元服前の義経・遮那王
・鞍馬山で暮らし、15歳になったとき天狗こと源氏の落ち武者の助けを借りて逃亡を図った。
・そのときに実は平清盛の寵愛を受けた祇王庵に立ち寄っている。
・金売吉次を伴って奥州藤原氏のもとへ参じる計画があったわけであるが、その吉次と密会するために祇王庵で落ち合ったのである。
・そのとき祇王は25歳。もちろん妹の祇女、仏御前にも会ったと思われる。
・15歳の遮那王は小柄であったため、たいそういたいけな少年にみえたようで、「かわいいわね・・」などとからかわれている。
さて、吉次の計画で後に奥州に旅するのであるが、時はまだ早々であるとして、しばらく洛中に身を潜めることとなる。
・平家一族が、遮那王をやっきになって探していたからである。
・そして、遮那王は追っ手から逃れるために、化粧を施し髪も女風にし、袴も艶やかな女童姿となった。
・眉白粉にべにをつけ、可憐な白拍子の雛となる。そして名を龍胆とかえて呼ぶこととした。
・実はこのとき多くの白拍子とであっているのである
・が、後に結ばれる静御前とも出会い、ともに一条で遊び暮れ車の中で抱き合って寝てしまったことがあったのである。
遮那王は奥州へ旅立つ前に一度、母・常盤に会いたかった。
・鞍馬では金王丸(遮那王の父・義朝の家臣)から母の知らせは受けており、
僧として立派に16歳の剃髪の儀を望まれていたが、遮那王にはその意思はなかった。
・当時母・常盤は清盛の寵愛を受けた後、一条長成に嫁いで、三十路の半ばになっていた。
・常盤はもちろん昼夜を問わず平家の囮となって見張り役がついていたため、金王丸でさえ近づくことは難しく、遮那王を説得する。
・こうして平家を討つことにより母・常盤御前との再会を果たそうと思うのである。
・そうこうして奥州への期をうかがっていた翌年の16歳のとき、白拍子の雛妓姿の遮那王、龍胆は五条橋の欄干にもたれていた。
・彼が身を寄せていた家の姉妹とともに五条の市へ雛祭りの買い物の帰りである。
・父・義朝の思いにふけっていたその時、「牛若!」と女衒の朽縄が迫ってくる。いよいよ都の生活も潮時がやってきたのである。
祇王寺には祇王と清盛の墓があります