小柴千鶴さんが「『あたりまえ』を取り戻す」を出版されます。
小柴さんは筋ジストロフィーで、首から上と指先しか動かせません。それでも、多くのボランティアとヘルパー、周囲の人々と共に2つの法人を立ち上げ、切り盛りする毎日です。この本は筋ジスを発症したときから始まり、病気の進行、福祉行政との関わり、配偶者との死別、そして、NPO法人「夢ハウス」、株式会社「えがお」の立ち上げと今日まで描かれています。
私が出会ったのは、私がまだ朝日新聞の記者だったころです。小柴さんは病状が進み、現在と同じような上京でした。そして、ちょうどころころ、措置だった対応が、法制度の変更で事業所との契約になったんです。介護になれていないヘルパーさんが小柴さんを介護することが多かったそうです。小柴さんは体を支えることも出来ませんから、きちんと姿勢を支えてあげないと痛みが激しく、命の恐怖さえ感じるわけです。それで厳しい言葉になり、トラブルになります。介護事業者はそのことを理由に小柴さんの介護を断るという状態でした。そのころのことも本に書いてありますが、記者として市役所に取材し、制度の問題点をヒシヒシと感じました。介護を事業所は拒否できませんが、正当な理由があれば、介護を拒否できます。そして、行政は現場で十分に確認することなく、事業者の申請を聞いて、許否を容認するという事態が続いていました。
小柴さんのすごいところは、ならば自分で介護事業所を立ち上げようと思ったところです。そして、設立されたんですね。その後、「障がい者だって、普通に生きたい」「普通に生きるって、やはり、働くことではないのか」。そうした思い募ったそうです。その思いが、小規模事業の立ち上げに繋がり、現在のNPO法人「夢ハウス」と株式会社「えがお」へと発展していきました。その辺は本に書いてありますから、4月初旬には書店に並ぶそうですから、ぜひ、買って読んでください。元気をもらえると思いますよ。
私がマイノリティーの味方になりたい。福祉は特別なことではなく、社会のセーフティーネットとして整備すべきだと強く思うようになったのは小柴さんとの出会いが大きかったと思います。それが、県議として福祉と環境に力を入れている今に繋がっています。恥ずかしながら私は涙腺を緩めながら読みました。