昨夜のNHKのドキュメンタリーは、個人的にとても良かったです。
ストーリーについて、あれほど熱く議論する……しかも、他の映画の監督まで加わって意見を述べるスタイルだったのは驚きましたね。
同じプロだからこそ、観客のように、ただ批判して終わりじゃなくて、自分の作品の問題のように考える。こういった姿勢こそが大事なのでしょう。
ジョン・ラセターさんが言った『映画のストーリーでは、常に迷い道をさまようのが仕事……』みたいなラストの言葉は、とても印象的で、そのとおりだと私も同意いたします。
迷って、迷って……最後に何を選ぶか、それが正解がどうかもわからない。
観客にウケれば正解だったのかもしれませんが、他にもっと良い正解にたどり着けなかっただけかもしれない……。
そんな中で、戦っているのですね。
さて、細かいところの感想では……。
ベイマックスの顔が神社の鈴(検索すると、専門的には“本坪(本坪鈴)”と言うそうで……厳密な決まりはないのですが、お寺は『鰐口』、神社は『鈴』という、一応の使い分けがあるみたいです)をモデルにしているとは、まったく気づきませんでした。
日本にロケハンに来たときに発見したそうですが、そういうところに気づくとは……やられたという感想です。
CGアーティストは、アニメーターである前に『役者さん』なんですね。
まず自分が演技しているところをビデオカメラで撮影して、それを見ながら3DCGのキャラクターモデルをアニメートしていく過程を見て、役者としての才能もないと務まらないかもしれないと思いました。
2Dの描き手さんも参加している話が、なんか嬉しくなりました。3Dの絵に対して修正を加えるという作業ですが、忘れられていないというのが、基本を重んじる制作姿勢として感動させられます。
ジョン・ラセターさんがアカデミー賞のトロフィーが並んだショーケースの中で、子供に遊んでもらったトイ・ストーリーの人形こそが宝物だと言ったセリフにジーンと来ました。
やはり優れたアーティストは、普段の台詞でも違うものなんですね……。
私がこれから作ろうとしているものは、規模もクォリティーも到底およばないものではありますが、しかし、その精神は根底の部分で同じでありたいし、またその次元に一歩でも近づけるようにしていきたいと、あらためて制作への意欲と元気をもらえた番組でした。
私にとって良い番組でした。
ありがとうございました。