とらのこ日記の中断から既に9カ月。もうこのまま閉鎖しても良かったのだが、今夜、ふと再開しようと思った。それは岩波書店から嬉しいニュースがあったからだ。岩波写真文庫30冊が復刻したのが2007~2008年。全286タイトルの内、わずか30冊とは余りにも寂しかった。しかし意表を突いて7月26日、B5横版135頁という出で立ちで1冊の写真文庫が上梓されていた。実は今日、それが届いた次第~「本書掲載の写真は、名取洋之助(1910-1962)と長野重一(1925-)が、岩波写真文庫の72号『広島-戦争と都市』(1952年8月6日発行)のために撮影した106本の35ミリネガから選んだ。ほとんどが、今回初めて公開されるものである」(後文)

◎岩波写真文庫アーカイヴス『立ち上がるヒロシマ 1952』
かって、『グラフィックレポート 日本人のふるさと~高度成長以前の原風景』という岩波写真文庫全286冊から厳選された写真で仕上げたB5版174頁の冊子が発刊されたことがあったが、今回の試みは、原子爆弾で焼野原になった広島の街が如何に戦災から立ち上がろうとしているかを鮮明な写真で如実に表わしている。前者の広く浅くに対し、一気に深くえぐり取ったという感がある。頁をめくる度に、人はどうしてこんなにも強く逞しくなれるのだろうかと訝しくもなる。

◎グラフィックレポート日本人の原風景/竹内啓一編著(1995年2月24日1刷)