Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

農家でも野菜を買う

2025-02-26 23:26:55 | ひとから学ぶ

 先日の民俗の会総会後の懇親会で、「食」の話を参加された女性の方たちとした。まず我が家の食卓であるが、基本的に米はもちろんだが、野菜も自家用のものを利用している。あえていえば毎週届く生協の食材にニンジンが必ず入っているから、わが家ではニンジンを作っていないことになる。我が家ではニンジンがうまくできないため、ニンジンは購入品である。いつも生協の箱が届くと冷蔵庫に運んでいるわたしには、「野菜」の類がこの箱に入っていたことは、ニンジン以外にはない。ごく一般的な野菜の中で、やはりニンジンは必須品(緑黄色野菜)であるから、食材として妻にとっても必須と捉えている食材なのだろう。そのほかのごく一般的な野菜は我が家で採れる。ニンジンについてはこうして毎週届くから「旬」の野菜と言う感覚はなく、いつでも食べている食材の一つでもある。しかし、自家用野菜となると、1年中採れるものはない。やはり採れる時期があるから、無い時期もある。したがってキュウリやトマトを冬場に食べることはない。

 長野県民俗の会第245回例会は3月23日に安曇野市豊科郷土博物館などで開催される。博物館の今回の企画展は「食卓の風景 食と家族の80年」である。「食卓から家族を見た時、どんな風景が見えるだろう。献立は誰が決めるか。食材はどこで誰がどう手に入れるか。調理は誰がするか。家族はどのように座って食事を食べているか。戦後80年の食と家族の変化を見てみよう」というものだが、それに関係して「調理は誰が」という話で話題になり、Uさんの家の話になった。Uさんの家では夕食をUさんが作ることはないという。週に4日はご主人、3日は義母、1日は娘さんだという。ご主人が多く担うのは、退職されて家にいるからだという。ご主人はネットなどのレシピを利用して多様なメニューで組み立ててくれるようで食材もご主人が用意されるよう。そんな話をしていて、Uさんの家は農家でありながらメニューに合わせて野菜も購入すると聞いた。そこで我が家の話を持ち出したわけだが、前述したように我が家では「ある野菜」を利用しているから、旬ではない野菜をわざわざ買うことはない。「農家とはそういうもの」と思っていたらそうではない話を聞いて、考えてみれば農家と言っても食事のことを考えて多様な野菜を必ずしも育てているわけではない。だからメニューに合わせて旬ではない野菜を買うことも当たり前なのかもしれない。むしろ我が家のように野菜をほぼ買わない家の方が珍しいのかもしれない。

 ということで今でも「トマトやキュウリを買う」と言われて、思わず「そんなものこの時期に売っているんですか」と聞いてしまった。ということでいつも訪れている店で野菜を見てみたら、トマトもキュウリもちゃんと売っている。ただし、量は少ないし、このあたりでその野菜が採れる時期に比べたら、モノは良くない。そもそも「野菜を買う」とイメージがないため、野菜を売っている空間など見ていなかったということになる。あらためて女性から献立がいつも違う、と聞いてそれもびっくり。かつての農家では献立はそれほど変わらなかったと記憶するし、わが家は今もそんなに多様ではない。きっとご主人の料理は「お金がかかっているんではないですか」と思わず聞いてしまった。

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