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伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

こと八日行事の今

2025-02-10 23:36:03 | 民俗学

里山辺追倉の道祖神(令和7年2月9日撮影)

 平成29年(2017)に「年々変わっていくコトヨウカ行事の状況を記した。その後どうなったのかと思い、こと八日の翌日、9日に松本市の入山辺近辺の様子をうかがってみた。あれから7年も経つことから、とくに気になったのは里山辺追倉(おっくら)でこと八日に行われる綱引きである。7年前にずいぶん簡略された綱の姿を見たわけであるが、そもそもそれすらなくなってしまっていないかという危惧だった。行ってみると7年前とほぼ同じ姿を見た。同姓5軒で行われていた綱引きも、3軒となって綱引きもしなくなったよう。したがって「綱」というよりは荒縄を2,3本をふたつ撚っただけのものだが、一応道祖神に巻き付けてある。

 

入山辺厩所の道祖神(左)平成23年 (右)令和7年

 7年前も確認してみた厩所の道祖神の様子もうかがってみた。平成26年(2014)の様子は「石仏に彩色するということ⑨」に示してあるのと、平成29年の様子は前述した通り。ここでは平成23年(2011)のものと今年の写真を並べてみた。見ての通り、餅を付けた痕跡は見えるが落ちてしまったのか道祖神の表面にはそれらしいものは付いていなかった。ちょうど通られた方に聞いてみると、今も餅を塗りつける方はおられるというし、少なくなったものの家の庭先で行うエブリダシを行う人もいるという。ちなみにビンボーガミの祭りはこと八日である昨日行われたという。川端には燃やしたと思われる黒くなった灰が残されていた。

 

入山辺原の道祖神(上)平成23年 (下)令和7年

道祖神前の道端に何かを燃やした痕跡があった(令和7年2月9日撮影)

 もう1箇所、厩所の手前の原の道祖神もうかがってみた。いずれも14年前とは様子が違うことははっきりわかる。時間の都合で入山辺では2箇所しか確認できなかった。参考に厩所より奥の大和合と小仏の平成23年に撮影したこと八日の道祖神の写真を取り上げてみる。14年前の入山辺の道祖神は、餅がたくさん塗り付けられたものが多かったということになる。なお入山辺のこと八日行事については、平成5年に記した「松本市入山辺のこと八日行事」を参照されたい。

 

大和合の道祖神(平成23年2月8日撮影)

小仏の道祖神(平成23年2月8日撮影)

 

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