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館内に展示されている江戸時代の雛人形
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【寛永雛】
江戸時代前期(1624~1643)の雛人形。立ち雛から座り雛へ。男雛の冠と顔が一体になっている。比較的小型。
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【享保雛】
江戸時代中期の享保年間(1716~1736)に流行。
比較的大型の雛が多い。高さ40~60cm以上のものもある。
男雛は両袖を張り太刀を差し、笏を持つ。女雛は五衣唐衣装(いつつぎぬからぎぬも=十二単)、袴に綿を入れて丸く膨らませ、冠をかぶり檜扇を持つ。
装束は金襴や錦をふんだんに用いて製作。面長で能面のように神秘的な表情。
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【有職雛】
江戸時代中期以降の宝暦時代(1751~1764)に作られた。公卿の装束を有職故実に基づいて、正しく雛に仕立てる。上級階級が人形師に特注で作らせたのが始まり。
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【古今雛】
江戸時代中期(1764~1772)の代表的な雛人形。男雛は束帯、女雛は五衣唐衣装(いつつぎぬからぎぬも=十二単)、上級公家の正装を華麗に仕立てる。女雛が単の袖を長く出し、直垂に宝冠を被るのが特徴。
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【芥子雛】
芥子粒のように小さい雛人形、江戸時代後期に流行。10cm弱以下の大きさで、古今雛の原寸を小さくしたもの。小さく精巧、あでやかな容貌や大きく派手やかな天冠が特徴。
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【五人囃子】
天明時代(1781~1789)に江戸で考案された。向かって右から扇を持った謡方、笛方、中央が小鼓、大鼓、左端が太鼓。右方から順に音が大きくなる。
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犬筥(いぬばこ)、犬をかたどった張子の箱。頭部は幼児、胴は犬。胴体部分で上下に開き、中に物を収納できる。左向きが雄、右向きが雌で一対。
犬張子、子犬の形をした張子人形。江戸時代後期に庶民の間に普及。
天児(あまがつ)は平安時代が起源、幼児の枕元に飾ってお守りとして用いる人形。
這子(ほうこ)は幼児がはいはいする姿を写した四つん這いの人形。江戸時代に天然痘が流行し、赤い色には病気を避ける力があると信じられていた。
200年も300年も前、人々はどんな生活をしていて、この人形たちはどんな風に飾られていたんだろう。どの雛人形も気品にあふれていて美しい。今風の雛人形より表情が味わい深いような気がするのは、長い歴史の重みを感じるから。