斎王はこうして選ばれた
斎王は、伊勢に祭られている天照大神を祀る目的で未婚の皇女が選ばれます。といっても天皇の娘とは限らず、皇族から選ばれたようです。 天皇の代替わりがあると伊勢の斎王も交代しますが、占いで選ばれました。これを卜定(ぼくじょう)といいます。
未婚の内親王を選び、内親王に適任の者がいない場合は、女王(天皇の2~5世の女性の子孫)の中から血筋の順に従って選定します。 選定の仕方はト定ではあったが、会議で定められた皇女の結果が出るまで何度も占ったというから、形式的なものであったのだろう。また、斎宮制度が確立した当初こそ、斎宮には天皇の近親者が選ばれていたが、時期が経つにつれ、遠縁の王女や更衣所生のやや身分の低い皇女が任命されるようになる。やはり、いつ帰れるか分からない都から遠く離れた斎宮での暮らしは、敬遠されたようですね。
大臣が神祇官の役人を召した上で外記に硯と紙を用意させ、大臣自ら斎宮候補の内親王または女王の名を書いて外記に封をさせ、神祇官に渡します。神祇官は、亀卜(きぼく。亀の甲羅を焼いてその割れ目の形から吉凶を占う方法)によって、候補者が神意に叶うかどうかを判じ、その結果を封の上に記して大臣に奉ります。大臣はそれを箱に入れて外記に持たせ、帝に奏上します。帝は神意に従って候補者を斎宮とする勅定を下し、ここに新斎宮が決定します。
斎王が任を終えて都に帰ることを退下(たいげ)と言います。天皇が死んだ時、または譲位した時に斎王の任が解かれます。また斎王の父が天皇以外の場合には、両親のどちらかが死んだ時に任を解かれます。身内に犯罪者が出た時や自分が罪を犯した時(特に男性と通じた時)には、『事故』とされ不名誉な形で都に連れ戻されます。