火星、それは一番人類が生活しやすい星ということになっている。地球からの距離、条件が一番適しているからだそうだ。では火星についての基礎データを記載してみると、以下の様になる。
1.地球からの距離 : 直線距離7500万km/光速で4.2分 航続距離47000km/ロケットで7か月
2.直径 : 6800km 地球の半分
3.重力 : 3.7m/s^2 地球の1/3
4.表面温度 : 平均-63℃ 最大20℃
5.その他 : 四季有、凍土有、砂嵐有、一日は24時間40分
今までの火星探索ロケット打ち上げは以下。
1.2016/7月 ESA(欧州宇宙機構):が打ち上げ成功 ローバーの着地失敗 現在も周回軌道を回っているらしい
2.2020/7月 ESA:ロシア共同でエクソマーズ打ち上げ延期 2022年の予定
3.2020/7月 中国:天問1号打ち上げ成功
4.2020/7月 UAE(アラブ首長国連邦)HOPEアル・アマルー打ち上げ成功 三菱重工H2Aロケット使用
そして昨日、マーズ2020PJ(打ち上げは2020年7月 アトラスV5 41型ロケット使用)に基づいて、2021年2月19日 ESA+NASA が打ち上げた(2020/7 火星到達に8か月)パーシビアランス(不屈の精神という意味)が火星の大気圏に突入(5:46 時速2万km)し、パラシュートを開き、ヒートシールドを切り離し(5:52)てスカイクレーンが逆噴射で着地体制(5:54)に入り、上空7500mから減速しながら地上をスキャンして持参の地図情報と比較しながら自分の位置を確認する。そしてパーシビアランスはワイヤーで地上におろされて無事に火星に着地した。
その場所はジェゼロ(クロアチア語で湖という意味)・クレーター、直径は45km、深さは数百mで、30億年前には生命をはぐくむ湖があったという。水の流出入口の地形が残っていて、生命の存在(炭酸塩という栄養分の堆積)を確認するにはうってつけの場所である。しかし岩石が着陸をはばむ地形でもあった。着陸を可能にしたのが地形相対ナヴィゲーション(TRN)、2019-5月カリフォルニア・デスバレーで着陸試験(TRN実証試験)が行われた。つまり減速しながら地上をスキャンして持参の地図情報と比較しながら、安全な自分の位置を人工知能が解析・確認するのである。総責任者はケン・ファーリー教授。
ところで、初めて火星ゲール・クレーターに探査機が下りたのは2004年、スピリットとオポチュニティー。2機が追い求めたのは水。そして水の作用を受けた鉱物・ヘマタイトを発見した。2012年にNASAは重量1トンの本格的な探査車キュリオシティーを送りこんだ。火星地表に酸化していない土壌を発見、微生物が生息できる環境である。そしてやがてベンゼンやプロパンなどの有機物を発見した。しかしそれが生命由来のものであることを示す十分な証拠はなかった。そこでパーシビアランスには生命の痕跡を見分ける分析器が搭載された。それがシャーロック、紫外線をサンプルに照射して反射光から有機物の有無を突き止めるというもの。
この火星探査のミッション内容は以下。
1.探査期間 : 680日 パーシビアランスが火星ジェゼロ・クレーター近辺の生命誕生の源を探査
2021-2-21 探査エリア・三角州界隈のパノラマ画像を撮影
予定探索ルートは約10km(探査車キュリオシティーの2倍)
ジェット推進研究所JPLの小野雅裕氏が、探査自立走行のアルゴリズムを開発改善(200m/Day)
2.周辺状況確認 : カメラ3台
3.ヘリの飛行試験 : インジェニュイティー号
火星の大気圧は地球の1/100,従ってヘリ浮上の揚力を得ることが難しい。
翼の上部は速度高・気圧低、下部は速度低・気圧高、この差により揚力発生
翼面積大(長さは1.5m)、翼速度大(2400rpm)、機体重量小(1.8kg)
2019-1月安定飛行試験成功、2021-3-30インジェニュイティー号がパーシビアランスから火星におろされ
2021-4-19 初飛行@火星 飛行時間は39秒 高度は3m 時速7kmで5m水平飛行成功
4.生命の有無確認 : 約40本のサンプルを採取 サンプル拡散防止管理、漏洩防止管理
採取が終了する約2年後に、ESAによるサンプル回収ローバー計画(現在2021-7-9研究中)に基づいて、衛星軌道迄サンプルを打ち上げ、地球帰還衛星(約時速1万km)がそのサンプルをキャッチ(カプセルを吸い込み、不純物を取り除く)し、2031年に地球に持ち帰る予定である。
パーシビアランスは決められた場所にサンプル容器を置いた後、写真撮影して正確な位置を記録。回収機はそのデータに基づいてサンプルから1mの地点まで到達して回収する。(容器識別、ロボットアームで回収)
2030年代米は有人飛行を計画している。その技術実証をパーシビアランスが担っている。
2021-4-20 酸素生成器の実証試験が行われた。CO2を凍結、分解してO2を生成。これがサンプル打ち上げロケットの燃料として必要になる。約5gの酸素を1時間で生成。