弁護士辻孝司オフィシャルブログ

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ガードを上げすぎる心理 ~ リーガル・ハイ第1話 ~

2012-08-13 16:44:54 | テレビ番組

  

弁護士にも夏休み。

見逃していたフジTV 「リーガル・ハイ」第1話を、ようやく見ました。

やっぱりよく出来ている! 

  

Leaglhigh

 

殺人事件が題材。

被告人は捜査段階で自白している。

しかし、被告人は、刑事から脅されたり、暴力を振るわれて虚偽自白をしてしまったと主張し、自白の任意性が争点となる。

本当は、どのような取調べが行われていたのか?

当時、刑事課にいたという3人の刑事が証人として出廷して、
「取調室のドアは開いていた、しかし、取調室からは物音一つしなかった。」
と証言する。

   

これに対する、古美門の反対尋問はこんな感じ。

「警察署の横に新しいビルがありますね。」

「取調べの行われた頃はまだ工事中でしたね。」

「取調べの日は解体工事が行われていましたね。」

「夏でしたね。」

「役所では節電していましたね。」

「警察でも窓を開けていましたね。」

   

解体工事の音が聞こえていたはずなのに、物音一つしなかったと証言した刑事たちの偽証を暴く。

  

刑事たちの敗因は、ガードを上げすぎたこと。

「怒鳴り声は聞こえなかった」「騒ぎはなかった」と答えておけばよかったにもかかわらず、自分の証言を正当化しよう、強調しよう、よくわからせようとするあまり、ガードを上げすぎて、「物音一つしなかった」と証言してしまった。 

  

これは実際の裁判でもよくあります。特に刑事さん。

「認めたら保釈になる」と利益誘導して自白を引き出した刑事が、「保釈なんて言葉は取調べでは一度も出ませんでした。」と証言したり、

「弁護人なんていらない」と弁護権を侵害した刑事が、「弁護人のことは話題にならなかった」と証言したり。

必要以上のことを言って失敗してしまう。Boxing

弱みのある人間は、ついつい、必要以上にガードを上げすぎてウソを大きくしてしまい、結局、ボディはがら空き、馬脚を現してしまいます。

そこをすかさず、突き崩すのが反対尋問の技術です。

   

リーガル・ハイ第1話はこちら。

http://www.fujitv.co.jp/legal-high/story/story01.html

早く、続編始まらないかな。