9月県議会での一般質問は、食品添加物や食育の問題を取り上げました。昨年6月にも地酒支援策をテーマに「食のみやこ鳥取県」は本物かと質問しましたので、今回はPart2です。一般質問はまず、登壇しておこないます。今だに緊張します。
鳥取市選出の砂場でございます。昨年の6月定例会では、地酒支援策を切り口に「食のみやこ鳥取県」は本物かのテーマで議論をさせていただきました。本日は、食の安心・安全と教育を切り口に再度「食のみやこ鳥取県」パート2と題して質問をさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
議長のお許しを得て、お手元に資料を配付させていただきました。1ページの下をごらんください。江戸時代の法曹学者貝原益軒の著、「養生訓」の第3巻、飲食の上の冒頭部分を載せております。現代和訳いたしますと、「人の体は元気を天地から受けてできたものであるが、飲食によって得られる栄養がないと元気は飢えて命を保つことは難しい。元気は生命の基盤である。そして飲食が生命を養っている」となるのでしょうか。私もそう思います。食なくして生きることはできません。命を保つために食があると思います。そうすると安心・安全は、食の基本です。本年4月、「食のみやことっとり~食育プラン~」の第2次計画がスタートいたしました。私は、「食のみやこ鳥取県」の基本は安心・安全にまず置くべきだと思いますが、平井知事はいかがお考えでしょうか、まずそこからお聞かせください。
実は私は、3代続いた料亭の三男坊です。記者時代も「西日本食ある記」という食レポの担当もしておりました。しかし、食に関して一番大きな影響を受けたのは、県職員から鳥取市議会議員に転じた川瀬滋子さんです。食と農の問題に真剣に向き合い、食育の大切さをしっかりと訴えておられましたが、本当に残念なことにことし6月7日、病のため67歳で他界されました。痛惜の念を禁じ得ませんし、御冥福を心からお祈り上げたいと申します。その川瀬さんがとても心配しておられたのがこれから話す食品添加物の問題です。
2ページ目の上の左側をごらんください。その食品添加物ですが、現在使用が許可されている指定添加物は 436品目あります。既存添加物は、平成7年の食品衛生法改正で指定範囲が化学的合成品から、全ての添加物に拡大されたことに伴い、法改正当時既に使用されたものを例外的に認め365品目あります。新規の指定添加物は、安全性について食品安全委員会の評価を受け、食品衛生法第10条に基づき厚生労働大臣が許可をしています。
ページの右側をごらんください。具体的にはいろんな毒性試験をして、生体に摂取しても問題がない無作為容量を特定します。これに安全係数を掛けた容量が、一生涯とり続けても害がない量、つまり1日許容量、ADIとなります。安全係数は、実験動物と人間の種による差を10倍、人間の個人差を10倍として、 100分の1とされています。添加物は、何種類かの食物から摂取しますので、トータルとして1日摂取量を超えないように食品ごとに使用量を使用基準として提示しています。
次は、具体的にその例について考えてみたいと思うのですが、2ページの下をごらんください。甘味料であるアセスルファムカリウムの動物実験の結果です。ラットへの1回の投与では、体重1キロ当たり 5.5グラムから 7.5グラム投与しなければ生体に影響は出ませんでしたが、2年間投与を続ければ1日 1,500ミリグラムで影響が出ました。こうして、さまざまな実験を繰り返し、影響が出る一番少ない量を求めます。これが閾値です。
3ページの上をごらんください。今の話をグラフにしたものです。得られた閾値に安全係数の 100分の1を掛けたものが1日の摂取許容量となります。そして反対に摂取量を増やしていけば、やがて中毒領域に達して中毒になり、さらに増えれば致死量となります。今許可されているものは、使用量が守られているから安全というのがこの法律の考え方です。
3ページの下をごらんください。ここで少し話をまとめます。1日許容摂取量は、動物実験で決めれたに過ぎません。摂取期間が長くなればなるほど少量でも影響が出る傾向にあります。白血病と症状が似た骨髄異形成症候群が広島や長崎で被爆した皆さんに今多発をしています。これは原爆の放射線が遺伝子の一部を傷つけ、それが徐々にふえ続け、半世紀という長い時間を経て発症するというメカニズムが近年やっとわかってまいりました。そのことを思うと今のような動物実験では心配です。
安全係数は、厚労省に聞いたり、本で調べたり、さんざん調査したのですが、経験値であり、国際的に使われるという回答にとどまり、明確な根拠はわかりませんでした。つまり指定添加物は、安全評価をした時点の科学的知見で安全と推定されたにすぎない。その根拠に一定許可されながら取り消された添加物は、成分の重複による取り消しを含め83目も数えます。戦後、衛生状態の悪いときには殺菌剤や防腐剤を使ったほうが安全だったかもしれません。しかし、冷蔵庫が普及し、衛生状態が改善した今、使い続ける必要性があるのでしょうか。加えて添加物の味に慣れ、天然の微妙な味わいがわからなくなる味覚障害の危険性も繰り返し指摘されております。平井知事の食品添加物に対する認識をお聞かせください。これが第2の質問です。
4ページの上をごらんください。昆布の味はLグルタミン酸とLグルタミン酸ナトリウム、かつおぶしの味は5イノシン酸二ナトリウム、シイタケの味は5グアニル酸二ナトリウム、シジミなどの貝類の味はコハク酸だということがわかってきました。グルタミン酸を化学生成したものがうまみ調味料、その他を化学生成したものが風味調味料となります。
4ページの下をごらんください。うまみ調味料は、ここ5年で生産量は5万 6,000トンから2割近くも減少していますが、輸入量がそれを補い、国内供給量はむしろふえています。1年当たり1人約 800グラムと、1キロ近く摂取しております。
5ページをごらんください。左側は国内での用途です。家庭は、わずか3%しか使われていません。主婦の皆さんがいかに敬遠しているかがわかります。残りは業務用、加工用です。皆さん、ラーメン屋さんが、どばっとグルタミン酸ソーダをラーメンの丼に入れられることを見たことがあると思います。外食、中食では大量に使われています。インスタントラーメンや加工食品、冷凍食品、食品とまぜるだけでプロの料理になる食品などにもたくさん入っています。そして、それは右の図が示すように、日本の食品会社が海外に工場を建て、日本に逆輸入しているのがその現実です。
5ページの下をごらんください。めんつゆの販売量は年々ふえていますが、ここにも、うまみ調味料はたくさん使われています。風味調味料は、単体ではうまみ調味料と同じように減っていることがわかります。ここに主婦の皆さんの思いを見る気がいたします。
「食のみやこ鳥取県」では、地産地消プロジェクトを進めています。大手食品メーカーとタイアップして推奨メニューを5品開発されました。6ページがそのレシピです。その中で食品メーカーの商品が赤い太字で示しております。
7ページから8ページの上までは、その商品の原材料表示を抜き出してきました。赤い太字が食品加工物です。
8ページの下をごらんください。その中にはたんぱく質分解物のような発がん性の疑われるもの、スクラロースのように肝臓にダメージを与える可能性があるもの、酵母エキスのように食物アレルギーをお持ちの方には問題のあるものがあります。もちろん使用量は1日許容量以下ですから、法的には何の問題もございません。
9ページの上をごらんください。これは表示の問題です。ブドウ糖果糖糖液と書いてありますが、まるで果物からとったブドウ糖のように思えますが、JAS法では果糖の割合である果糖含有率が50%未満のものをこう表示し、50%以上90%未満なら果糖ブドウ糖液、90%以上なら高果糖糖液と示すことになっています。しかし、こんなのは普通の市民にはわかりません。しかも残りの糖はどんなものかも表示がされていません。
そして、私が一番問題だと思うのは、うまみ調味料の表示です。グルタミン酸ナトリウムで単独に使用した場合は「調味料(アミノ酸)」と、核酸系調味料を併用した場合は「調味料(アミノ酸等)」と表示することになっています。普通の消費者は、アミノ酸といえば体によいものと思ってしまわないでしょうか。化学合成されたものとイメージするでしょうか。そこが問題です。消費者団体の多くが「調味料(グルタミン酸ナトリウム)」と表示すべきだと要望しておりますが、私もそのように思います。酸味料も同様であります。こういう表示は、一括表示をして法的には認められていますが、やはり何が入っているか明示すべきだと思います。
少し飛んで、10ページの裏上をごらんください。結局、食品添加物は安全と言い切れるのでしょうか。必要と言い切れるのでしょうか。私は疑問に思います。加えて食は伝統であり、文化であるとも思います。料理の鉄人であった服部幸應さんに以前、取材したことがあるのですが、そのとき服部さんは、日本料理の基本は出汁と塩梅、つまり塩かげんと教えてくれました。鳥取には、アゴ、つまりトビウオの干し物でとるアゴ出汁があります。伝統の食文化です。本当においしいと思います。料理の基本である出汁を大切にしてこそ、本当の「食のみやこ鳥取県」ではないでしょうか。うまみ調味料や風味調味料が忙しい主婦の皆さんが家庭の食事を調えるとき本当に便利なツールであることは否定いたしません。毎朝出汁を取れとも言いません。賢く家事をしていただければそれでいいと思います。しかし、食品添加物を使った食品をつくったレシピをつくり、食品添加物を推奨することは県の仕事ではないと思います。「食のみやこ鳥取県」は、あくまでも本物志向であり、安心・安全を大切にするとともに、伝統の食文化を大切にするものであってほしいと思います。平井知事、いかがでございましょうか。これが3つ目の質問です。
次は、教育委員長に質問をいたします。
10ページの下をごらんください。県教委で小・中学校の生活科や家庭科の教科書と副読本を見せていただきました。そこには食品添加物がどういうもので、どのように表示されているか段階を追って記述してありました。出汁の取り方も写真入りで説明されていました。しかし、食品添加物をどう評価するかは、ここに示したように賛成、反対の意見が紹介され、両論併記にとどまっております。判断は現場の先生方に任されているのでしょうか。中島教育委員長、まず食育をどうお考えかお聞かせください。そして、食育の中で食品添加物を子供たちにどう教えるべきかお考えかお聞かせ願いたいと思います。 以上で壇上の質問を終わります。
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