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昨年9月、福井鉄道が鉄道部門の債務により行政に支援を要請。現在までに事業者・行政・債権者を中心とした存続協議が続けられてきた。また、存廃の対象である福武線については、沿線住民らが署名運動を行うなど存続への働きかけを行ってきた。これにより福武線存続はひとまず決まったと思われた。しかし実際には、現在もなお未解決の問題が残り、会社倒産という最悪のケースでさえも浮かび上がってきた。
○4/18付け福井新聞:「真相スコープ 福鉄福武線存続に暗雲」(紙面のみ)
地元紙の特集によると、福武線および福井鉄道自体について、現在残る3つの問題がまとめられていた。
1.名古屋鉄道の増資資金の扱い
3月末の第6回協議会において、福井鉄道の親会社である名古屋鉄道(名鉄)と、福井県・沿線3市(福井市・鯖江市・越前市)との間で、債務返済のための名鉄の増資資金をめぐって認識のズレがあることが明らかとなった。
・名鉄は再建案資料に「増資資金から過去の福鉄社員への退職金(約1億6千万円)を清算し、借入金一部を返済する」と明記していた
・県と3市は、2月末の協議会で「増資は借入金圧縮(借金返済)に全額充てる」と確認したとしている
これについて行政側(県・3市)は早急な資料提出を求め、事業者側(名鉄・福鉄)が応じ、今週にも事務レベルの協議が再開される見通しとなった、という。つまり、増資資金の扱いはクリアされることとなる。
2.新しい経営体制
福鉄には現在、名鉄からの出向役員・社員がおり、増資後は撤退することとなっている。名鉄側は、6月の株主総会をもって新体制へ移行したいとしている。
これを受け、行政側による経済界への協力要請が水面下で続けられているそうだが、鉄道だけでなくバスなど自動車事業・不動産業・広告事業など多岐にわたる事業を引き継がなければならないため重責であるとして、難航しており、6月に間に合わない恐れもあるという。
県側は、特に期限を区切らず、新体制移行までは名鉄に経営責任あるとしている。一方、名鉄側は、3月までに協議終えると合意しており、早期に経営移管させてほしいとしている。ここでも両者の認識に差が生じている。
3.資金面
地元の福井銀行は、3月末の存続支援への方向性の固まりをうけ、4~6月のつなぎの融資に応じている。しかし、7月以降については、行政側の6月議会での線路用地取得の議案上程など進展ない限り不透明であるという。線路用地取得は、上下分離方式での存続のために重要な要件となっているが、うち3市の取得費割合が現在も決まっていない。
このままでは最悪、福井鉄道の倒産も有り得る。その場合、福武線だけでなく路線バスも止まることとなり、福武線の通る3市にとどまらず、路線バスの通る広範囲の地域(福井市南部、丹南地区、嶺南地域)にも影響する恐れがある。また、鯖江市のつつじバス(コミュニティバス)は福井鉄道が一部委託運行しているため、こちらの運行にも影響する恐れがある。さらに、京福の場合と異なり、福井鉄道としての電車代行バスは運行できない。すなわち、会社倒産によって県内の広い区域で公共交通の空白域が生じるという事態にまで発展してしまう可能性がある。
住民側の要望にも関わらず、行政側、とりわけ県の取り組みは鈍いように思える。県は新幹線誘致にかなりの力を入れているが、地域の公共交通を守れずして、新幹線の成功など有り得ないと個人的に感じる。本気で福武線を残そうとするのなら、残り2,3ヶ月で早急に事を成せるよう努力してもらいたい。新幹線誘致のエネルギーを(一時的にでも)福武線問題に集中させなければならないほど、事は非常に重大であると思う。
(写真:福井鉄道福武線(公園口駅付近)、2008.4)
○4/18付け福井新聞:「真相スコープ 福鉄福武線存続に暗雲」(紙面のみ)
地元紙の特集によると、福武線および福井鉄道自体について、現在残る3つの問題がまとめられていた。
1.名古屋鉄道の増資資金の扱い
3月末の第6回協議会において、福井鉄道の親会社である名古屋鉄道(名鉄)と、福井県・沿線3市(福井市・鯖江市・越前市)との間で、債務返済のための名鉄の増資資金をめぐって認識のズレがあることが明らかとなった。
・名鉄は再建案資料に「増資資金から過去の福鉄社員への退職金(約1億6千万円)を清算し、借入金一部を返済する」と明記していた
・県と3市は、2月末の協議会で「増資は借入金圧縮(借金返済)に全額充てる」と確認したとしている
これについて行政側(県・3市)は早急な資料提出を求め、事業者側(名鉄・福鉄)が応じ、今週にも事務レベルの協議が再開される見通しとなった、という。つまり、増資資金の扱いはクリアされることとなる。
2.新しい経営体制
福鉄には現在、名鉄からの出向役員・社員がおり、増資後は撤退することとなっている。名鉄側は、6月の株主総会をもって新体制へ移行したいとしている。
これを受け、行政側による経済界への協力要請が水面下で続けられているそうだが、鉄道だけでなくバスなど自動車事業・不動産業・広告事業など多岐にわたる事業を引き継がなければならないため重責であるとして、難航しており、6月に間に合わない恐れもあるという。
県側は、特に期限を区切らず、新体制移行までは名鉄に経営責任あるとしている。一方、名鉄側は、3月までに協議終えると合意しており、早期に経営移管させてほしいとしている。ここでも両者の認識に差が生じている。
3.資金面
地元の福井銀行は、3月末の存続支援への方向性の固まりをうけ、4~6月のつなぎの融資に応じている。しかし、7月以降については、行政側の6月議会での線路用地取得の議案上程など進展ない限り不透明であるという。線路用地取得は、上下分離方式での存続のために重要な要件となっているが、うち3市の取得費割合が現在も決まっていない。
このままでは最悪、福井鉄道の倒産も有り得る。その場合、福武線だけでなく路線バスも止まることとなり、福武線の通る3市にとどまらず、路線バスの通る広範囲の地域(福井市南部、丹南地区、嶺南地域)にも影響する恐れがある。また、鯖江市のつつじバス(コミュニティバス)は福井鉄道が一部委託運行しているため、こちらの運行にも影響する恐れがある。さらに、京福の場合と異なり、福井鉄道としての電車代行バスは運行できない。すなわち、会社倒産によって県内の広い区域で公共交通の空白域が生じるという事態にまで発展してしまう可能性がある。
住民側の要望にも関わらず、行政側、とりわけ県の取り組みは鈍いように思える。県は新幹線誘致にかなりの力を入れているが、地域の公共交通を守れずして、新幹線の成功など有り得ないと個人的に感じる。本気で福武線を残そうとするのなら、残り2,3ヶ月で早急に事を成せるよう努力してもらいたい。新幹線誘致のエネルギーを(一時的にでも)福武線問題に集中させなければならないほど、事は非常に重大であると思う。
(写真:福井鉄道福武線(公園口駅付近)、2008.4)