本来、この類の本は自らの中に一線を設けてなるべく読まないように心掛けていたが店頭で手に取った瞬間、不覚にも衝動買いをした。昨日12月17日封切られた角川映画、
男たちの大和の影響を多少なりとも受けたせいかも知れない。映画はさておき、戦艦大和は史上、世界最大また最強戦艦として昭和16年12月に竣工した。しかし最早、戦闘の主力は戦艦を擁した艦隊決戦から航空母艦と飛行機を重視した機動部隊への戦いに移行し、大和自慢の46センチ主砲が敵艦隊に火を吹く機会はなかった。昭和20年4月6日、天一号作戦が発動され沖縄へ向け、軽巡洋艦矢矧、駆逐艦8隻を従え燃料片道分の水上特攻を試みるが翌4月7日九州坊の岬南方沖合いにて米機動部隊の数次にわたる艦載機の波状攻撃を受け、午後2時23分海底深く沈んだ。艦と運命を共にした者2740名、生存者わずかに266名。
戦艦をはじめ水上艦艇に乗り込む者は沈没時に運良く波間から救い揚げられる可能性がある。しかし潜水艦の場合そうはいかない。沈没と同時に艦長以下乗組員の全員が艦とともに戦死する。太平洋戦争中、海軍では190隻の大小潜水艦が参戦し127隻が沈没、その乗組員約10000余名が艦と運命を共にした。潜水艦の各艦履歴は読むに痛ましい。*なお本書は片桐大自氏の【聨合艦隊軍艦銘銘伝~全860余隻の栄光と悲劇】と合わせ読まれると一層感慨深い。
著者外山操氏は昭和14年陸軍航空隊入隊、昭和56年【陸海軍将官人事総覧】陸軍篇、海軍篇を出版、平成10年5月没。