サイケデリック・ペンタトニック!?

カリメロレコード(架空)の店主の何でもござれの日々の音楽コラム

訃報、永島慎二氏・・・

2005年07月06日 09時17分13秒 | 邦楽
今日の朝刊の訃報欄に載っていました。
6月10日心不全で亡くなられました。
享年67歳・・・残念で仕方ありません・・・

永島慎二氏と言えば、古くは貸本時代から活躍していた人であり、
特に「漫画家残酷物語」は今尚ファンが多い名作。
また1960年代の後半から盛り上がった漫画ブームを牽引した漫画雑誌
「ガロ」と手塚治虫氏の「COM」に同時に連載していたこともあり、
青年漫画の旗手として精力的に活躍。
後の世代に与えた影響は大きいと思います。

個人的には、実際の経験を元にしたという「フーテン」という作品が、
とても好きです(実際に新宿で2年フーテンをしていたという・・・)。
愛すべき可笑しなキャラクターがいっぱいで、尚且つホロリとさせられる。
時は熱い時代の「新宿」というのも非常に面白い。悲喜交々。

そんな永島氏と音楽の関係といえば、
矢張り「はっぴいえんど」との関係が挙げられます。
一枚目、通称「ゆでめん」のライナー(歌詞カード)の、
所謂「Thank You For・・・」の欄、ここでは、
「下記の方々の多大なる御援助に深く感謝したい」とある欄の、
何十人もの名前があがっている中に、永島慎二氏の名前が見受けられます。

更には、1970年4月12日東京文京公会堂で行われた「ロック叛乱祭」における
ステージ-このステージは「バレンタイン・ブルー」から「はっぴいえんど」と
名前を変えた最初のステージと知られる-において、
「春よ来い」を演り始める前に「永島慎二氏に捧げる歌」
と大滝詠一がMCで言っている。

この事からも永島慎二氏に受けた影響は大変大きいものと推測されます。
その影響は勿論「詞」に関する面(=松本隆氏への影響)
だと思われるわけですが、
確かにはっぴいえんどの曲も永島慎二氏の作品も非常に楽しいんだけど、
どこか郷愁を誘う、行ったことないんだけどどこか懐かしい感じがするという
共通点があるように思います。ということを考えると、
名曲「春よ来い」におけるあのお正月の風景描写、
どことなく永島慎二氏の絵が浮かんでくるような気がします。

昨今のはっぴいえんどブームで色んな論じ方がされていますが、
意外に永島慎二氏との関係という観点からの文章ってみないですね。
はっぴいえんどと永島慎二氏に限らず、
あの時代だからこそ有り得た「漫画」と「音楽」の関係。
その関係に思いを馳せると、色々興味深いです。

永島慎二氏の作品は今はどれも絶版で「まんだらけ」などでは高値が付いています。
なかなか氏の作品に触れる機会が少ないというのは誠に残念なことです。
今はトップの写真にある『漫画家残酷物語―シリーズ黄色い涙 (1)』と(2)が
容易に手に入ります。まだ読んだことない人は、
まずはこの漫画史における不朽の名作をどうぞ!

「亡くなられたのを機に・・・」というのも非常に残念な話ですが、
過去の作品にスポットが当たることを心から望みます。

安らかにお眠り下さい。

ご冥福をお祈りいたします。