思いつくままに

ゆく河の流れの淀みに浮かぶ「うたかた」としての生命体、
その1つに映り込んだ世界の断片を思いつくままに書きたい。

インフレ目標や最低賃金法撤廃など

2012-12-13 14:38:25 | 随想


 お金をどんどん発行し、金融緩和をし、公共投資を盛んにすればインフレになり、景気が回復するということを言っている人たちがいる。その人たちが政権を取れば、そのような政策を実行するらしい。本当にそんなことをしていいのだろうか。景気が回復するのだろうか。金融緩和については、ゼロ金利にしてから久しいが、一向に景気はよくならない。銀行にはお金が余っているのだが、よい投資先を見出だせずにいる。かといって、瀕死の企業に貸し出して不良債権になどしたくないので、簡単には貸さない。東日本大震災の復興のために、未曾有の公的資金を投入しているはずだが、関係企業だけは儲かっているのかもしれないが、別に景気がよくなってきたわけでもない。

 ほとんどの企業はお金がないので困っているわけではない。ものが売れなくて困っている。国際的な価格競争の中で、一部のお金持ちのためのものは別だが、高いものは売れなくなってきている。生産を国内でやっていてはこの価格競争には勝てないと、生産拠点を賃金の安い海外に移し、商品価格を下げる。その結果、国内の労働需要が減り、国内の消費者である労働者の賃金が下がり、消費はますます落ち込み、さらに商品の低価格化が要求されるという悪循環に陥っている。

 今の不況、デフレの主因は、このような経済の動きの中にある。このことは以前(2012/2/15)にも述べた。だから、お金をどんどん発行しても、お金の価値が下がるだけで、景気がよくなるわけではない。たとえインフレにはなったとしても、それに連動して賃金が上がるわけではない。国際的な競争の中で賃金が低下しているのだから、インフレ率に対して、相応の賃上げをすれば、商品価格に対する人件費率は変わらないことになり、競争力はアップしない。だから、競争力をアップさせるためには賃金を据え置く必要がある。そうなれば、実質的な賃金は減り、消費税の増税と合わせて、可処分所得がますます少なくなって、国内消費はますます落ち込むことになる。したがって、景気は回復しない。

 ましてや、誰かさんの説に従って最低賃金法をなくしたりすれば賃金はますます下がり、事態はさらに悪化するだろう。「今の賃金では1人しか雇えないところが、2人、3人を雇えるようになるので、雇用が増える」とのこと。時給800円で、ぎりぎりの生活をしている人がいるのに、同じお金で2人雇えば時給400円、3人雇えば時給270円となって、いったい生活が成り立つのだろうか。どこからそんな発想が出てくるのかわからない。暴動が起きても仕方がない状態になるのではないか。

 100円ショップの商品は、商品価格が暴落してそうなったのではない。賃金が安い国で作ることによって、その価格で十分に継続的な商売ができるのである。ユニクロにしろ、ニトリにしろ、投げ売りをしているわけではない。その価格で売ってきちんと儲けているのだ。だから、そういう戦略を立てて実行している企業はどんどん利益を上げ、規模を拡大している。景気が悪いから商品価格が下がり、デフレになっているのではない。今の世界経済は賃金をグローバルに平均化する方向に動いている。資本に国境はなく、賃金が高い国の資本は、競争原理からくる圧力によって、より安い賃金を求めて移動する。その結果、移動元の国では労働力の需要が減り、賃金は低下し、国内の消費が低迷し、景気は悪化する。反対にその移動先の国の賃金は上がり、消費が活発化し、景気は上昇する。

 この不況、デフレは、新興国の賃金が一定程度、すなわち、海外で生産をするメリットがほとんどなくなるまで上昇しないと解消しないと思われる。たとえば、中国ではだんだんと賃金が高くなってきており、資本にとって魅力がなくなってきたようだ。経済成長率の上昇も鈍化してきている。先の反日暴動のような政情不安もあり、他の国を探したり、自国に戻ったりする資本も出てきているらしい。ただし、他の国も含めて、このような状態が一般化するのはまだかなり先のことになると思われる。

 安部自民党総裁の発言が金融市場に影響を与えているようだ。金融市場のようなギャンブル的世界では、わずかな変動にお金をかけて儲けているのだから、一時的に株価や為替の変動が起きることはあるかもしれない。しかし、それで実質経済が回復するわけではない。下手にギャンブル市場が過熱すれば、日米で起きたバブル崩壊のときのように社会は混乱する。今度の選挙で、自民党が勝利し、安部総裁が言っている政策が実行に移されれば、隣国との関係はさらに悪化し、輸出が減り、インフレと消費税増税で消費は落ち込み、国防費は増え、社会保障費は減り、この国はどんどん悪くなるかもしれない。そうなったら、安部首相(になるのだろう)は「ぼくちゃん、またお腹が痛くなった」と言って辞任すれば済むが、国民はそうは行かない。最近の日本の首相はあまりにも無責任すぎる。小泉内閣は、痛みを伴う改革を実行したが、痛みの先にあったものは、さらに大勢の人が痛みを被ることになった現状の日本である。それでも、世論調査では自民党が過半数を取りそうだとのこと。お腹が痛くなって辞めた首相がまた首相になる。本当に困ったものである。でも、これが日本であり、日本人なのだろう。(と言ってあきらめの気持ちになるのもよくないことかもしれない。たぶんよくない。よくないと思う)



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