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桜と白鷺
<消費税についての追加情報>
電力会社が再生エネルギー電力を固定価格で買い取る制度(FITと言う)がある。再生エネルギーの売り手の多くはインボイスを発行できない免税事業者である。したがって、インボイス制度が導入されると、電力会社は免税事業者との取引について仕入れ税額控除ができないため(仕入れ税額控除を受けるためにはインボイスが必要)、買い手である電力会社に損失が発生する。資源エネルギー庁は、この損失分を電気料金へ上乗せするかたちで補う制度を検討しているとのこと。「電力会社に損はさせない!電力会社の損失分は消費者に払わせてやる!」ということだ。どこまでも大規模事業者にやさしい政府である。消費者は電力の使用にかかる消費税に加えて、電力会社がFITで買い取ったときに支払った消費税も負担することになる。
◇◇ 安全保障/国防について ◇◇
「敵が攻めてきたらどうするのだ!」「国防だ!」「安全保障だ!」「敵基地攻撃能力だ!」などと最近特にうるさくなっている。彼らはロシアのウクライナ侵攻を喜び、一気に元気づき、ここぞとばかりに軍事費を従来の2倍にまで増額し、アメリカからオンボロ兵器を大量に購入することを決めている。野党の多くもそれに乗せられ、敵基地攻撃能力や軍事費の極端な増額に理解を示している。しかし、いったいどこの国が、何の目的で攻めてくると言うのだろう。そんな兆候はあるのだろうか。いま日本を武力攻撃してどんなメリットがあるというのだろう。
もっと常識をはたらかせるべきだ。日本の安全保障を考える場合、つぎのようにいくつかの大きな問題がある。ところがテレビや新聞はまったくこれらを問題として報道しない。これこそ国民の前に問題提起し、議論をするべきなのに。インターネットによる情報伝達が浸透する中、凋落傾向にあるテレビや新聞は、戦争を想定し、国民をその方向に煽った方が儲かるからなのかもしれない。先の戦争では、戦争が始まって新聞の購読者数が一気に増えたそうだ。
<日本が仮想敵国としている国は核兵器を含む大量の兵器を持っている>
もし日本が仮想的としている国の基地を攻撃すれば、このたび大量購入するというトマホークを1発でも撃ち込めば、その100倍のミサイルが日本に飛んでくるだろう。場合によっては、広島/長崎の原爆とは比較にならないほどの破壊力を持った核兵器が飛んでくるかもしれない。どうやって防ぐのだろう。そのミサイルは、トマホークという旅客機程度の速度で飛んでくるのではなく、極超音速で飛んでくる。迎撃など不可能であることは専門家なら十分にわかっている。
<日本には50基以上の原発がある>
普通の頭を持った人であれば福島原発の事故で十分にわかったと思うが、原発が攻撃され破壊されれば放射能汚染が広がり、広大な地域に人が住めなくなる。経済活動もできなくなる。もちろん戦争などやっていられなくなる。ロシアがウクライナの原発を破壊しないのは、地続きであるロシアも放射能で汚染されることがわかっているからである。しかし、日本は島国なので核攻撃し、放射能汚染をしても、自国への影響はあまり大きくないと見て遠慮なく攻撃されるだろう。そのような原発をさらに増やそうとしているなど、狂気の沙汰としか思えない。敵に対して、標的を増やしてやっているのだ。
<日本の食糧やエネルギーの自給率は驚くほど低い>
日本の食糧自給率は先の戦争の前よりもずっと低くなっている。したがって、海上封鎖が行なわれ、食料が輸入できなくなるとすぐに国民が飢餓状態になり、餓死者が大量に出る。農水省の統計では1961年の食糧自給率は78%であった。それが2019年は38%となっている。参考としてあげると、イギリスで同じ年の食料自給率は1961年42%、2019年70%ということである。なぜこれほど食料自給率を下げるか不思議だ。そうすることでどこかに喜ぶ人がいるのだろう。現在の政権はその人たちのために国民を危険にさらしていることになる。元農水官僚で東大大学院の鈴木宣弘教授は「日本の自給率は38%と言われているが『種の自給率10%』『化学肥料の自給率ほぼ0%』そのため輸入を断たれた際の食料自給率は実質10%あるかないか」と警告している。(警告の動画はここ)なお、先の戦争での日本軍の戦死者は 約175万人、その6割以上が「餓死」であったことは既知の事実である。
自給率と言えば、エネルギーの自給率も大変に低い。石油、天然ガスなど、ほぼ100%輸入に頼っている。戦争が始まり、海上封鎖をされれば、あらゆる生産が止まり、戦争などできなくなる。
<外交努力>
安保3文書に、外交努力については一言も書かれていない。政府の最も重要な役割は戦争の準備をすることではなく、それを避けるために常日頃の外交努力をすることのはずだ。そのことがまったく抜けている安全保障とはいったい何だろう?
やっていることと言えば、台湾有事だとか、北朝鮮への最大限の圧力をとか、日本がウクライナみたいになったらどうするのだとか、戦意を煽ることばかりやっている。当の台湾の人たちは大陸を刺激するような「独立」など望んではいないし、現状の関係を維持しようと考えている人が多数である。経済的にも両者は密接な相互依存関係にある。また、北朝鮮はアメリカ本国までの射程を持つミサイルのデモンストレーションをアメリカに対してやっているのである。それを「Jアラート」などという意味のない警戒警報を繰り返してやることで国民に恐怖心を植え付けようとしている。人々を動かす最も大きな心理的要因は「恐怖」だということが科学的にわかっている。いまの政権はその恐怖を煽ることだけして、近隣の国と良好な関係を作ってゆくための外交努力はまったくと言っていいほどにしていない。
<大国と戦争などすれば負けることはわかりきっている>
上に述べた理由だけでも、日本が仮想敵国としている大国と戦争などすれば負けることはわかりきっている。太平洋戦争を始める前年の1940年10月、大日本帝国政府の各省庁の若手官僚と民間の専門家から成るシンクタンク「総力戦研究所」が創設され、日米開戦のシミュレーションを研究した。研究者は政権の意向など忖度せず、科学的に実証的研究を行った。1941年8月に報告された結論は「日本の敗北は不可避」「初戦は何とか勝利できても、長く持って3年、100%負ける」。それに対し東条英機は「それは机上の空論、やってみなければわからない」と戦争を始めて、シミュレーション通り敗北した。そして戦勝国アメリカの属国になってしまった。
<アメリカは日本を守ってくれるのか>
仮に日本が中国と戦争をすることになったとき、アメリカは日本を守るため中国と戦争をするだろうか。アメリカが中国と戦争をする場合、相手はアメリカ本土に届く核兵器を多数保有しているのだから、アメリカはそれが飛んでくることを想定しなければならない。広島、長崎では20万人以上の人が亡くなった。しかし、核戦争になれば、その10倍、100倍、あるいは1000倍以上の人が亡くなるだろう。アメリカ人だけは助かるなどということはない。そこまでしてもアメリカは日本を守ってくれると本気で考えている人がいるとすれば、その人の頭はどうかしているとしか考えられない。でも、いまの政府が日米同盟だ、国防だと言ってやっていることは、そう信じているようにしか見えない。小規模な武力衝突は世界中で起きているが、アメリカにとっての日本の位置づけは、前線基地でしかない。武力衝突をアメリカ本土まで引き込まないようにするという意味での同盟であり、だから、武力衝突で大きな被害を受けるのは前線基地としての日本だけなのである。太平洋戦争で、日本が沖縄をそのように位置づけ、アメリカと戦い、住民の4人に1人が亡くなるという悲惨な事態になったが、それと同じなのである。
そもそも、日本もアメリカも、いま中国やその他の国と戦争をしなければならないような事情はまったくないし、近い将来にそうなる兆候も見当たらない。狂った人が権力の座につかない限り。
<本当は何のため?>
同じ過ちをさらに拡大して、また犯そうとしているのだろうか。そうではないかもしれない。政府は以上のようなことはよくわかったうえで、戦争などする気はないにもかかわらず、国民の戦意を煽っているのかもしれない。税金を国民の福祉のために使うより、アメリカの歓心を買うために古くなって使わなくなった兵器を先方の言い値(本国の2倍だと言う)で買ったり、軍需産業を盛んにしたり、政府に異議を唱える人たちを非国民として抑え込んだり、そうした方が自分たちの利益になると考えてやっているのかもしれない。国民の税金を社会福祉に使っても自分たちには何の利益にもならないので、「いまだけ、カネだけ、自分だけ」「大洪水よ我が亡き後に来たれ!」ということかもしれない。大洪水を引き受けることになる人たち、これでいいのですか?
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