すなば たかひろ

「元気で人に優しい鳥取」を取り戻すため、県議になった元新聞記者の挑戦記。みんなで鳥取の未来像を考えましょう!

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県外視察1日目(石川県)

2011年07月12日 | 日記
 鳥取空港を午前7時5分初のANA292便で立ち、羽田空港を経て小松空港に降り立ったのは午前11時前でした。羽田空港で1時間のタイムロスがあったとしても、鉄路で岡山に出て、大阪を経由して金沢に行くよりも、半日近く時間を稼げるんです。6月議会の一般質問で、地方都市間を結ぶ空路の必要性を訴えたのですが、その通りです。

 まず訪問したのは金沢市にある石川県庁です。少子化対策監室の末井利幸・次世代グループリーダー=写真左=と財団法人いしかわ子育て支援財団の中田久専務理事=写真右=から、「ふるさといしかわ子育て応援ファンド」と「子育て応援エンジェルネット事業」について説明をしていただきました。



 このファンドは、利率を高めに設定した定期や投資信託など約250億円分を北国銀行など石川県内の6つの金融機関が販売し、その利息の一部を寄付していただき、子育てに役立てるものです。寄付金額は年間約1000万円。外出先で授乳やオムツ替えができる施設を「赤ちゃんの駅」として登録してもらう事業や、父親の育児体験を募集する「イクメン大賞」など様々な事業を展開しておられすようです。乳児と保護者が学校訪問して児童・生徒とふれあい体験をする「赤ちゃん登校日プロジェクト」は鳥大の高塚先生に学んで始められたそうで、ちょっとうれしくなりました。意見交換したですが、この事業は金融機関の善意の上に成り立っており、金融機関は社会貢献をしているという評価を得ることはできますが、経済的メリットはありません。そのため、金融機関の中には負担感が大きいともらされる方もあるそうです。

 エンジェルネット事業は、地域の子育て支援ネットワークを構築し、社会全体で子育てを支援しようというものです、その中心はエンジェル券です。子育て支援財団から地元の協力店などが1枚100円で買い取り、お買い物をした市民に渡します。市民は子育ての相談に乗ってくれた、子育て行事の手伝いをしてくれた、子どもと遊んでくれたなど、子育てに関係して「ありがとう」と言いたいときに、その内容を手形の裏書のように書いて、親切にしてくれた人に渡します。受け取った市民はまた、「ありがとう」と言いたいときに渡し、裏書が5人集まったらエンジェルネット事業実行委員会に持っていき、新しいエンジェル券と交換します。裏書がそろったエンジェル券に1枚に対し、財団は100円を渡し、実行委員会の事業費に充てるという仕組みです。まだ、始まったばかりですが、地域で子育てをするという機運醸成に役立つと期待しているそうです。


 次に訪れたのは加賀市役所です。細野祐治市議=写真右=高川義博・市民部長寿課長=写真左=から同市が進める「地域包括ケア」について説明を聞かせていただきました。



 県議がなぜ市役所にと思われるかもしれません。鳥取県は第5次介護支援計画の策定を進めています。その中で特養の待機者解消が大きな課題として浮上していますが、加賀市は郊外型の大規模特養を廃止して、街中の小さなグループホームや小規模特養への切り替えを進めているからです。確かに特養の許認可は県の権限で、小規模多機能施設は市町村が担当するように役割分担されていますが、県民の皆様にとっては老後をいかに過ごせるかということが大切であって、県の権限とか、市町村の担当とかは全く関係はないと私は思います。
 高山課長は「どれだけ高齢者施設を整備しても、待機者は減らない。施設があればあるだけ、在宅でいいのに施設が預かってしまう」と断言されました。市民アンケートでも、自宅で介護を受けたいという人が55.7%おられるのに対し、介護施設を希望する人は30.8%です。しかも、その理由は「家族に迷惑をかけたくない」「ぼけた姿を人に見られたくない」という人も少ないということです。
 「住み慣れた地域に住み続けられる地域を作りたい。24時間見守られているという施設の安心感を、在宅でも作りたい」というのが高山課長の願いだそうで、24時間巡回訪問型サービスの導入に今年度、挑戦されるそうです。

 その後、その現場である「ニーズ対応型小規模多機能ホームききょうが丘」を案内していただきました。



 ここは元木材会社の社長宅で、茶室があり、意匠を凝らした広い建物です。管理者の新開雄平さんは介護支援専門員でもあります。利用定員は通いが15人。泊りが5人で、現在25人が利用登録をされています。お世話するスタッフは11人。通い、泊り、それに、訪問を組み合わせたニーズ対応型で、利用料は介護度によって異なり、月額で要支援1は4459円、要介護5で28120円とのことでした。これで基本的にはみんな見てもらえます。他に必要な料金は、食事をすれば朝200円、昼と夕が350円で、泊は1泊2日で2200円です。
 やはり、住宅を改造した雰囲気はいいですね。生活があるという感じがするんです。特養は病院へ入院という感じがするんです。もし、私が選ぶなら、やはり、ききょうが丘ですね。行政や施設の視点ではなく、利用するお年寄りの立場にたって考えることが何より大切なのではないでしょうか。そんなことを感じました。あと、やはり、運営は楽ではなく、職員の待遇改善も課題なのだそうです。世話する人の笑顔がなければ、お年寄りの笑顔もありません。国の助成はありますが、県や市の単独助成はないとのこと。行政がどんな支援をすべきか、しっかり考えていきたいと思いました。

 今日は富山に転戦して調査を続けます。今朝の金沢は朝焼けがきれいでした。では、これから金沢=写真下=を後にして出発します。

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