先輩、そうおっしゃっても、我々もボーナスが増えないと困るし、業者がその金額でやるというならいいじゃないですか』と返答したそうだ。
もちろん全部ではないだろうが、何割かが彼らのボーナスになっている。 すると、今まで談合を破った業者を徹底的にいじめていたくせに、今度は安値受注でなければ怒られるようになった。
談合がない場合、ほとんどが失格価格ぎりぎりの入札になるが、まれに少額工事で予定価格ぎりぎりの落札になることもある。
先月、ある会社が予定価格ぎりぎりで仕事を取ったが、次の日、その社長に偶然あった。 『なんで叩かないんだ。おかげで他から予算を持ってこなければいけない』と怒られたと非常に憤慨していた。 親方日の丸にはどう転んでもかなわない。 『請負』は『請け負け』。 『いやなら入札に参加しなければいい』。 彼らの言う通りかもしれない。
今日はここまでにします。 おやすみなさい。
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