すなば たかひろ

「元気で人に優しい鳥取」を取り戻すため、県議になった元新聞記者の挑戦記。みんなで鳥取の未来像を考えましょう!

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衆院の区割り改定は対処療法。衆参をペアーで考えた抜本的な選挙制度改革が必要

2013年03月29日 | 日記

 報道によると、衆院議員選挙区画定審議会が昨日夜、小選挙区の区割り改定案を安倍晋三首相に勧告しました。「0増5減」で定数が3から2に減る福井、山梨、徳島、高知、佐賀5県を含む17都県の42選挙区の区割りを見直したもので、現在、最大で2.524倍の1票の格差は、1.998倍に縮小されるそうです。1票の格差をめぐっては、2倍を超える状態を放置したまま投票された昨年末の衆院選に対して、各地の高裁・支部が「違憲」との判決を判示し、広島高裁と広島高裁岡山支部は「選挙無効」の判決を言い渡したそうです。安倍総理は勧告に基づく公職選挙法改正案を速やかに提出し、格差是正を急ぐ方針だそうですが、札幌高裁判決は「0増5減」の改定に対して「最小限の改定にすぎない」と厳しい評価をしています。

 私は選挙制度改革の議論で欠落している視点は、国会が二院制であるということではないでしょうか。今の選挙制度は衆院も、参院も選挙区と比例区が混在する形になっており、これでは駄目だと思うんです。

 これは私案ですが、衆院は国勢調査の毎に、厳格に区割りを見直します。人口が一番少ない鳥取県の有権者は48万6000人ですから、これに定数2を割り振ると、24万3000人に1人の衆院議員となります。これで全都道府県に当てはめますと、東京が44、神奈川が30、大阪が29、愛知と埼玉が24、千葉が21、山梨・福井・和歌山・徳島・香川・高知・佐賀が3、鳥取と島根が2となり、全部で427となります。現在は小選挙区300、比例区180の計480で、0増5減が実現しても475ですから、53減ですので、行革の方向にもあっているのではないでしょうか。参議院も、全国の都道府県に2づつ割り振り、少数会派に配慮して全国区に100を割り振り、計194の定数とします。現在は選挙区146、全国比例区96の242ですから、こちらも46の減となります。

 日本国憲法は、第43条で「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する」と定め、同2項で「両議院の議員の定数は、法律でこれを定める。」と記載するだけに、1票の格差を認めないとは書いておらず、選挙制度は法律で定めることが出来るという構成を取っています。ただ、第14条で「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」と定め、第44条は「両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない」とあるので、参院の都道府県につき、2を割り振るという発想に対して、裁判所が異論を差し挟む可能性はありますが、差別事項として列挙されている中には、地域は包含されていませんから、国会の裁量権を認めていただける可能性は残っているように思います。
 
 せっかく二院制を採用しているのですから、全く違った選挙制度を設定することで、多様な民意を国政に反映させることが大事だと思うのです。選挙制度は衆院、参院をペアーにして考えるべきではないでしょうか。0増5減などの、~増~減では、札幌高裁が指摘したように、対処療法に過ぎず、根本的な解決策にはならないと思います。選挙無効の判決が出た今こそ、国民全体でしっかりと議論すべきだと思います。 
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