サイケデリック・ペンタトニック!?

カリメロレコード(架空)の店主の何でもござれの日々の音楽コラム

初期サンタナの映像作品

2005年07月13日 01時01分56秒 | 洋楽
カルロス・サンタナ率いる「サンタナ・ブルース・バンド」が
ビル・グレアムに見初められ、デビュー前にも関わらず
ロックの最先端の場所、聖地であったフィルモアに出演。
そしてあの1969年。ロックにおけるターイグポイントともなった
愛と平和の祭典「ウッドストック」に出演し、
一気に時代の寵児となった「サンタナ」。

そのサンタナは、1969年のウッドストック出演の2ヶ月後に
ファーストアルバム『サンタナ』を発表。
翌70年にはピーター・グリーンのフリートウッド・マックの
「ブラック・マジック・ウーマン」のカバーも収録した2ndアルバム、
『天の守護神』を発表。
そして1971には当時若干17歳だった天才ギタリスト、ニール・ショーンを
迎えて制作された『Ⅲ』を発表。
ここまでが初期サンタナと言われています。
次作『キャラバンサライ』では徐々に宗教に傾倒するカルロスに
ついていけなくなり初期のメンバーが脱退。
初期のメンバーと新たなメンバーで作られた
『キャラバンサライ』も傑作の誉れが高いですが、
今回はまだまだ荒っぽく野性味溢れる初期3枚までの時期に限定して、
彼らの素晴らしいステージングを拝むことが出来る作品をご紹介します。

①映画『ウッドストック』
まずなにはともあれ「サンタナ」といえばこれを挙げなければ始まらないウッドストックの伝説のステージから。1969年夏何十万人も集まったといわれる愛と平和の祭典に当時全米規模から考えるとまだまだ無名に近い状態の彼らが出演。このライブ後には一躍人気者、という正にアメリカン・ドリームを体現した彼ら。それだけではなく、彼らの出現がロック界に及ぼした影響も多大なるものがある。ビートルズの出現、更にサージェント・ペパーズ発表後に飛躍的にフィールドを広げたロックはクリームの出現で顕著になったジャズのイディオムを拝借といった実に雑多な音楽模様を示し始める。そんな中でサンタナが示したのは、分かりやすくいえば「ラテンとロックの融合」だったわけだが、そこには勿論ジャズやR&Bなどありとあらゆるエッセンスが盛り込まれていた。その事がこの映画に収録されている一曲「ソウル・サクリファイス」だけで分かる。それだけ凄いのだ。この一曲だけで彼らが世界を変えたといっても過言ではない。さて肝心のステージは、ベースのフレーズ、更には立ち姿などもお洒落で格好良いデビッド・ブラウン、ドラムソロも決まっているこの当時テクニックでは随一で顔もハンサムなマイケル・シュリーヴなどに目を奪われがちだが、なんといってもカルロス・サンタナである。ギブソンSGをかなり高めの位置で構え気難しそうにトーン・コントロールをいじる姿が確認出来るが、何よりもあの顔である。ジミヘン、クラプトンといいギターを顔で弾く人は多いが、彼もその一人。もう口を空けて天を仰ぐ。しかしロックに興味がない人がみたら全くアホらしい姿なのだが、そのアツい姿から繰り出されるフレーズは、官能的でラテン的でそれでいて泣きなそれはそれは素晴らしいものがある。早くもその後の行く末を暗示するかのようなギタープレイである。現在はDVDで廉価版も発売されているので、サンタナを知らない人から知っているけど動く映像はみたことがないという人まで、始めの一本にして永遠の一本である。絶対に見て欲しいステージだ。1998年に発売された1stアルバムにはウッドストックのステージがボーナストラックで三曲収録されて話題を集めたが、昨年にはなんとレガシーエディションとしてこの時のステージが更に収められています。こちらも必聴です。

②「スタンピング・グラウンド」
こちらは1970年の6月にオランダはロッテルダムで行われた「クラリンゲン・ポップ・フェスティヴァル」の様子を収めた映像で、後期バーズやシド・バレットがいなくなったピンク・フロイドの最初期の映像、更にジェファーソン・エアプレーンやイッツ・ア・ビューティフル・デイなど、見所満載の映像だが、サンタナは夜の暗い時間帯に出演。この映像では「GUMBO」と「JINGO~SAVOR」のメドレーを見ることが出来る。ウッドストックから一年を経ており、そのバンド感は更に強固となり、特にパーカッションのうねりがすさまじい。そして見逃して(聞き逃して)いけないのが、グレッグ・ローリーのオルガン。意外にカルロス、メインだと思われがちなサンタナですが、彼のオルガン、そして声がなければ成り立たない重要人物。さてここでのカルロスは更に髪が伸びている。夜ということで若干見づらいところはあるものの、そこが更に呪術的な妖しい雰囲気をもたらしており、こちらも必見のタイトル。

③映画『ソウル・トゥ・ソウル/魂の詩』(写真)
アメリカの黒人ミュージシャンがアフリカのガーナの地で、アフリカの人たちと共に演奏を行った正しくジャストなタイトル「ソウル・トゥ・ソウル」。1971年3月の歴史的な出来事である。当時の黒人人権運動の渦中において母なる大地「アフリカ」を強烈に意識していたアフリカ系アメリカンにとっては正しく巡礼の旅という大いなる目的があったわけだが、多くの黒人たちにまじって唯一白人としてサンタナは出演。この映像からニール・ショーンの姿を見ることが出来る。若くて背の高いギブソンレスポールが似合う男であるが、まだまだ入ったばかりだろうか、メンバーの顔色を伺いつつソロを取る場面が垣間見ることが出来て面白い。カルロスは現地の魔術師に対抗する為にキリストのTシャツを何日も着ていたらしいが、それはこの映像でも確認出来る。唯一の白人ではあったものの現地のミュージシャンがパーカッションで参加するなどし、もっともアフリカ的な音を聞かせたという。曲は「JUNGLE STRUT」と「BLACK MAGIC WOMAN/GYPSY QUEEN」が途切れることなく演奏する様子を見ることが出来る。メンバーが一段とお洒落になっていくことが分かる。「JUNGLE STRUT」は3rdに収録されたインストで、リフがツインギターで奏でられ各人のソロが堪能出来る曲。このステージでもカルロス→ニール→グレッグとソロが回される。この時カルロスはギブソンのレスポールを弾いている。また風が強かったらしく、長髪をなびかせてギターを弾くカルロスは誠に格好良い!途中に現地のパーカション奏者のソロを挟み後半はメンバー全員で高みに達する。そして間断なく、ヒット曲「ブラック・マジック・ウーマン」に入る。サンタナのギターが絶妙な哀愁感を漂わせるこの曲だが、私はこの映像で始めてグレッグ・ローリーが歌っている姿を見ました。なかなか格好良いです。この曲でもニール→カルロスとソロを回す様子を見ることが出来ます。ここでマイケル・シュリーブの天才的なドラムも確認出来ます。重いドラムではなく、ジャズ上がりのテクニシャンでリズムの細かさは際立ちます。このコンサートでは絶頂期のアイク&ティナ・ターナーやウィルソン・ピケットなどの姿も拝める(というかどちらというとこちらがメインですが・・・)ので、R&Bファンも要チェックです。

④映画『フィルモア・最後のコンサート』
ビル・グレアムのフィルモア・ウエストのクロージングコンサートを収めたもので、レコード化と映画化された。権利の問題で未だソフト化はされていない(?)ということだが、私はケーブルテレビで運良く見ることが出来た。ロックの商業化されていく様子が分かる映画で、どんどんミュージシャンもわがままになっている。あのバンドがこんなに性悪なのかと思うと嫌な気分にもなる。サンタナもわがままぶりを発揮している(笑)映画は'71年6月29日から7月4日にかけて行われたコンサートの模様を収録している。サンタナはビルから最終日の目玉にと散々頼まれていたのが、もったいつけて拒み続ける。結局は出るんですが、こいつらも鼻が高くなっていやがるなと思うエピソードです。曲は以前にもこのブログで書きましたが、マイルス・デイビィスの「イン・ア・サイレント・ウェイ」。凄いです。カルロスは今でもマイルスの影響を公言していますが(ワイト島のマイルスのステージをDVD化したものにもインタビューで解説している)、まさかまんまやっているとは思いませんでした。驚きのステージ。マイルスのスタジオ盤では後にスリ・チンモイの弟子として肩を並べ一緒に『魂の兄弟たち』というアルバムまで発表するジョン・マクラフリンがギターを弾いていますが、そのフレーズをこの時期にカルロスが既に弾いているとは。この後の宗教路線がこの時点で顕著だというのも非常に面白い。是非是非DVD化して欲しい作品。レコードも聴いたことがないのですが、こちらはCD化されているのでしょうか?とにかくサンタナファンは色んな意味で必見です。

という訳でいかがでしょうか?④以外は容易にDVDで入手出来るので未見の方は是非。
2000年に初めて武道館にサンタナを観に行きましたが、
さすがに初期サンタナとさすがに比べるべくもないです。
(いや勿論格好良かったですけども。)
初期サンタナ体験してみたかったというのが、適わぬ願いですが、
せめてということで初期映像作品の紹介でした。
ブートでは色々と出ているとは思いますが、公式のものを集めてみました。
この四作品以外でご存知の方いましたら、是非教えて下さいまし。
よろしくお願いいたします。

と、今回かなり気合をいれて書きましたが(笑)
なんせ私の中で勝手にサンタナ熱が上がっているからなんです。
そう、7月27日にハービー・ハンコックとウエイン・ショーターという
ジャズ界の大物達との奇跡のユニットで来日するからなんです!
日本ではこの日一日だけ。勿論見に行きます!
恐らくというか面子を見てもフュージョン系へ行くのは明らかですが、
フュージョンブームが遠く過ぎ去りし今、どのような音を聞かせてくれるのか
非常に楽しみです。来日を記念してか、カルロス・サンタナのソロ作も紙ジャケ化
されるようです。じわじわと回りもサンタナモードになりつつあるようです。

復習という訳には行きませんが、
皆さんも初期のサンタナを見てテンションあげてください!

*追記
あるところにはあるんですねぇ。凄いです!
エド・サリバンショーでのサンタナ。口パクじゃないです!
なんと強引な曲のつなげ方でしょう!必見!
恐らくソフト化はされていないレア映像です。

http://audio.santana.com:554/ramgen/video/edsullivan/ed_sullivan_show.rm