からくの一人遊び

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Noel Gallagher’s High Flying Birds - The Death Of You And Me

2020-04-22 | 小説
Noel Gallagher’s High Flying Birds - The Death Of You And Me



安藤裕子 / パラレル



自由に歩いて愛して PYG



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てのひらの闇

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藤原伊織
昭和23(1948)年、大阪府生まれ。東京大学文学部仏文科卒業後、大手広告代理店に勤務の傍ら、執筆活動を始める。昭和60年に「ダックスフントのワープ」で、第9回すばる文学賞を受賞。平成7年には「テロリストのパラソル」で第41回江戸川乱歩賞を受賞。翌年には同作品で第114回直木賞受賞。


〇あらすじ
会社の早期退職勧奨を受け入れ、退職間近の飲料メーカー宣伝部課長の堀江雅之はある日、会長の石崎に呼び出される。ビデオ撮影が趣味だという石崎が朝の散歩中に偶然撮影したという人命救助の瞬間の映像を見せられ、この映像をCMにできないかと相談される。
だが堀江は、映像がCG合成であることを見抜き、会長に進言する。「感謝する」、そう謎の言葉を残し、会長はその日の夜に自宅で首を吊って死んだ。遺書には社の業績不振の責任を取る旨が記されていた。
会長が自殺したのは、自分が映像の秘密を暴いたせいなのだろうかと堀江は自問する。会長室のテープも、堀江が内密にダビングしておいたテープもなくなっており、堀江は自殺の真の原因が自分の知らない悪意によるものではと直感する。


〇レビュー
藤原伊織の小説の主人公はいつもカッコいい。
大抵いつも私生活が破綻していて、この小説も酔っ払いサラリーマンが深酒をしたのか朝、道路にだらしがなく寝転る姿があり、気が付と急ぎ会社に行くが…みたいなシーンから始まるのだが、実はとても優秀でセンスは凄いものがある、という設定である。そしていつも羨ましく思うのであるが、一匹狼的なところがあるのに、「美人で優秀な部下も彼を慕って何かと世話を焼いてくれる」のである。そんな中年男が探偵のように謎解きに挑み、その影に反社がいることを突き止めて、さあラストはいかに!これは本当に世間から存在感が薄れている中年男が一度は憧れる理想のパターンの一つであると思う。
作者の藤原伊織は電通出身である。だからこそこのような広告業界の内幕みたいなシーンはとてもリアルで、主人公のモデルは彼ではないのかとさえ思ってしまう。
この小説もそうであるが、藤原作品の魅力はキャラクターが立っているところである。美人で優秀な部下はもちろんのこと、バーでの揉め事をきっかけに親しくなった経営者姉弟、バイクをかっ飛ばすお姉さんとマイク・タイソンみたいな腕をした経済通の弟くんなんて進んで主人公を助けてくれるのである。今は昔かたぎの親分さんなんていうのも出てきて、ハードボイル小説なのに「情」みたいなところもちりばめられており結構感動もので、それが読者の心拍数を高くする。
まあ、いろいろと述べたが、この小説は周りのキャラクターの視線が主人公にとても優しい。「キュン」なんて言葉があるが、この小説はとても「キュンキュン」する「萌え」なハードボイルド小説なのだろうと思う。(汗)



コメント
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