広島一敷居の低いインテリアコーディネーターのここ20年間の記録。

うっかり木工所に嫁いでから走り抜けた20年の記録。気づいたら、医療系から転身してインテリアのプロになってましたとさ。

重度認知症のレクについて

2005-05-16 13:41:31 | 4世代交流・ボランティア
老健で働く作業療法士クロ子さんより、こんな内容の相談を受けました。

レク協力者(サブ)が1人のクロ子のレク内容結構困ります・・しかも参加者20-30人程・・汗  動けるレクはかなり限られる。いつも考えるのにかなりの時間がかかる・・レクの内容はたくさん知っているけど多分アレンジができてないのか?重度認知症の病棟で使用できるレク内容・・何かないだろうか?

これには、自称レク好き元作業療法士の私としては、なんとかよいアドバイスを・・・。と思ったのだが、実はここ2~3日、何をアドバイスしようかずっと悩んでた。

重度認知症の病棟でできるレク・・・。
重度認知症の病棟でできるレク・・・。  う~ん。



今日は長くなりそうなので、高齢者のレク・認知症のリハビリに興味のない方は、他のブログへどうぞ(笑)
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私も、働いてた頃は同じ状況で(サブ1人に参加者30名以上 重度認知症の方を対象)レク、ほぼ毎日やってたんで、レクネタとしてはいろいろあるんだけど、でも、やっぱりその細かいアレンジの仕方は実際に対象者を見てみないとわかんないし・・・。
レクネタなんて、本とか見ればいろいろのってるし、クロ子さんだって現役プロいろいろ知ってるだろうし・・・、いったい何をアドバイスしていいやら。

まず、重度認知症の方に、何のためにレクをするのか??その目的は?

レクといえば安易に「楽しむのが目的」と考える現場のレク担当の方も多いと思うけど、重度の認知症の方の場合、楽しむのは結構難しい。
なんてったって、自分の置かれている状況(そもそもなぜ、自分はここに座っているのか?ここはどこか?隣に座っている人は誰か?何だか場を仕切っているねぇチャンはいったい何者か?)がわかっていない人が多い。
そんな不安な状態できっと頭の中では
「やべぇ・・、ここでわしはいったい何やってんだ?早くうちに帰らねば・・、でも財布もないし、どうやって帰ればいいんだか・・・全くこまったなぁ。知り合いもいないし。これからどうしよう・・あぁ~、この状況なんとかしなくては!!」
なぁんて心配で心配でたまらない不穏な心理状態なのに、そんな時、楽しめますか??
楽しむのは無理ってもんでしょう。

じゃぁ、私達スタッフはそんな不安な心理状態で一日中過ごしている人に、レクを通して何を提供してあげられるか。

私が常に心がけていたのは、
あなたは、今、ここにいいていいんです。私はあなたに居てほしいんです。
という居場所の提供。

病棟のホールでまず、レクを始はじめるとき。
そんな、不安な人たちに一人一人に名指しで声をかけて回る・・。私はあなたをよく知っている者だと気づかせるように・・・、知らない人ばかりじゃないと安心していただけるように。
「○○さん、こんにちは!今日はあなたと一緒にやりたいことがあって、私は来ました。ちょっとこちらに来て座ってもらえますか?」

ここで具体的にボーリングをしますとか安易に言わないのも手。
「そんなことできない、やったこと無い!」と反発を食らうので。
じゃ、老人がなじみのある「お手玉」ならいいんでしょうか?!
それも、安易な考え・・・。昔とった杵柄が、昔並みに出来なくなった自分と対面させてしまうのも、さらに不安を助長する恐れあり。また、それを自ら警戒してやりたがら無い方も多いので、無理にやらせても効果なし。

とりあえず、何か、自分が参加しても良い活動が始まるのをお知らせし、とりあえず集まってもらうのが先決。

そして集まっていただいたら、何をするか・・・。
クロ子さんはこれに悩んでいるんだろうけど、ここでは具体例はあげません、ゴメンね。クロ子さん。

重度認知症のレク内容で一番心がけないといけないのは、強いストレスを与えないこと!
それでなくても、いろいろな機能が低下して適応能力が衰えている人に、リハビリと称して難しいことを強要しないこと。
さらに不安が強まりますよ。だいたい、一回や二回難しいこと考えさせたり、やらせたりして認知症が治るわけ無いんだから。

大切なのは、安心して、人と一緒にある時間をすごすこと
内容は何でもいいんです。その、集うという体験を繰り返していくうちにいわゆる認知症の方にいちばん大切な
なじみの関係・なじみの場所
が出来上がっていくのです。
そのお手伝いをするいいきっかけがレクではないかと私は考えます。


そして、レクを通してスタッフはその方の生活シーンだけでは見ることが出来なかった「出来ること」「出来ないこと」を見極めていけるという利点もあります。思ってたよりも自分の意見をしっかり述べることが出来たり・・。
それを知ると、生活シーンでもその良い点を発揮してもらえる場面を作ってあげれます。しらなきゃ、「どうせ出来ない人」というレッテルを貼ったままになってしまいます。

そんな、再発見の場もレクの目的の一つかと・・・。

って、ぜんぜんアドバイスになってないかなぁ。
でも、とにかく、重度認知症の方にレクは必要です。繰り返してやっているうちに(同じ内容を、こっちはアホらしくなるくらいくりかえしてネ)必ず、『なじみの不思議』を体験することになります。
そうすると、こっちのもの。今までレクを軽視していた病棟スタッフもその『なじみの不思議』に気づいてくれる日が来ると思います。

がんばれ、クロ子さん。

そして、最後まで読んでくださった高齢者のレクに興味のある方…認知症をもっともっと理解してレクをしてみてください。レクは奥が深いです。やればやるほど上手になっていくし・・。

あぁ、私もまた、職場復帰したくなってきたなぁ。

今日は、レク好き元OTとして、悩めるクロ子さんへのエールでした。
次回、気がむけばひとつの具体的内容として「たかがカラオケ・されどカラオケ」を書いてみたいと思います。

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コメント (7)
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