「この道」(Social Distancing Version) 佐野元春 & ザ・コヨーテバンド
Both Sides Now by Mary Fahl (former lead singer of October Project)
Cocco - Raining - 2011.10.7
八星 LUCA + haruka nakamura
風のかたみ
https://www.amazon.co.jp/風のかたみ-光文社文庫-内海-隆一郎-ebook/dp/B009KZ4RS2/ref=sr_1_33?dchild=1&keywords=%E5%86%85%E6%B5%B7%E9%9A%86%E4%B8%80%E9%83%8E&qid=1586868816&sr=8-33
内海 隆一郎(うつみ りゅういちろう、1937年6月29日 -2015年11月19日)は、日本の作家である。「ハートウォーミング」と呼ばれる独自のスタイルによって市井の人々を描くことを得意とし、これまで5作品が直木賞候補となった
〇あらすじ
2年前に大学を退官した木島が美奈子に再会したのは、イタリア・ミラノ郊外の修道院でだった。はじめて一夜を共にした翌朝、美奈子は風のように消えてしまった。「神さまに感謝しなくっちゃ」。彼女の口癖の苦い意味をのちに知った木島の胸に、愛しさがこみ上げる(「風のかたみ」)。懐かしい風景、昔日の心の傷――せつない人間模様を描く8つの作品を収録。
〇レビュー
内海隆一郎という作家を知ったのは実はマンガだった。何年か前までは私は小説も好きだったが、マンガも好きだった。恐らく家の倉庫を探れば小さなころから集めていて家に置いておくことが出来なくなったために、段ボールに入れられ、倉庫の奥に片付けられていたマンガの単行本が2千冊くらいはあるだろうと思う。
単行本だけではなく、少年ジャンプ・マガジン・サンデーは買ったり立ち読みしたりで毎週かかさず読み、ある程度の年齢になってからはビックコミックという青年雑誌を中心に読んでいた。
内海隆一郎はそのビックコミックに掲載していた「欅の木」という谷口ジロー作画・漫画の原作者だった。
「ハートウォーミング」と呼ばれるようにその話は市井の人々を温かく見守るような何でもない風景だが、何故か心惹かれるような感じの作風であった。気に入った。そしてそれが契機となり彼の小説を読み漁るようになり、短編が多かったがやはり温かい作品たちで本屋に寄り彼の小説を見つけるたびに購入し、読んだものだった。
今回電子書籍で久しぶりに彼の小説を見つけ、この「風のかたみ」というタイトルの小説を含め八編からなる短編集を購入、読了したのだがそれまで読んだ小説とは違い、温かさは保ちながらも「せつなさ」という小毒を盛るという風な作品が多かった。
タイトル作の「風のかたみ」はさらに違う面があったように思われる。
彼には珍しく海外、イタリアを舞台にした短編小説だが、内容はあらすじに任せるとして、作風は宮本輝と大宰治を足して二で割ったような、それまでの彼の作風である温かさの中にありながらも、残酷さやせつなさ、そして罪まで感じさせるような作品であった。
どうしてこのようになったのだろうと「内海隆一郎」と検索してみたら、彼は平成15年に亡くなっていた。死亡原因は白血病である。
「風のかたみ」という短編を最後に読んだ私は「なるほど」と思った。と同時に彼の最新作をもう読めないのかという小さな悲しみを含む複雑な感情が私を取り巻いた。
今はただ彼の残した少ない小説たちをもう一度読み直して、その足跡を記憶に刻み込むしかない。そう思うのである。
Both Sides Now by Mary Fahl (former lead singer of October Project)
Cocco - Raining - 2011.10.7
八星 LUCA + haruka nakamura
風のかたみ
https://www.amazon.co.jp/風のかたみ-光文社文庫-内海-隆一郎-ebook/dp/B009KZ4RS2/ref=sr_1_33?dchild=1&keywords=%E5%86%85%E6%B5%B7%E9%9A%86%E4%B8%80%E9%83%8E&qid=1586868816&sr=8-33
内海 隆一郎(うつみ りゅういちろう、1937年6月29日 -2015年11月19日)は、日本の作家である。「ハートウォーミング」と呼ばれる独自のスタイルによって市井の人々を描くことを得意とし、これまで5作品が直木賞候補となった
〇あらすじ
2年前に大学を退官した木島が美奈子に再会したのは、イタリア・ミラノ郊外の修道院でだった。はじめて一夜を共にした翌朝、美奈子は風のように消えてしまった。「神さまに感謝しなくっちゃ」。彼女の口癖の苦い意味をのちに知った木島の胸に、愛しさがこみ上げる(「風のかたみ」)。懐かしい風景、昔日の心の傷――せつない人間模様を描く8つの作品を収録。
〇レビュー
内海隆一郎という作家を知ったのは実はマンガだった。何年か前までは私は小説も好きだったが、マンガも好きだった。恐らく家の倉庫を探れば小さなころから集めていて家に置いておくことが出来なくなったために、段ボールに入れられ、倉庫の奥に片付けられていたマンガの単行本が2千冊くらいはあるだろうと思う。
単行本だけではなく、少年ジャンプ・マガジン・サンデーは買ったり立ち読みしたりで毎週かかさず読み、ある程度の年齢になってからはビックコミックという青年雑誌を中心に読んでいた。
内海隆一郎はそのビックコミックに掲載していた「欅の木」という谷口ジロー作画・漫画の原作者だった。
「ハートウォーミング」と呼ばれるようにその話は市井の人々を温かく見守るような何でもない風景だが、何故か心惹かれるような感じの作風であった。気に入った。そしてそれが契機となり彼の小説を読み漁るようになり、短編が多かったがやはり温かい作品たちで本屋に寄り彼の小説を見つけるたびに購入し、読んだものだった。
今回電子書籍で久しぶりに彼の小説を見つけ、この「風のかたみ」というタイトルの小説を含め八編からなる短編集を購入、読了したのだがそれまで読んだ小説とは違い、温かさは保ちながらも「せつなさ」という小毒を盛るという風な作品が多かった。
タイトル作の「風のかたみ」はさらに違う面があったように思われる。
彼には珍しく海外、イタリアを舞台にした短編小説だが、内容はあらすじに任せるとして、作風は宮本輝と大宰治を足して二で割ったような、それまでの彼の作風である温かさの中にありながらも、残酷さやせつなさ、そして罪まで感じさせるような作品であった。
どうしてこのようになったのだろうと「内海隆一郎」と検索してみたら、彼は平成15年に亡くなっていた。死亡原因は白血病である。
「風のかたみ」という短編を最後に読んだ私は「なるほど」と思った。と同時に彼の最新作をもう読めないのかという小さな悲しみを含む複雑な感情が私を取り巻いた。
今はただ彼の残した少ない小説たちをもう一度読み直して、その足跡を記憶に刻み込むしかない。そう思うのである。