表紙の構図とは……。
とても悩む工程です。
できれば、あっさり通り過ぎたいのが本音であります。
しかし。
苦手なものを少しでも克服したいのも、また事実です。
……どうすれば、苦手なものを少しでも克服できるのでしょうか。
その答えを見つけるには、いろんな文献に当たっていくしかありません。
さまざまな参考書を見ていけば、案外、自分に合う方法がその中から見つかるものです。
今回は、その見つかった手法を組み合わせて試してみようと思います。
(あくまでも、私に合った方法ですので、これが正解というわけではありません……あしからず)
まず、私は表紙のイメージを漠然と考えてみます。
それは、3Dの作業の合間にぼんやりと考えてみたり、あるいはスーパーへ買い物に行ったときに突然ひらめいたりとか、ほとんどの人と変わらない方法です。
問題は、そこからです。
頭の中にぼんやりとイメージされたビジュアルを、実際に絵にしてみたときに必ず、私はこう言ってしまうのです。
『違う……これじゃない! 頭の中に描いていたイメージと程遠いよぉ!』
などと、夢を壊されたかのように、これまで何度も嘆いてきました。
それは多分、テクニックが未熟だからなんだろうと思います。
もちろん、それは間違いではないのですが……。
反面、自分に合ったやり方をしていないからかもしれないと、あるときから考えるようになりました。
そう思って考え直してみると、視点が変わった分、実に面白い発見が見えてきます。
まず最初に、私が嘆く原因が見えてきました。
それは、最初から最後まで感覚に頼って作ろうとしていたからでしょう。
ビジュアル化の作業において、その段階ごとに、自分を納得させられる理論がなかったのです。
このため、私はビジュアルを完成させることばかりに目を向け、途中でどんなに疑問が湧き出てきても、「仕方ないよ。時間がないんだもの」と、自分で自分を説得し、不満を抱えながらも前に進んでいきました。
だから、完成した瞬間にその不満が爆発してしまうのでしょう。
自分の作品に対しても、自信を持てなくなってしまうのです。
理由は、納得していないから……。
そこで、常に自分を納得させようと思いました。
疑問が湧き上がったら、そこで『時間がないから』と逃げたりせず、自分が納得するまで作業を止めて考えることにしました。
実にめんどくさい作り方ですが、しかし湧き上がった疑問をうやむやにしないという面で、効果がありました。
とくに小説版を書いているときは、この方法論が次第に定着していったものです。
例えば、
(この場面に意味はあるのか……?)
という疑問が湧き上がると、お風呂に入って、じっと答えがでるまで考えたりして……。
もちろん決めたことをメモして残しておかないと、肝心の決めたことを忘れてしまう、なんていう失敗も同時に学ぶこととなりましたが……(笑)。
小説版の作業が予定以上に時間かかったのも、おそらくこのためなのですが……でも、創作活動として満足することができました。
というわけで。
納得できれば『テクニック不足の自分だけど、よくここまで頑張った』と、素直に自分を評価する感情を芽生えさせられます。
そうすれば、あとはテクニック不足が原因なのだから、『次は、もう少し頑張ろう』という意欲も湧いてきます。
継続は力なり……が、本当に活きてくるのはこういうことなんですよね。
そして私はようやく、いつものように表紙の構想をラフに考えてみました。
最初に現実的な問題として、まだウルトラヒロインを出さないことにしました。
もったいつけるという意図ではなくて、単純に3Dモデルが完成していないからでした。
ただ、それだけで片付けるのではなく理由も考えました。
ストーリーの冒頭のエピソードでは、双子だけにフォーカスしていきたいから。
まだウルトラヒロインも登場していないから。
存在は影だけで、謎の部分も多いから。
ゆえに表紙に出したら出したで、ウルトラヒロインの立ち位置も微妙になりますし、まずは双子の関係性を構築するのが先だろうと考えてのことです。
……なるほど。
スケジュール的な事情ではなくて、こうして意図を明確にすると納得しやすい。
ひとつ、賢くなったような気がしました。
続いて、『クライマックスまで誘い込む絵作りの秘訣 ストーリーを語る人のための必須常識:明暗、構図、リズム、フレーミング』という本から学んだ理論の一部を引用します。
『言うまでもなく、私たちは最高級のアートを制作することを目指しているわけですが、以下の問いかけに答えながら、優先順を決める必要があります。
・ストーリー全体で伝えようとしていることは何か?
・ストーリー全体を通して、または特定のシーケンスやショットで、見る人にどのような雰囲気を感じて欲しいか?
(中略)
私たちがストーリーボードやグラフィックノベルを描くときには、ストーリーを語っているのであり、それは展示会の作品制作とは全く違う、ということがそもそもの基本です』
……これは、本の冒頭に書かれた一文ですが、私はこの言葉に衝撃を受けました。
当たり前のことなのに、ついつい忘れがちになっていることがある……そうなんです。表紙の絵だからこそ、ビジュアルで、その作品の世界観、ストーリーを伝えなきゃいけなかったのです。
当初、私は『双子が並んで立ってポーズを取り、背景はアニメのセルシェーディングが映える真っ白なバックでいいんじゃないか』と、簡単に考えていました。
しかし、それだと画面に男の子と女の子が写っているという、第一次情報しか伝わらないんですね。
ストーリーを予感させる雰囲気までは、伝わらないのです。
そう、このことでも納得しました……。
私が、いつも不満に思っていたことは、このことだったのかもしれません。
表紙は物語への扉です。
いや、窓の枠といってもいいでしょう。
その窓枠をくぐり抜けると、作品の世界へと入っていく……。そこは、どんな世界なのか。それを断片的に見せないと意味がない。
私は、ようやく自分が求めているビジュアルに対するコンセプトとは、ストーリーを見せることだったと気づきました。
本編で描かれるストーリーの中から一場面を切り取ってきて、そこを象徴的なビジュアルにする……それが、私がやってみたいと思えるテーマでした。
ここで、前日の日記につながります。
なぜ、私が廃墟のビル街のような3Dの美術セットを購入してきたか……それは怪獣に荒らされた街という、この物語における重要なキービジュアルになる光景だったからです。
怪獣に荒らされたと思えるような街並みに立つ、幼い男の子と女の子……そこにビジュアルの方向性を定めました。
すると、いろんな判断材料が頭の中に浮かんできました。
なぜ、そんな廃墟の中に二人の男の子と女の子が立っているのか?
この疑問を、『謎として』、逆に引き込む要素に出来ます。
では、その謎にどこまで答えるのか? それは、双子の演技プランによります。
『……どんなシチュエーションで、双子が何をしているところなのか?』
そこを決めれば、自然と演技プランは様々なパターンを考えていくことが出来るでしょう。
例えば本編の一部を抜き出してきて、もしかしたら『こういう場面もあり得たかもしれない』という、空想の付け足しでもいいのですから。
常に納得しながら前に進むというのは大事なことだと思います。
まず自分が納得しながら作り、その完成したものに共感を示してくださった方が読者となってくださる……。
個人制作でのインディーズ作品というものには、こうしたテイストこそが魅力になっていくのでしょう。
私はそう考えることで、ずいぶん気が楽になりました。
少しでも苦手なことを克服するということは、自分が楽しめるフィールドに引っぱってくるということでも叶えられる……。
つまりそれが、ひとつの手法ともなり得たのですね。
さて……。
どんなシチュエーションで、どんな演技プランにするか……。
がんばります。
ではではまた! ^▽^/