22日午後10時からの本会議で、県民参画条例が採決されますが、私は壇上から反対を討論をします。鳥取市庁舎を巡る住民投票では、本当にたくさんの皆様に一緒に頑張っていただき、心から感謝していますが、その教訓が活かされていないからです。
この条例案では、県民の6分の1以上の署名で発議した時は県議会の承認で投票実施。3分の1の署名で発議したときは、議会の賛否にかかわらず投票が実施されるというスキームです。鳥取市の場合、3分の1の署名を集めましたが、それがどれだけ大変だったか。しかも、5万4000人集めた署名が、5万1000人しか有効署名と認められず、3分の1をわずかに下回りました。
また、投票率が50%も成立要件になりますが、昨年実施された県知事選で50%を超えた選挙はありませんでした。
しかも、法的拘束力がないという問題もあります。鳥取市では法的拘束力がなかったから、その後の迷走が始まりました。こうした論点からも反対します。
加えて、投票権は有権者となっていますが、私は18歳以上も、在日外国人も投票に参加していただきたいので、その点でも反対です。
本会議場の壇上から発言しますので、議会で傍聴していただいても幸甚ですし、県議会のネット中継もされるので、関心をもっていただければ嬉しいです。
安倍総理が環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加を表明しましたが、同時に甘利経済再生相が、TPPに参加した場合の経済効果の試算を発表しました。この関税全品目をてっぱした場合の10年後の経済効果の推計は、まさにTPPの実態を表していると思います。
プラス面は、輸出が2兆6千億円、国内消費増が3兆円、企業の投資増が5千億円などある判明、マイナス面は、農産物など安い輸入品がGDPを押し下げてる分が2兆9千億円などで、トータルではGDPは3兆2千億円増えるというものなんですね。一方、国内の農林水産物の生産額はコメや小麦、砂糖など33品目で計7兆円が3兆円減るというものでした。
都市の住民は、安い農産物がどんどん入ってきて国産品と置き換わっていくので、家計が助かる上、企業の利潤も自分の給与も上がっていくので、メリットが大きい反面、農家は生産額が半減して、壊滅的な打撃を受けることが明らかになったと言えます。
自民党はコメ、小麦、乳製品、牛肉・豚肉、砂糖など甘味資源作物の5品目を関税撤廃の例外とするように決議しましたが、これは関税撤廃に反対するだけで、現在のコメ778%。小麦252%、砂糖328%、牛肉38.5%という高い関税をそのまま維持するとは言っていません。関税が残っても、米国の自動車の2.5%、カナダのエアコンの6%に揃えましょうということにでもなれば、関税撤廃と同じようになるのではないでしょうか。
都市住民のメリットが大きいと言いましたが、暮らしの安全という意味では、問題が大きいと思っています。輸入農産物のポストハーベストの規制緩和、遺伝子組み換え食品の輸入が拡大されるほか、医療の自由化、外国企業の官公庁入札への参加なども想定され、マイナス面も出てくると思われます。
二国間協定を重ねている中国や韓国の例もあります。なざ、TPPでなければならないのか、私には分かりません。オバマは輸出拡大で景気を拡幅すると公約し、再選されました。TPPは米国の輸出でメリットく、米国が熱心なのは当然です。米国のメリットのために、日本が犠牲になるのではたまりません。私はそう思いますが皆さんはどう思われますか。
今、県民参画条例案の審議を県議会でしています。情報公開・情報提供や広聴、県民投票などを定めたもので、県民に開かれた公正な県政を確立し、鳥取県ならではの県民の参加と協働による県政を実現しようとする方向性には大賛成です。しかし、県民投票を巡っては、いくつかの問題があるように思います。
県民投票は、(ア)県の存立の基礎的条件に関する事項(イ)県の実施する特定の重要施策に関する事項 (ウ)前各号に定めるもののほか、現在又は将来の県及び県民全体に重大な影響を与える政策上の具体的事項について、(A1)県民の10分の1の署名で県議会が賛成した場合、(A2)県民の3分の1が署名した場合、(B)知事が発議し、県議会の過半数が反対しなかった場合、(C)3人以上の県議で発議し、県議会の過半数の賛成した場合に実施されます。執行部は、知事と議会が十分な議論を尽くした上で直接住民の意見を問う必要がある場合、知事と議会が膠着状態に陥った場合、住民が自ら意思表示する気運が生じた場合などに備えての制度設計と説明しています。
1つ目の問題は、地方自治法は、県議会の賛成があれば、50分の1の署名で住民投票が出来るのに、今回は10分の1としたことで、むしろ、条例がハードルを上げてしまわないか。また、住民の3分の1の署名で、議会の同意がなくても実施されますが、この3分の1の署名はは、とてつもなくハードルが高いと言うことです。市庁舎を巡る住民投票請求では、有権者約16万人のうち、3分の1の約5万4000人の署名を集めて本請求しましたが、選管で押印もれや住所地で確認できなかった者などを除くと5万人強で、3分の1を割り込みました。鳥取県の有権者は48万人ですから、32万人の署名を集めるのは途方もなく大変なことだと思います。
2つめ目の問題は、投票率が50%を超えないと開票されないことです、昨年の知事選、政令指定都市長選が4つありましたが、山口県45%、鹿児島県43%、熊本県38%、京都市36%と一つも50%を超えたものがありません。
3つめ目の問題は、全市町村に共通的に協力を仰ぐため、投票権者を現行の公職選挙法の有権者としたことです。多くの市町村が在日外国人と18歳以上を対象にしているのにも関わらず、在日外国人を除外し、20歳以上としたのはいかがなものでしょうか。確かにそうすると、選挙人名簿は常置されていますので、市町村の負担にはなりませんが、アメリカ独立戦争が「代表なくして課税なし」をかけ声に始まったことからわかるように、課税と参政権はペアで考えるべきで、市町村の手間という理由で、権利を与えないのでは、新しい鳥取型の民主主義をつくるというキャッチフレーズが、あまりに空疎に聞こえます。
加えて、県民投票権は厳格に言うと参政権ではありません。参政権は普通、被選挙権と選挙権を指します。県民投票権は地域づくりに、地域の人の意見を活かしましょうという制度です。在日の人も、10代の人も、地域に住む大切な地域の住民です。その意見も大切にしましょうということが、どうしていけないのだろうかと思うんです。
皆さんはいかがお考えですか?
産業技術センターに試作用酒造プラントが導入されることになりました。昨年6月の一般質問は、すべての時間を使って地酒振興策を知事に求めましたが、その中で、「市場のニーズにあった新製品の開発は不可欠であり、県は支援をすべきだ。中国5県で酒造プラントがないのは鳥取県だけなので経産省の補助金などを活用して早急に導入すべきだ」と知事に強く求めたのですが、それが実現したもので、嬉しい限りです。県内の酒造メーカーの皆さんが、このプラントをしっかり活用して、鳥取の地酒は日本で一番と思っていますが、その魅力がさらにアップしていただけるものと期待しています。
質問の中で指摘しましたが、平成11年には県内には29社の酒蔵がありましたが、現在は19社で、今春でさらに1社が製造を停止します。消費者ニーズの多様化などで清酒の需要が低迷していることと、杜氏さんの高齢化と後継者難から杜氏制度の維持が難しくなっていることが、その理由です。産業技術センターに酒造プラントがあれば、新製品の開発に産業技術センターが今まで以上に助力するとこがきでますし、酒蔵も酒造整備を新製品開発に割く必要もなくなります。杜氏さんに代わって、社長さんら蔵元の社員による醸造が主となりつつありますので、技術指導にも活躍してくれるはずです。
酒造プラントが約2800万円と高価ですが、経産省の補助金を活用できるようになり、3月末までには設置が終了。調整やセンター職員の研修に2ヶ月ほどかかりますが、6月ごろからは稼働できると県商工労働部から報告を受けました。酒造りは時間がかかりますので、酒造プラントを1回稼働させると約45万円かかります。これだけランニングコストがかかると、酒蔵も使用に二の足を踏まれるのではないかと心配したんですけど、県の単独事業で、新しい産業センターの運営費補助金(酒造りプラント補助金)を新設することで解決してくれました。産業センターが5万円分負担し、残りの3分の2を県が産業センターに補助形で間接補助し、酒蔵は約13万円で使用できることになったんです。このため、新年度予算には133万円が計上されています。
ハードの整備をしても、ソフト部分まで配慮しないと、せっかくのハード整備が活用されないケースが散見されます。今回、県商工労働部には酒造プラントを整備するだけでなく、プラント使用料にも配慮して、新しい補助金制度も設けていただきましたので、きっと酒造プラントは活用され、鳥取県の地酒に新しい魅力を付加してくれることでしょう。頑張れ! 鳥取の蔵元。頑張れ! 鳥取の地酒!
昨日、旧鳥取高等農業学校玄関の建物の存置を求める決議を議員提案し、私たち、会派かけはし、自民党、共産党の賛成多数で可決しました。民主系のきずな、公明党、長谷川議員、谷村議員は退席されました。
退席理由は、鳥取市のことに県議会が議決するのは地方分権に反するなどとの理由でしたが、これはおかしいと思います。
問題は鳥取県民にとってメモリアルな建築物である建物を保存するか、どうかということです。県も文化行政を遂行する責任があり、文化財を守る責任があると思います。文化財に指定されたものだけが文化財ではありません。文化的な価値があるものが文化財であり、今、指定がなくとも今後、歳月を重ねれば文化財指定されるであろうものはたくさんあります。
建物を含む用地を鳥取市が買収する用意があるとしても、これは地方公共団体がする売買行為であり、県の規制や指導とは関係ないというものではありません。むしろ、鳥取市と密接に連携し、保全へ向けて努力すべきだと思います。ですから、意味不明の退席であり、私は理解できません。あるものを大切にする省エネこそが、一番の新エネルギーだという視点から、一般質問でも、この問題を取り上げたいと思います。
旧鳥取高等農業学校玄関の建物の存置を求める決議
旧鳥取高等農業学校(以下「鳥取高農」という。)は、全国で3番目の国立高等農業学校として、大正10年に開学し、その後、昭和24年に鳥取大学農学部として再スタートしている。
開学以来、世界的に有名な乾燥地研究センターにおける乾燥地研究、鳥取県の特産物である二十世紀梨、しいたけ、米の改良などに取り組み、鳥取県の農業振興に大きく貢献するとともに、優秀な人材を育ててきている。
鳥取高農の校舎は、開学を望む県民の募金によって鳥取市南吉方に建設された。後身の鳥取大学農学部が昭和41年に鳥取市湖山町に移転し、旧敷地には当時の高田鳥取市長によって、鳥取三洋電機が誘致され、工場として活用された。
その後、同社の事業拡張等に伴い、鳥取高農の旧校舎は平成13年には全面解体される予定であったが、保存に向けた市民運動もあり、歴代の鳥取市長や鳥取三洋電機の配慮によって、旧校舎の玄関部分の建物は、鳥取高農のシンボルとして今日まで存置されてきた。
このたび、三洋電機は、同社の事業再編により、鳥取市南吉方の工場の閉鎖、更地化を決定し、鳥取大学農学部同窓会に対して、旧校舎の玄関部分の建物も解体する方針であることを通告しており、今年3月には当該建物の解体工事に着手している。
企業は、利益追求のみならず、地元と共に共存共栄し、共生することも強く求められていることは、論を待たないところである。
当該建物の建築を設計・指導したのは、文部省大臣官房建築課長だった柴垣鼎太郎氏。柴垣氏は重要文化財に指定されている中央停車場(東京駅)や日銀本店を設計した日本を代表する建築家である辰野金吾氏の愛弟子であり、大正、昭和初期の代表的建築家の1人である。アーチ型の玄関などルネサンス風の外観が特徴であり、とりわけ、昭和27年の鳥取大火で市街地の大部分が焼失した鳥取市にあって、大正期の貴重な建築物である。県や市指定文化財に相当する由緒ある建物で、県民が誇る貴重な文化遺産であり、県民共有の財産である。
よって、鳥取県議会は、旧校舎の玄関部分の建物の解体に強く反対し、県においては、当該建物が県民の財産として保存されるよう関係者に働きかけるなど尽力されることを強く求め、ここに決議する。
安倍総理は2月28日の所信表明演説で、「原子力規制委員会の下で、新たな安全文化を創り上げ、安全が確認された原発は再稼働する」と明言されました。各原発で活断層の存在が指摘され、これまで以上に原発が大きな地震に襲われる危険性がクローズアップされていることをどう考えているんでしょうか。安全文化って何なんですかね。これまでの安全神話とどう違うんでしょうか。本気で原発の安全性を確認することができると思っているとしたら、いったいどういう情報が総理に入っているのか、大きな問題があるように思います。
県は地域防災防災計画は3月18日までに国に提出することになっています。そうすることで、隣接県として原発への立入調査権のほか、鳥取県がする原子力防災対策にかかる費用が交付税措置がなされます。被害想定は福島第一原発と同程度を想定し、UPZの30キロ圏内での避難や安定ヨウ素剤の配布などを定めたものなのですが、わたしには不満です。島根原発は原子炉だけでなく、使用済み核燃料が360トンもプールに貯蔵されています。もし、このプールが水漏れを起こして使用済み核燃料が露出すれば、メルトダウンを起こす危険があります。そうなれば被害は炉心が崩壊した福島第一原発どころではなくなります。シューマッハがこの放射性核廃棄物の問題を指摘してから、半世紀以上が経ちましたが、何も解決されていません。
核増殖炉が実現していたのなら、使用済み核燃料が、リサイクルされ、半永久的に使用できるはずだったのですが、頓挫しています。原発の稼働が続けば続くだけ、どんどん核廃棄物が生まれます。これからは地中深く埋めて、何万年もかけて崩壊するのを待つしかないんです。もう、そろそろ原発とは縁を切らないといけないと思うんです。
原発事故は操作ミスの他、福島第一原発のように地震と津波の複合災害も想定しなければなりません。テロのような意図的は破壊の危険だってあるんです。そんなすべての事象に対応できる対策は可能なんでしょうか。そのためにいったいどれくらいのお金が必要なのでしょうか。大飯原発の再稼働を認めるまで、日本の原発はすべて停止しましたが、停電は起こりませんでした。原発の稼働は結局、発電コストの問題に帰着すると思います。
原発事故は多くの人々の命に直結します。安全文化で守れるものではないと思います。再稼働は慎重なうえにも、慎重であるべきだと思います。
県東部広域行政管理組合(以下、東部組合)が、鳥取市河原町内で計画している可燃物処理場の環境影響評価書を提出されました。今回の評価書は、東部組合が提出した環境影響評価準備書に対する知事意見について、事業者としての見解をまとめ、修正したり、再評価したりしたものです。知事意見は専門家で構成する県環境影響評価審査会で真剣に議論されたものですから、東部組合は知事意見を真摯に受け止め、真剣に再評価しなればならないと考えますが、評価書では知事意見が十分に反映されたどうか疑問を感じる点があり、評価書の各数値についての信憑性が揺らいでいるようにさえ思います。そこで、県議会で環境行政を所管する福祉生活病院常任委員会の委員として、以下の通り、評価書に対する意見を表明させていただこうと思っています。私は県民、特に地域住民の信頼に足る環境影響評価になることが重要だと思っていますし、今回の評価書を以て環境影響評価を終了させ、事業認可となってはいけないと思うからです。審査会は11日なので、ご意見のある方は教えてください。修正しようと思います。
【1】情報公開と住民理解
知事意見(1)で、「住民意見に対して、十分な説明と誠意ある対応を行うとともに、周辺住民に対して情報公開に積極的に努めること」と求められていますが、事業者である東部組合の見解は、条例に基づく説明会の他、組合と市のホームページへの掲載、「国英地区地域振興推進本部だより」の発行等、広く情報提供に努めきた。これまで住民の皆様から頂いた意見については可能な限り対応するほか、情報公開については組合や市のホームページへの掲載など6項目の方法で積極的に行うというもの(評価書5-1)でした。
ホームページの掲載や紙媒体の配布を以て、情報公開は積極的にやってきたとする姿勢そのものが問題だと感じます。「迷惑施設」と言われる施設を建設する地方自治体の多くは、首長が先頭に立って自ら地域住民の家を1軒1軒回り、膝詰めで事業を説明するなど真摯な態度で住民に接し、何度も、何度も、訪ねてくる熱意に最後は住民が理解を示すような場面にも出会ってきましたが、ホームページや紙媒体の配布等で済まそうとする東部組合の対応は、こうした誠意ある態度とはかけ離れたものと言わざるを得ません。
国英地区では八頭環境施設組合(以下、八頭組合)の可燃物処理場「クリーンセンターやず」が38年間も稼働していました。八頭郡の各町で順番に処理場を巡回させていこうという考えが根底にあり、八頭組合と処理施設の周辺集落は2001年、「次期施設は本施設とその周辺には建設しない」とする協定書を締結し、2009年に操業を停止したという経緯があります。ところが、東部組合を構成する鳥取市は八頭郡内の河原町、用瀬町、佐治村を合併した存置団体であるにもかかわらず、「八頭組合は存続しており、東部組合とは別組織で、協定には拘束されない」という独自の論理を展開。この協定を否定して処理場の建設を計画したことから住民の強い反発を招きました。しかも、地元説明会で東部組合の管理者は「地元住民に反対がある間は計画を進めない」と明言しながら、環境影響評価へ進んだことが混乱に拍車をかける結果となり、現在、計画の中止を求めた住民訴訟まで提起されています。
民主的行政の基礎は住民との信頼関係にあることは言うまでもありません。このため、事業者から環境影響評価方法書が提出された段階から、知事は地域住民の理解を求める意見を付してきたのですが、東部組合の管理者の態度は、知事意見を軽視あるいは無視するに等しく、準備書や評価書でいくら、情報公開に努め、住民理解を得ると繰り返しても、信ずるに耐えるものとはいえなのではないでしょうか。
環境影響評価は、周辺環境への影響を予測評価するのが本義であり、事業者と住民の関係を評価するものではありませんが、情報公開と住民理解は、方法書の知事意見で求めたにもかかわらず補正できなかったため、準備書でも再掲となり、また、補正できなかったため、評価書でも再掲となったと考えています。従って、情報公開と住民理解が得られるまでは知事意見で補正を求め続けるべきであり、安易に許認可を与えるべきではないと考えます。そして、住民理解が得られたか否かの判断は、住民訴訟が取り下げられ、加えて、集落単位での反対運動がなくなることをもってなされるべきと考えます。
【2】基本設計もない段階での環境評価の問題性
知事意見(2)は「燃焼方式及び関係する諸元を評価書提出までに決定し、決定が困難な場合は、その理由を明らかにすること」と求めたところ、東部組合(以下、組合)は、「処理方式を決定することはメーカーを決定することに直結するため、慎重かつ公明正大な立場に立って、県東部圏域の一般廃棄物処理に適した処理方式を決定し、公表時期についても慎重に選択したうえで、公表する必要がある」と回答し、「各方式で最も影響が大きいと考えられるデータをもとに予測および評価をしているので問題ない」との立場を取っています。
「慎重かつ公明正大に県東部圏域の一般廃棄物処理に適した処理方式を決定」することは当然のことであり、「公表時期についても慎重に選択したうえで、公表する必要がある」という論も理解できますが、そのことが、「評価書提出までに処理方式を決定できないこと」の根拠となるというのは論理矛盾であり、理解できません。仮に「慎重かつ公明正大に、公表時期についても慎重に選択する」ことに時間を要するのであれば、時間をかけて慎重に処理方式を決定すればよく、評価書提出までに時間をかけることができない時間的切迫性の説明がない限り、知事意見に対する論理的回答にはならないのではないでしょうか。
補正された評価書(評価書2-6)によると、組合は平成16年度に「可燃物処理施設整備検討委員会」を設置、同24年8月には焼却対象物や燃焼方式、事業実施方式等を決定する「施設マネージメント部会」を設けて検討中で、同25年7月に検討を終える計画であると記載されています。であるなら、環境影響評価そのものは、この検討結果を得た上で提出してスタートすべきで、方法書の公告・縦覧を21年9月に始めたこと自体が問題であったと言わざるを得ません。今回の知事意見では評価書の提出までに処理方式の決定を求めていますが、本年7月には結論を得ることが出来るはずなのですから、半年間が待てないという合理的かつ説得力のある説明をしない限り、この知事意見に対する回答にはならないと考えます。
「各方式で最も影響が大きいと考えられるデータをもとに予測および評価」とされていますが、基本設計もできていない段階で、正確な環境影響評価ができるのでしょうか。例えば、焼却による熱エネルギーを利用して発電を行うとしていますが(評価書2-24)、焼却熱でタービンを回して発電するには大量の水蒸気を発生させることになるが、高温の水蒸気を大量に大気中に排出するのか、それとも、もう一度、冷却して排水処理するのか、また、あるいは、完全に外界と遮断して水を完全にリサイクルしながら使うのかでは全く違う状況になります。しかし、廃熱利用だけでも、これだけ環境影響評価は異なってくるのに評価書にはわずか4行記載されているにすぎず、環境への評価は全くなされていません。
この組合の姿勢は、基本設計もない段階で建設費の議論を延々続けている鳥取市庁舎新築問題と共通の問題性を含んでいると考えます。基本設計どころか、焼却方式も決定されていない段階で、環境影響評価をすること自体が問題であり、少なくとも焼却方式等について、施設マネージメント部会が決定する本年7月までは環境影響評価手続きを停止し、決定された焼却方式等に基づいて再度、環境影響評価をし直すように求めます。
【3】評価書の数値の信憑性の疑問点
知事意見の(10)では「準備書全般において、単位の記載誤り等が散見されるため、評価書では正確な図書となるよう努めること。方法書からの変更箇所について漏れがないようにすること」と指摘され、組合は「評価書では正確な図書となるよう努めました」と回答されています。
準備書全般で単位の記載の誤りが散見されるということは、評価書そのものの信憑性が疑われていると言うに等しい指摘ではないでしょうか。これに対して、「正確な図書となるよう努めた」という回答を了承することはできません。再度、評価書のすべての数値について確認作業を求めるべきではないでしょうか。確認作業の過程での諸元、数式、そして、結論として数値の提出を求め、環境影響評価審査会において確認していただくようにお願いをしたいと思います。知事意見(6)の「計画目標値の設定について、目標計画にいたる検討の経緯及びその根拠を明らかにすること」という指摘も、評価書の数値に信憑性を投げかけたものに他なりませんが、「可燃物処理施設整備検討委員会」で関係法令と神谷清掃工場や米子クリーンセンターの数値を基に算出したというだけでは、十分ではないと思います。ここの数値について、根拠を明示させるべきではないでしょうか。
「方法書からの変更」された最大の点は処理能力を日量330トンから270トンにしたことですが、最大の諸元である処理能力を2割も変更させたのなら、方法書に立ち戻って再度やり直すべきだと考えます。環境影響評価は環境行政の根幹をなすものであり、環境行政への住民の信用を担保するためには、地域住民に評価しもらえるものにしなければない。そのためには、環境影響評価審査会におかれましては、提出された諸数値について、再度、諸元、数式に遡って再検証していただきたいと思います。
【4】再評価の根拠の明示の必要性
知事意見の個別事項(3)騒音では、「施設稼働に伴う騒音の予測結果では、その規制値を超えることから、適切な環境保全措置を検討し、再評価すること」と指摘されました。組合は「適切な環境保全措置を検討し、再評価した」として、予測結果を48デシベルから、43.6デシベルに引き下げ、深夜騒音規制値の45デシベルをクリアしたとしています。
付加した環境保全措置はどれで、どの環境保全措置が、どれだけ騒音を低減したかが明示されていません。これでは、騒音規制値を間違えていて、48デシベルとしていたけれども、指摘があったので、43.6デシベルに記載の数値だけ切り下げて再提出されたと指摘されても、反論することが出来ないと思います。加えて、直近民家での現況騒音が45.9デシベルであるのに、施設稼働後の強化騒音が43.6デシベルであるとの予想値も、素人の私には理解できない。稼働している施設の方が、騒音が低減するのであれば、その根拠を明らかにすることが必要だと考える。規制値が超えていると指摘され、補正後の数値が規制値をクリアしたとするのなら、その根拠を明示すべきで、その明示がないままの修正は、評価書への信用性を毀損すると指摘される可能性を否定できないと考える。
【5】基準値や規制値の変更についての確認
「絶滅のおそれがある生物の種のリストは環境省分が平成24年8月に、県分が23年3月に改訂されているので、整合性を確認し、修正する」ように知事意見(7―エ)で求められ、組合は「整合性を確認して修正した」と回答されています。
今回の環境影響評価は平成21年9月から始まっており、評価書が提出された同24年3月までには3年半の歳月が流れています。この間にリストが改訂されたにもかかわらず、古いリストのままで評価書が提出されたことは、各種規制値の基準についても、方法書の段階の基準のままで評価しているのではないかという疑念を抱かせます。環境影響表評価書に記載された諸目標値ついても、平成21年9月から同24年3月までの間に、規制値や基準値が変更されたものがないかどうか悉皆調査し、変更された数値があれば、評価書に記載された数値が規制値や基準値の範囲内にあることを確認するよう組合に対して求めていただきたいと思います。