寅の子文庫の、とらのこ日記

本が読みたいけど本が読めない備忘録

旅する本 ~井上靖/美也と六人の恋人、売れました。

2005年06月28日 22時36分33秒 | 売れた本と売りたくなかった本


古本屋とは因果な商売。読みたいけれども読めない。買ってすぐ読める本と、そうでない本とがある。そうでない本とは、本棚に暫く立てて本の体裁を眺めてみたり、ちょっと手にしてはまた棚に返したり、少し遠目に棚を見ては心落ち着かせ、そんな他愛ないことを繰り返しながら、子どもの頃一番おいしいものは最後までとっておいた!、あの食べ方の心理に似て、いつまでたっても手を付けない。本文は読まずに先ず、こてならしとばかり、あとがきに目を通したり、カバーの袖書きを読んでみたりと、一向にページをめくれないで居る。そして或るとき、わけもなく自然と一気と読み上げてしまう。内に秘めたる本への思いが何かの拍子で本に触れ、意思を待たないはずの本と通じ合ってしまうのだ。そんなゾクゾクする本に出会うことがある。そして大概、そういう本は意図も容易く売れてしまうのである。

【美也と六人の恋人】井上靖/光文社/昭和30年3月5日初版/定価100円
収録作品は短編6作
【薄氷】昭和27年/新潮1月号
【美也と六人の恋人】昭和27年/文藝春秋別冊30号
【夜の金魚】昭和29年/改造10月号
【チャンピオン】昭和29年/文藝春秋別冊42号
【投網】昭和29年/知性11月号
【合流点】昭和30年/新潮1月号

若い日に井上靖を右から左とむさぼり読んだがこれらの短編にお目にかかったことはなかった。

見返しに昭和三十年三月二十九日 竹田晴代、14才、と記名がある。
きっと小さな胸を躍らせながら、読みふけったに違いない。
50年の歳月を経て乙女は人生総仕上げのときを迎えていると、願う。
私はこの本を200円で買い、手元に2年置いただけで仮の宿となった。
昨日、400円で売り、今朝一番で冊子小包にして大阪へ送り出した。
1冊の本が何人もの人を介して旅をする、不思議さ。
介した人の数だけ本は傷みもする。しかし、それは古本の値打ちであると信ずる。
そして古い本はどこか母に似ている、大切にしなくては。

大阪のKさん、宜しく頼みます。

7冊のカラーブックス164~170まで。

2005年06月27日 21時35分20秒 | カラーブックス
【7冊のカラーブックス】 今週は164番から170番まで掲載します。

164番【民芸入門】吉田章也/初版44年1月10日
165 【愛玩犬】大野淳一/初版44年2月1日
166 【岬~文学と旅情】宮崎修二朗・有馬茂純/初版44年2月1日
167 【花壇づくり】脇坂誠/初版44年3月1日
168 【ハワイガイド】早坂浄/初版44年3月1日
169 【北斎富嶽36景】菊地貞夫/初版443年4月1日
170 【皇居新宮殿】徳川義寛/初版44年4月10日



164番【民芸入門】はいぶし銀のごとく重厚な仕上がりになっています。『民芸』とは民芸運動の提唱者であり、「日本民芸館」の初代館長を務められた、柳 宗悦 の言葉を借りれば、「民衆の生活に必要な工芸品を民芸の二字で要約させた」 とあります。このナンバーをお持ちの方は是非もう一度、後文の98~100ページをお読みになられてください。民芸品の特徴が1から6まで箇条書きに大変分かりやすく説明してあります。それによれば1、「~町や村の名もない職人の作った庶民のふだん使いの雑器が主体であり、芸術家が美しさをねらって作った物ではなく、一介の職人が実用のために無心で作っているうちに、いつしか美しさが実ったという物~」 と明快に述べられています。その後、2~6を要約すると、だからこそ、簡素で素朴であり、丈夫であり、奇をてらった病的ななものではなく、自然で健康な姿をしており、また無理のない方法で作られている。庶民の実用品であるからこそ量産もされ、その結果として、値段は安くなっている。ゆえに裏を返して職人の身に立場を置きかえると、反復して物を作るので、おのずと技術も熟達し、腕が上がるのでさらに出来栄えが良くなる、等云々と述べています。そして、このようなあたりまえで、自然の美しさを昔から私たち日本人は、「渋い」 という言葉で表現して、この渋さの美こそ、美のうちで最も深く、高い美しさであると結ばれています。正に真理とは足元を見よ、私たちが今生きている毎日の生活の中にあるではないか!と教えてくださっています。長くなりましたが検索で 『柳宗悦』 は52800件のヒットが出ました。本書を執筆された吉田章也(章の字は王/たま偏)氏は1920年に柳宗悦氏に師事、時に宗悦31歳、吉田氏22歳。本書は71歳の弟子が師匠の偉業を後世に広く知らしめたる渾身の勇を込めた1冊です。

165番【愛玩犬】の大野淳一氏は【3番・犬~その銘柄】に続く2冊目のカラーブックス執筆です。前作は昭和37年4月刊行、犬の小図鑑的な性格で書かれていました。今回では更に一歩踏み込んで、ペットとしての犬、強いてはミニドックと言われる愛玩犬に的を絞って、その紹介と飼い方に至る迄を詳しく述べられています。この機会に、2冊合わせ読まれてみてはいかがでしょうか。

166番【岬~文学と旅情】、こういう偏狭の土地を旅する本がたまらなく好きです。理屈抜きに好きなのです。自分の事で恐縮ですが、平成元年の夏、東京における全ての生活を精算して北へ北へと、寡黙の旅をしたことがありました。井上靖の、『海峡』に、「人間、何かなければこんなところまではこない~」、というくだりがありますが、旧盆の8月12日、津軽十三湖に居て、ちょうど村の夏祭に聞いた、「十三の砂山」を踊る子ども行列のお囃子がなんとも切なく迫ってきたのです。十三湖の外浦の海岸には海水浴シーズンだというのに、人ひとり居ませんでした。夜半には、浜から吹きつける風の音が物悲しくゴーゴーと灰色の闇を貫いていました。戦争中にグラマンの機銃掃射を受けたという一軒宿の加納旅館さん(今でもあるのでしょうか?)にはとても良くして頂き、つい甘えたさから四日も泊めて頂き、旅は途中から安祥として良い思い出へ浄化したのを今でも覚えています。十三~竜飛~夏泊~浜奥内~尻屋~恐山~脇の沢~大間~十三、と2週間の自分探しの旅でした。本書にも19頁に、「孤独な湖~十三とその」として掲載がありました。全頁にわたり全国津々浦々の岬紹介とその文学散歩です。参考までに現代教養文庫からは昭和35年に大竹新助氏の【No294・岬~旅と風土】という本が出ていて同じ構成になっています。執筆者のお一人、宮崎修二朗氏は先の【民芸入門】の古民芸の解説も担当されています。

コガネグモを見つけた!

2005年06月23日 01時26分27秒 | ちいさな生き物たち
一昨日、清水市巴川河川敷の現場で大きなコガネグモ(体長約20-30ミリ)を見つけました。同じコガネグモ科のジョロウグモが秋十月に成体となるのに比べ、コガネグモはこの時期で既に成熟しています。背丈と同じくらいの草むらを掻き分けて歩くこと、およそ20メートル間隔に1匹の割で見つけました。どの巣(網)にも大抵コガネムシが1~2個ぶら下がっていました。写真右側のやや小型の丸い物体は網に捕まったカナブン(甲虫)です。もう糸でグルグル巻きになっています。クモの食事はカマキリのように獲物を頭からムシャムシャとかじりつくのではありません。クモは網にかかった獲物に噛みつくとき、牙から毒液を注入します。この毒には溶タンパク質酵素が含まれていて、獲物はこの酵素によって体の中がドロドロに溶けてしまうのです。それを吸胃というポンプ式の胃で吸い取り栄養としています。このしくみを対外消化というのですが、万一、噛まれても人間には無害で大丈夫です。ただ、ススキ野原に居てススキの葉を三角の袋状にして産卵の住居を作る、【カバキコマチグモ】だけはうんと痛いそうです。いずれにしても野山に出掛けるときには長袖、軍手、帽子、暑いけど首に手ぬぐいを忘れずに。

今夜、参考にした図書紹介
*【ジョロウグモ/カラー自然シリーズ60】 偕成社/1986年/1200円
*【フィールド図鑑クモ】 東海大学出版会/1984年/2060円/ISBN4-486-00805-7
*【原色日本クモ類図鑑】 保育社/昭和61年/4944円/ISBN4-586-30074-4

この3冊は今のところ、寅の子の本棚に置く予定はありません、悪しからず。

7冊のカラーブックス157~163まで。

2005年06月21日 01時49分40秒 | カラーブックス
【7冊のカラーブックス】 今週は157番から163番まで掲載します。

157番【日本の貝】波部忠重/初版43年9月20日
158 【四国遍路】西村望/初版43年10月1日
159 【錦鯉】黒木健夫/初版43年10月1日
160 【東京の味】添田知道/初版43年11月1日
161 【京都の年中行事】臼井喜之介/初版43年12月1日
162 【日本画入門】西山英雄/初版43年12月1日
163 【奈良の年中行事】入江泰吉・青山茂/初版44年1月5日



保育社は世界ではじめて全10巻の図鑑の全集を刊行しました=標準原色図鑑全集です。当時の広告には『最高の印刷、最新の内容、犠牲的な廉価で世におくる』とコピーされています。10巻中、第3巻が貝、第4巻は魚です。カラーブックスでは先に150番で【日本の魚】を世に出し、今回、157番で【日本の貝】を刊行しました。この2冊に共通の特徴、として言えることは掲載の順序が図鑑のように学術的な分類ではなく、私たちの日常生活に即した利用項目別に分類してあるという点です。なによりも148X105の文庫判の大きさ(A6サイズ)が最大の強みです。造作無くポケットへ忍ばせ野外へ出る。いつでもどこでもすぐに開いて、天然色で本物と見比べが出来る。後学のために見るも良し、こどもと一緒になって遊ぶも良し! 小さな体のカラーブックスでも実は、素晴らしい充実の内容で目を見張る、図鑑に引けを取らない。『山椒は小粒でも、、』が最高の誉め言葉です。2冊合わせてご覧になれば楽しさも倍増ですね。

160番【東京の味】は味シリーズの第3弾。当時、食べ歩きのナンバーは、まだ京都・大阪・東京と、この3冊しかありませんでした。家族揃ってお出かけ、今日は外食!なんて言う良い時代はまだもう少しの年月を待たなくてはなりません。手分けして何人もの先生方が食べ歩いた感想を寄稿されていますが、カラーブックスでもお馴染みの名前を見つけたのでご紹介します(敬称略)。大竹新助・宮尾しげを・清水桂一・末廣恭雄・石倉豊・加藤けい・牧野信司・渡辺公平。いずれの方もその道のスペシャリストで、カラーブックスのナンバーを執筆された先生たちです。ほら、もう次の163番【奈良の年中行事】には大竹さんが顔を覗かせています。

2005年6月17日。

2005年06月18日 02時51分51秒 | オンライン古書店
8時30分、【うえちゃんのサプライズ】がもう始まっている。急いで車を飛び降り、2階の事務所に駆け込む。5分遅れのタイムカードに今日もギリギリ、救われた~。3年前に働き盛りで(将来を嘱望?されつつ?)リタイヤ。これから育ち盛りになる!という一粒種の【寅ムスコ】を抱え、後ろからまくし立てるカミさんをヒョイといなして、今日もアルバイト稼業に精を出している。という訳で寅の子文庫の1日を追いかけてみた。

8時50分、今日は西浦大瀬崎手前の蜜柑山まで杭入れ50本!さあ元気出して出発です。すかさず【うえやなぎまさひこのサプライズ】をつけます。最近、朝から晩までニッポン放送にはまっています。【10時のちょっといい話】はお薦め。
9時20分、いよいよお別れの、スカンジナビア号を右手に見ながら先を急ぎます。山は一面にもやが立ち込めています。恐らく現地は湿度100パーセント。カッパを持参してきて正解です。

9時40分現着、あいにくの霧雨でした。海抜約70メートルの蜜柑山に泥にまみれて杭を打ちます。一度、カッパを着てみたのですが、すぐに汗ビッショリで、脱いでしまいました。【最所千加子さんのトヨタ・街角天気予報】は外れてしまいました。しかし山の中は小さな生きものたちの楽園です。どこから来るのかサワガニたちが足元を横切り、早や歩きしています。こんな日は決まって沢の中ではなくて、丘に這い上がっているようです。捕まえて帰り道、料亭に持っていけば、きっと女将さんに喜ばれますね。

久しぶりで【ザトウムシ】を見つけました。10年ほど前に戸田村の山中で、山一面に敷き詰めたようなザトウムシの大群に遭遇したことがありました。気持ちが悪くて地面に座ることも出来ず、その時は立ったままで昼飯を食べました。さすがに今は慣れて、手の平に取ってユラユラと揺れる特異な動きを観察したり、ちょっと面白い生きものです。昆虫ではなく、蜘蛛に近い仲間です。大きさは小豆大、目がいくつもついていて小さな口も確認できます。ヌレ落ち葉や小動物の屍骸をきれい食べてくれます。小さくて愛嬌のある、山のお掃除屋さんです。


11時50分、適当な場所にさっとゴザを敷いて弁当を食べます。いつも早食い競争です。12時には大地にあお向けで寝てしまいます(牛になりますよ) ゴロリと横になったとたん、あちらこちらからいびきが聞こえてきます。早く寝た者勝ち。世の中には不眠症の人が多いとラジオで流していましたが心配ご無用!沢のせせらぎと、うぐいすのさえずりがとても心地よいです。


蜜柑の真っ白い花も落ちて、1~2センチ大の可愛い実が鈴なりです。


16時30分、本日も無事故で終了しました。さてと、もうひと仕事ありますよ。
ささやかですがワラビとたけのこ、お土産に少し採っていきます。


17時00分、現場出発しました。20分後、ひっそりと小雨に霞むスカンジナビア号を左手に見ています。
上海へと曳航される日には、岸を離れる姿を見に来るつもりでいます。

18時帰社、今日も1日お疲れ様でした。
19時帰宅、ただいま~。お土産だよ。

21時メールチェック、注文2件ありました。
*大阪のMさん返信有難うございました。18日ゆうパック代引きで出します。
*奈良のAさん、返信承りました、生駒のNさん宛てで18日出します。
夜の古本屋稼業、今夜の売上2件で4000円也。

2005年6月17日、今日も無事に1日が終わりました。まだまだ、当分の間は二足の草鞋が続きそうです。

明日(もう今日ですね)は久しぶりで東京に行きます。

7冊のカラーブックス150~156まで。

2005年06月13日 21時39分09秒 | カラーブックス
【7冊のカラーブックス】 今週は150番から156番まで掲載します。

150番【日本の魚】末廣恭雄/初版43年6月1日
151 【尾瀬の四季】布施正直/初版43年6月1日
152 【蒸気機関車】広田尚敬/初版43年7月1日
153 【庭づくり】中根金作/初版43年8月1日
154 【洋酒入門】吉田芳二郎/初版43年8月1日
155 【西洋やきもの風土記】崎川範行/初版43年8月20日
156 【季節の魚】清水桂一/初版43年9月1日


カラーブックスの記念すべき第1号は【ヒマラヤ】です。昭和37年4月20日に刊行されました。以来、6年の歳月が経ち、ジャンルには多種多様にわたる入門の書も多くなりました。また短い間隔で次々と刊行されるナンバーに読者もさぞかし、気ぜわしい思いをされたことでしょう。今回掲載の7冊もわずか3ヶ月の間に集中しています。定価は37年当時より50円高。ページ構成は153頁でほぼ固定、装丁はNo100以降、カラー刷り紙カバー巻きからお馴染みのビニールカバー巻きに変更されています。

昭和43年5月現在の目録は次のように分類してありました。
【国内旅行】47冊、【海外旅行】18冊、【趣味/入門】51冊、【動物/虫/魚】13冊、
【植物/園芸】18冊、【美術/デザイン】23冊、【文学散歩】12冊、分類された本の合計は182冊で、通しナンバー150冊、をはるかにオーバーしています。例えばこれは【No105平家物語】のように文学と国内旅行、の両方の分類に重複掲載さているタイトルがあるからです。

前置きが長くなりました。今回は1冊のみのご案内でご容赦ください。
155番【西洋やきもの風土記】です。著者の崎川範行さんは【20番・宝石】【71番・やきもの風土記】に次いで3冊目の執筆となりました。前作のやきもの風土記の中でも折々にイギリス・スイス・オランダなど西洋の陶器が顔を覗かせていますが今回はドイツ・イギリス・フランス・イタリア・デンマーク・オランダの6カ国を中心として、スイス・フィンランド・ノルウェー・ポーランド・オーストリア・ブルガリア・ハンガリー・ソ連・スペイン、更にはガラス工芸からカットガラスのボヘミアガラス・ベネチアガラス・ワイングラスのサンルイに至る迄、幅広く紹介しています。崎川さんの『はじめに』を要約すれば、~最近は国内でも西洋の陶磁器を見る機会が多くなったが難しいことは抜きにして、やきもの好きの皆さんに多少とも楽しんでいただけたらうれしい、と結んでおられます。

全ての登山者と、峠を愛するハイカーに捧ぐ。

2005年06月10日 20時50分18秒 | オンライン古書店
三省堂 日本山名事典

三省堂

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もう、ずうっと以前に街の本屋で三省堂の【コンサイス日本山名辞典】という本を見つけた。
ページをめくるとこれが面白い。毎日本屋を覗いては、買おうかどうしようかと迷っているうちに
先を越されて売れてしまった。たぶん最後の1冊であったか、お店の人に改めて注文をお願いしたが
もう在庫が有りませんとの返事。後の祭りとはこのこと!

あれから20年も日が経った昨年の夏、たまたま涼を求めて入った近所の書店でまた見つける!
同じ三省堂で、今度の名前は【日本山名事典】。函入りの裏を返すとなんと定価は5300円+税。
いかにほしくとも、こんなに高くては買うわけには行かない。断腸の思いで棚に戻した。

それからというもの、くだんの本屋に入ると恨めしさのあまり、必ず一度は手に取ってページをめくり、
『こんな高い本、いったい誰が買うんだい!』と買いたい気持ちを無理やり飲み込んでいた。
ところが今年のゴールデンウィークの前、山登りの友人から『登ろう!』と誘いをうけた途端、
あっけなくタガが外れた。意を決して店にひた走る!すると二度あることは三度、
またしても売リ切れ、我が身の優柔不断が身に沁みて、歯噛みする。

そんなことがあってからひと月、懲りずに思い病んでいたが、
とうとうアマゾンから頼んで買ってしまった。
勿論、この本は自分のための1冊で、寅の子文庫の棚には置かない!

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いつもだと、ここいらでもう1枚、写真を載せるのですが、
どうしたものか、gooブログの画像アップが作動できません。
新しい機能(HTMLエディター)がどうも悪さをしているらしい。
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一夜明けたら、gooブログ、元通り直りました。



7冊のカラーブックス143~149まで。

2005年06月06日 08時08分43秒 | カラーブックス
【7冊のカラーブックス】 一週間お休みしました、今週は143番から149番まで掲載します。

143番【大阪の味】佐藤哲也/初版43年2月1日
144 【カラー歳時記草花】松田修/初版43年3月1日
145 【暮らしの色彩】神戸文子/初版43年3月1日
146 【神話のふるさと】加藤けい/初版43年4月1日
147 【版画入門】徳力富吉郎/初版43年4月1日
148 【京都ガイド】出雲路敬和/初版43年5月10日
149 【日曜大工】木村鉄雄/初版43年5月1日



143番【大阪の味】は115番・京の味に次いで味シリーズ第2弾。食い倒れの街から選りすぐりの203店の逸品を紹介。『味シリーズ』をカラーブックスの定番に持ち上げた実力のナンバーと言えます。

144番【カラー歳時記 草花】は141番・カラー歳時記/花木、の後編として2週連続、松田さんの執筆です。
今回は四季の草花59種を松田流に紹介、植物文学の縦横無尽な裾の広さにただ敬服するばかり。
2冊、ともに合わせてお薦めです。

145番【暮らしの色彩】は生活の中でこれまで雰囲気やカンに頼っていた色についてその性質や特徴をページをめくりながら目で見て楽しく勉強。更には一歩踏み出して自分好みの配色で『暮らしの色彩』を大いに楽しんでいける内容です。カラーブックスの面目躍如たる1冊ですね。この本が出た昭和43年には私の家ではまだ白黒テレビを見ていました。

147番【版画入門】の徳力富吉郎さんはカラーブックス再登場です。No8・東海道昔と今、に続いて2冊目の執筆となりました。前回は東海道を広重の版画とご自身のスケッチで、楽しく旅の道案内をして下さいました。今回はその版画について、カラーブックスで入門の手引きを丁寧に著わされています。カラーブックスの良いところはその道のプロフェッショナルが有名無名を問わず肩を並べて居るという点です。徳力さんは既に版画界の重きを為すお立場にありながら、私たちの教養を高めるためにご自身のお仕事の手をしばし止められ執筆の労を執って下さいました。

どうぞ、もう1冊お付き合いください。
149番【日曜大工】は本棚に3冊並んでいます。1冊は売るために。もう1冊は普段使うためで、造作なく寝転んで眺めたり、ちょっと乱暴にしています。最後の1冊はマイ宝物で後生大事としています。もしもお持ちの方は75ページをご覧ください。長距離ドライブ用のフロアー、が写真で出ていますね。今でこそ、こんな物を時間をかけて作る人は居ないと思いますが、生活の中で感じる多少の不便さを逆手に取って、アイデアと実際の作業からその場所を心地よい空間へと創り変えていく、汗を流す労力の中に実は喜び多しと諭してくれています。何もかも自動ドアのような便利な暮らし向きでは人間はからだも脳みそも退化してしまいそうです。この149番はお気に入りのナンバーです。

スカンジナビア号、おめでとう!

2005年06月01日 22時00分22秒 | スカンジナビア号
スカンジナビア号の将来が決定!

昨夜蒲団の中でラジオからニュースが飛び込んで来る。
半分、夢かと思い、今朝の朝日、静岡版で再確認。
それによると、
英領バージン諸島、の船会社【ランティBVI社】に売却が決定。
同社は複数隻の歴史的価値ある船を所有しており
1921年建造の老朽船も修復した実績があるとのこと。

スカンジナビア号は外洋クルーズ船として再び本来の任務へ復帰予定との朗報。
夏の台風シーズン前には、この西浦木負海岸から35年振りに錨を揚げ上海に曳航、
エンジンやスクリューを取り付け、1927年建造当時の外観に復元されるそうです。

最後の姿を見れるのはお盆休みの頃でしょうか。
さみしい限りですが、スカンジナビア号にとってはこれがベストな選択だと思います。
二度の大戦を生き抜き、35年間のロングバケーションを西浦でのんびりカモメと戯れ、
子供たちには大きな夢を見させてくれた白い貴婦人。
今、更なる使命を胸に数奇な運命の星のもと、再びの航海へと旅立ちの時を刻む。

いつかまた、ずうっといつの日にかまた、会いに行きたい。