中国、ソロモン諸島と安保協定
・2022-3 中国外務省は31日、南太平洋の島国ソロモン諸島と2国間の安全保障協定に基本合意したと発表
・汪文斌副報道局長は同日の記者会見で「地域の平和と安定に役に立つ」と意義を強調
・ソロモンに近いオーストラリアなどは中国の軍事拠点の構築につながると警戒
・協定の草案とされる文書によると、ソロモン側が社会秩序の維持などのために、中国に軍や警察の「派遣を要請できる」と明記
・「ソロモン諸島で中国の人員の安全や主要な事業を守るため、中国の部隊が利用できる」とも記した
・ソロモン側は声明で「全てのパートナーと協力し、全ての人々が平和に共存する安全な国家を提供する」と強調
ソロモン諸島では,1998年末に「ソロモン内戦」が勃発
・オーストラリア国防軍を中心とするRAMSI によって暴動鎮圧・秩序維持となった
・しかし,その暴動鎮圧・秩序維持はエスニック・テンションに蓋を被せただけ
・治安出動は,これまではオーストラリアが担ってきたが、これを,中国に切り替えるというわけである。
ソロモンは2019年に台湾と断交して中国と国交を樹立
・2021年には親中派のソガバレ現政権1955-に反発する住民らが反政府デモを行い暴動が起きた
ソガバレ政権 ・2019以降----第四次政権以降は親中路線を取り始めて台湾との国交を断絶
・民主主義を後退させ、権威的・独裁的政治を行っていると国民が避難
・2021-11-24 中国との関係強化や公約を果たしていないソガバレに不満を持つ住民によるデモが発生
翌日暴動に発展
オーストラリア政府は警官と軍人の派遣を実施
・2022年 中国との間で安全保障協定を締結
・2023年 警察協定を締結し、中国の警察官の駐留を認め着々と中国との関係を強化
・2023年 9月23日、国際連合総会にて福島第一原子力発電所の処理水の海洋放出を非難する演説を行う
また中国が主導する巨大経済圏構想、一帯一路を称賛
・2024年 4月17日執行の総選挙で与党は過半数を獲得できず、ソガバレは新首相への立候補を断念
新首相はマネレ1968- :中国関係は継続。ソガバレは財務大臣
LDC (Last Developed Country 後発開発途上国)とは,他国からの援助で成り立っている国
・独立国ではあるが,他国からの援助で生きている国である。
・この国にとって「よい国」は,たくさん援助してくれる国である。
・LDC は,覇権主義に自国の活路を求めている国の餌食になりやすい。
・援助国は,援助プロジェクの条件として秩序維持を求める,
・それは LDC に無理を求めることになるので,「援助」の中身に「援助国が秩序維持も担当」が含められる
・こうして,「援助」は「安全保障協定」と込みになる。
・そして,「援助国が秩序維持も担当」は,援助国を宗主として頂くということである。
ソロモン諸島と中国の関係
・ソロモン諸島にとって,中国は「よい国」である。
・ソロモン諸島にはもともと台湾系および中国系住民がいる
・ソロモン内戦では国外退避となった経緯があるので,この点でも「安全保障協定」は自然なことになる。
・日豪米はこの流れをおもしろくなく思っている。
・しかしこれは,ソロモン諸島への「援助」競争を中国とやり合うみたいな事柄ではない。
・金で相手との関係を繋ぐというのは,中国にとってもそれはそれでなかなか大変なことなのである。
・中国には先ず,ソロモン諸島の政情不安を利用するのがいいか,それとも無くしていくのがいいか,の選択肢がある。
・政情が不安であることは,中国が政権を支配できることである。しかし,ずっと面倒を抱え込むことである。
・政情不安を無くす方法は,ソロモン諸島全国民を均しく豊かにすることであるが,これも簡単ではなくそして金がかかる。
・この投資に見合うだけのものが返ってくるかというと,そうは期待できない。
・豊かになった国民は,今度は頭の上の中国を煩わしく思うようになる。そして他の国に色目を向けるようになる。
・中国にはまた,ソロモン諸島を軍事基地化するのがいいか,しないのがいいか,の選択肢がある。
・ソロモン諸島の中国軍事基地化は,アメリカ・オーストラリアをソロモン諸島の仮想敵国に定めること
・これはソロモン諸島国にとって「援助」と釣り合う話ではない。
・また,アメリカとの潜在的戦線をアメリカに大きく近づけることであり,これはアメリカの逆鱗に触れることである。
・よって,ソロモン諸島の軍事基地化は,あり得ない。
・ではひとは,ソロモン諸島規模のことでなぜ大騒ぎするのか?