すなば たかひろ

「元気で人に優しい鳥取」を取り戻すため、県議になった元新聞記者の挑戦記。みんなで鳥取の未来像を考えましょう!

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国英のごみ処理場で、県環境影響評価審査会に意見書を提出しようと思います

2013年03月01日 | 日記

 県東部広域行政管理組合(以下、東部組合)が、鳥取市河原町内で計画している可燃物処理場の環境影響評価書を提出されました。今回の評価書は、東部組合が提出した環境影響評価準備書に対する知事意見について、事業者としての見解をまとめ、修正したり、再評価したりしたものです。知事意見は専門家で構成する県環境影響評価審査会で真剣に議論されたものですから、東部組合は知事意見を真摯に受け止め、真剣に再評価しなればならないと考えますが、評価書では知事意見が十分に反映されたどうか疑問を感じる点があり、評価書の各数値についての信憑性が揺らいでいるようにさえ思います。そこで、県議会で環境行政を所管する福祉生活病院常任委員会の委員として、以下の通り、評価書に対する意見を表明させていただこうと思っています。私は県民、特に地域住民の信頼に足る環境影響評価になることが重要だと思っていますし、今回の評価書を以て環境影響評価を終了させ、事業認可となってはいけないと思うからです。審査会は11日なので、ご意見のある方は教えてください。修正しようと思います。 

【1】情報公開と住民理解

知事意見(1)で、「住民意見に対して、十分な説明と誠意ある対応を行うとともに、周辺住民に対して情報公開に積極的に努めること」と求められていますが、事業者である東部組合の見解は、条例に基づく説明会の他、組合と市のホームページへの掲載、「国英地区地域振興推進本部だより」の発行等、広く情報提供に努めきた。これまで住民の皆様から頂いた意見については可能な限り対応するほか、情報公開については組合や市のホームページへの掲載など6項目の方法で積極的に行うというもの(評価書5-1)でした。

ホームページの掲載や紙媒体の配布を以て、情報公開は積極的にやってきたとする姿勢そのものが問題だと感じます。「迷惑施設」と言われる施設を建設する地方自治体の多くは、首長が先頭に立って自ら地域住民の家を1軒1軒回り、膝詰めで事業を説明するなど真摯な態度で住民に接し、何度も、何度も、訪ねてくる熱意に最後は住民が理解を示すような場面にも出会ってきましたが、ホームページや紙媒体の配布等で済まそうとする東部組合の対応は、こうした誠意ある態度とはかけ離れたものと言わざるを得ません。

国英地区では八頭環境施設組合(以下、八頭組合)の可燃物処理場「クリーンセンターやず」が38年間も稼働していました。八頭郡の各町で順番に処理場を巡回させていこうという考えが根底にあり、八頭組合と処理施設の周辺集落は2001年、「次期施設は本施設とその周辺には建設しない」とする協定書を締結し、2009年に操業を停止したという経緯があります。ところが、東部組合を構成する鳥取市は八頭郡内の河原町、用瀬町、佐治村を合併した存置団体であるにもかかわらず、「八頭組合は存続しており、東部組合とは別組織で、協定には拘束されない」という独自の論理を展開。この協定を否定して処理場の建設を計画したことから住民の強い反発を招きました。しかも、地元説明会で東部組合の管理者は「地元住民に反対がある間は計画を進めない」と明言しながら、環境影響評価へ進んだことが混乱に拍車をかける結果となり、現在、計画の中止を求めた住民訴訟まで提起されています。

民主的行政の基礎は住民との信頼関係にあることは言うまでもありません。このため、事業者から環境影響評価方法書が提出された段階から、知事は地域住民の理解を求める意見を付してきたのですが、東部組合の管理者の態度は、知事意見を軽視あるいは無視するに等しく、準備書や評価書でいくら、情報公開に努め、住民理解を得ると繰り返しても、信ずるに耐えるものとはいえなのではないでしょうか。

環境影響評価は、周辺環境への影響を予測評価するのが本義であり、事業者と住民の関係を評価するものではありませんが、情報公開と住民理解は、方法書の知事意見で求めたにもかかわらず補正できなかったため、準備書でも再掲となり、また、補正できなかったため、評価書でも再掲となったと考えています。従って、情報公開と住民理解が得られるまでは知事意見で補正を求め続けるべきであり、安易に許認可を与えるべきではないと考えます。そして、住民理解が得られたか否かの判断は、住民訴訟が取り下げられ、加えて、集落単位での反対運動がなくなることをもってなされるべきと考えます。

【2】基本設計もない段階での環境評価の問題性

知事意見(2)は「燃焼方式及び関係する諸元を評価書提出までに決定し、決定が困難な場合は、その理由を明らかにすること」と求めたところ、東部組合(以下、組合)は、「処理方式を決定することはメーカーを決定することに直結するため、慎重かつ公明正大な立場に立って、県東部圏域の一般廃棄物処理に適した処理方式を決定し、公表時期についても慎重に選択したうえで、公表する必要がある」と回答し、「各方式で最も影響が大きいと考えられるデータをもとに予測および評価をしているので問題ない」との立場を取っています。

 「慎重かつ公明正大に県東部圏域の一般廃棄物処理に適した処理方式を決定」することは当然のことであり、「公表時期についても慎重に選択したうえで、公表する必要がある」という論も理解できますが、そのことが、「評価書提出までに処理方式を決定できないこと」の根拠となるというのは論理矛盾であり、理解できません。仮に「慎重かつ公明正大に、公表時期についても慎重に選択する」ことに時間を要するのであれば、時間をかけて慎重に処理方式を決定すればよく、評価書提出までに時間をかけることができない時間的切迫性の説明がない限り、知事意見に対する論理的回答にはならないのではないでしょうか。

補正された評価書(評価書2-6)によると、組合は平成16年度に「可燃物処理施設整備検討委員会」を設置、同24年8月には焼却対象物や燃焼方式、事業実施方式等を決定する「施設マネージメント部会」を設けて検討中で、同25年7月に検討を終える計画であると記載されています。であるなら、環境影響評価そのものは、この検討結果を得た上で提出してスタートすべきで、方法書の公告・縦覧を21年9月に始めたこと自体が問題であったと言わざるを得ません。今回の知事意見では評価書の提出までに処理方式の決定を求めていますが、本年7月には結論を得ることが出来るはずなのですから、半年間が待てないという合理的かつ説得力のある説明をしない限り、この知事意見に対する回答にはならないと考えます。

 「各方式で最も影響が大きいと考えられるデータをもとに予測および評価」とされていますが、基本設計もできていない段階で、正確な環境影響評価ができるのでしょうか。例えば、焼却による熱エネルギーを利用して発電を行うとしていますが(評価書2-24)、焼却熱でタービンを回して発電するには大量の水蒸気を発生させることになるが、高温の水蒸気を大量に大気中に排出するのか、それとも、もう一度、冷却して排水処理するのか、また、あるいは、完全に外界と遮断して水を完全にリサイクルしながら使うのかでは全く違う状況になります。しかし、廃熱利用だけでも、これだけ環境影響評価は異なってくるのに評価書にはわずか4行記載されているにすぎず、環境への評価は全くなされていません。

この組合の姿勢は、基本設計もない段階で建設費の議論を延々続けている鳥取市庁舎新築問題と共通の問題性を含んでいると考えます。基本設計どころか、焼却方式も決定されていない段階で、環境影響評価をすること自体が問題であり、少なくとも焼却方式等について、施設マネージメント部会が決定する本年7月までは環境影響評価手続きを停止し、決定された焼却方式等に基づいて再度、環境影響評価をし直すように求めます。

 【3】評価書の数値の信憑性の疑問点

知事意見の(10)では「準備書全般において、単位の記載誤り等が散見されるため、評価書では正確な図書となるよう努めること。方法書からの変更箇所について漏れがないようにすること」と指摘され、組合は「評価書では正確な図書となるよう努めました」と回答されています。

準備書全般で単位の記載の誤りが散見されるということは、評価書そのものの信憑性が疑われていると言うに等しい指摘ではないでしょうか。これに対して、「正確な図書となるよう努めた」という回答を了承することはできません。再度、評価書のすべての数値について確認作業を求めるべきではないでしょうか。確認作業の過程での諸元、数式、そして、結論として数値の提出を求め、環境影響評価審査会において確認していただくようにお願いをしたいと思います。知事意見(6)の「計画目標値の設定について、目標計画にいたる検討の経緯及びその根拠を明らかにすること」という指摘も、評価書の数値に信憑性を投げかけたものに他なりませんが、「可燃物処理施設整備検討委員会」で関係法令と神谷清掃工場や米子クリーンセンターの数値を基に算出したというだけでは、十分ではないと思います。ここの数値について、根拠を明示させるべきではないでしょうか。

「方法書からの変更」された最大の点は処理能力を日量330トンから270トンにしたことですが、最大の諸元である処理能力を2割も変更させたのなら、方法書に立ち戻って再度やり直すべきだと考えます。環境影響評価は環境行政の根幹をなすものであり、環境行政への住民の信用を担保するためには、地域住民に評価しもらえるものにしなければない。そのためには、環境影響評価審査会におかれましては、提出された諸数値について、再度、諸元、数式に遡って再検証していただきたいと思います。

 【4】再評価の根拠の明示の必要性

 知事意見の個別事項(3)騒音では、「施設稼働に伴う騒音の予測結果では、その規制値を超えることから、適切な環境保全措置を検討し、再評価すること」と指摘されました。組合は「適切な環境保全措置を検討し、再評価した」として、予測結果を48デシベルから、43.6デシベルに引き下げ、深夜騒音規制値の45デシベルをクリアしたとしています。

 付加した環境保全措置はどれで、どの環境保全措置が、どれだけ騒音を低減したかが明示されていません。これでは、騒音規制値を間違えていて、48デシベルとしていたけれども、指摘があったので、43.6デシベルに記載の数値だけ切り下げて再提出されたと指摘されても、反論することが出来ないと思います。加えて、直近民家での現況騒音が45.9デシベルであるのに、施設稼働後の強化騒音が43.6デシベルであるとの予想値も、素人の私には理解できない。稼働している施設の方が、騒音が低減するのであれば、その根拠を明らかにすることが必要だと考える。規制値が超えていると指摘され、補正後の数値が規制値をクリアしたとするのなら、その根拠を明示すべきで、その明示がないままの修正は、評価書への信用性を毀損すると指摘される可能性を否定できないと考える。

 【5】基準値や規制値の変更についての確認

 「絶滅のおそれがある生物の種のリストは環境省分が平成24年8月に、県分が23年3月に改訂されているので、整合性を確認し、修正する」ように知事意見(7―エ)で求められ、組合は「整合性を確認して修正した」と回答されています。

 今回の環境影響評価は平成21年9月から始まっており、評価書が提出された同24年3月までには3年半の歳月が流れています。この間にリストが改訂されたにもかかわらず、古いリストのままで評価書が提出されたことは、各種規制値の基準についても、方法書の段階の基準のままで評価しているのではないかという疑念を抱かせます。環境影響表評価書に記載された諸目標値ついても、平成21年9月から同24年3月までの間に、規制値や基準値が変更されたものがないかどうか悉皆調査し、変更された数値があれば、評価書に記載された数値が規制値や基準値の範囲内にあることを確認するよう組合に対して求めていただきたいと思います。

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