今、県民参画条例案の審議を県議会でしています。情報公開・情報提供や広聴、県民投票などを定めたもので、県民に開かれた公正な県政を確立し、鳥取県ならではの県民の参加と協働による県政を実現しようとする方向性には大賛成です。しかし、県民投票を巡っては、いくつかの問題があるように思います。
県民投票は、(ア)県の存立の基礎的条件に関する事項(イ)県の実施する特定の重要施策に関する事項 (ウ)前各号に定めるもののほか、現在又は将来の県及び県民全体に重大な影響を与える政策上の具体的事項について、(A1)県民の10分の1の署名で県議会が賛成した場合、(A2)県民の3分の1が署名した場合、(B)知事が発議し、県議会の過半数が反対しなかった場合、(C)3人以上の県議で発議し、県議会の過半数の賛成した場合に実施されます。執行部は、知事と議会が十分な議論を尽くした上で直接住民の意見を問う必要がある場合、知事と議会が膠着状態に陥った場合、住民が自ら意思表示する気運が生じた場合などに備えての制度設計と説明しています。
1つ目の問題は、地方自治法は、県議会の賛成があれば、50分の1の署名で住民投票が出来るのに、今回は10分の1としたことで、むしろ、条例がハードルを上げてしまわないか。また、住民の3分の1の署名で、議会の同意がなくても実施されますが、この3分の1の署名はは、とてつもなくハードルが高いと言うことです。市庁舎を巡る住民投票請求では、有権者約16万人のうち、3分の1の約5万4000人の署名を集めて本請求しましたが、選管で押印もれや住所地で確認できなかった者などを除くと5万人強で、3分の1を割り込みました。鳥取県の有権者は48万人ですから、32万人の署名を集めるのは途方もなく大変なことだと思います。
2つめ目の問題は、投票率が50%を超えないと開票されないことです、昨年の知事選、政令指定都市長選が4つありましたが、山口県45%、鹿児島県43%、熊本県38%、京都市36%と一つも50%を超えたものがありません。
3つめ目の問題は、全市町村に共通的に協力を仰ぐため、投票権者を現行の公職選挙法の有権者としたことです。多くの市町村が在日外国人と18歳以上を対象にしているのにも関わらず、在日外国人を除外し、20歳以上としたのはいかがなものでしょうか。確かにそうすると、選挙人名簿は常置されていますので、市町村の負担にはなりませんが、アメリカ独立戦争が「代表なくして課税なし」をかけ声に始まったことからわかるように、課税と参政権はペアで考えるべきで、市町村の手間という理由で、権利を与えないのでは、新しい鳥取型の民主主義をつくるというキャッチフレーズが、あまりに空疎に聞こえます。
加えて、県民投票権は厳格に言うと参政権ではありません。参政権は普通、被選挙権と選挙権を指します。県民投票権は地域づくりに、地域の人の意見を活かしましょうという制度です。在日の人も、10代の人も、地域に住む大切な地域の住民です。その意見も大切にしましょうということが、どうしていけないのだろうかと思うんです。
皆さんはいかがお考えですか?
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます