マリの朗読と作詞作曲

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千曲川旅情の歌1(島崎藤村)

2021年10月13日 | 詩の朗読

 

千曲川旅情の歌1

 

 

千曲川旅情の歌1   島崎藤村

 

小諸なる古城のほとり
雲白く遊子悲しむ
緑なす繁縷は萌えず
若草も籍くによしなし
しろがねの衾の岡辺
日に溶けて淡雪流る

 

あたたかき光はあれど
野に満つる香りも知らず
浅くのみ春は霞みて
麦の色わづかに青し
旅人の群はいくつか
畠中の道を急ぎぬ

 

暮れ行けば浅間も見えず
歌哀し佐久の草笛
千曲川いざよふ波の
岸近き宿にのぼりつ
濁り酒濁れる飲みて
草枕しばし慰む