現金を廃止して社会のシステムはどうなるのか。一から全て説明する。
1、全員マイナンバーで管理
日本国民は全員、オギャーと生まれた時に戸籍を作る。現在はそれと同時に「マイナンバー」も与えられる筈だ。ここで意識を変更し、マイナンバーは究極の「氏名」と考えるのである。現在のような文字登録制では「同姓同名」や「読めない名前」が頻出する。マイナンバーであればこのような名前に関する問題は「一挙に解決」する。つまり、一人一つずつ「ダブらず間違いようがないユニークな番号=名前」が出来上がるのだ。それに、番号以外に一切の付加的イメージの無い「記号」である点で、不断の日常と切り離せる「個人識別番号」に最適である。数字(英文字も加えることもできる)記号なので、打ち間違い・読み間違いが無く、コンピュータとも相性がいい。まず、オギャーと生まれたら自動的に「ランダムなマイナンバー」を一人ずつに付けることで、作業自体も簡単だ。旧来の戸籍情報はマイナンバーの「関連情報」として個人情報データベースで管理される。つまり、300番の子供は100番の父親と200番の母親から生まれたという情報が「戸籍情報」として登録される。出生日・出生地から生まれた病院や長男・長女など、今までの戸籍に当たる部分を記録する。しかし名前が記号というのでは社会生活を営む上で都合が悪いから、マイナンバーとは別に「通称」を付けることとする。例えば「通称・佐藤一郎」と戸籍情報には載せて、後日気に入らなければ自由に変えてよいものとするのだ。だが、本名は「マイナンバー」一個が設定され、一生の間変更不能の「固定番号」として登録されることになる。
2、一人一つずつ口座を持つ
マイナンバーが付くと同時に、各人に「口座」が割り振られる。国民全員が一つずつ「金融管理庁のサーバー内に口座」を持つ。この口座の口座番号は、「民間銀行などの金融機関口座と紐付け」することで初めて利用可能になる。だから生まれたばかりの赤ちゃんは、物心が付くまでの間「仮に親が銀行口座を開設して、使えるようにしておく」必要がある(便宜的に、である)。使用イメージは、普通に銀行で出し入れする感覚でオーケーだ。仮に国が給付金を国民全員に配布する場合、まずマイナンバー口座に振り込む、すると即座に自分の銀行口座にお金が振り込まれるというわけだ。マイナンバー口座が国の管理する個人用窓口口座で、紐ついている銀行口座がそれに税金を納めたり給付金を受けたりする窓口というイメージで良い。国とお金のやり取りをする際に使う口座が「マイナンバー口座」である。
3、口座の出し入れ履歴
銀行口座には全てマイナンバーが併記されており、どこのどんな口座でも「マイナンバーをキーにして一元管理」することが可能な仕様にしておく。お店で品物を買った場合、品物を受け取り、代わりに「代金」としてAの口座からBの口座へ数字を移動することで売買が成り立つ。給料も同じで、労働することで会社は利益を得るから、その対価として会社の口座から個人の口座へ「数字が移動」される。すべて数字の移動である。この移動に「帳簿機能」を付加したのが「電子帳簿」である。いわばお金の移動の「履歴」である。この履歴は各銀行独自のシステムで行われているが、これを「マイナンバー」で一元記録するサーバー(国で管理)にリンクすれば、企業の会計帳簿から個人の家計簿まで「国民全員の金の流れ」を網羅することが出来る。つまり農林水産業から製造・加工・流通・販売業者、それに飲食やエンタメとか旅館・観光ビジネスなど、あらゆる「お金のやり取り」をA・B双方が記録すれば、お金はどこにも逃げ場がない「完璧な帳簿」が出来上がるわけである。当然、販売価格からモノの原価を引けば、付加価値として計上されるし、売上からコストと人件費を引けば利益が出る。簡単な仕組みだ。仮に帳簿を誤魔化そうとして架空支払いを計上しようとしても「現金の無い社会」では実際に「口座移動」しなければ支払いは成立しないから、相手先の口座に「必ず履歴がついて」しまう。モノが動けば在庫やコストが変わるし、人が動けば給料が生じる。どんどん詰めていけば架空取引などは「実際には不可能」なのだ。これは、現金をなくしたことで生まれる「最大のメリット」である。
4、納税が自動化される
全ての口座の出し入れは、一箇所の「マイナンバー口座専用サーバー」にすべて記録されているから、そこから納税計算を自動ですることは可能である。1億2千万人の家計簿と、何千万社の帳簿を計算すうとなると大変だと思うかも知れないが、今はAIがあるから「データさえ揃っていれば」あっと言う間に計算してくれる。後は3月に国から納税額通知メールが届いて、ボタン一発でマイナンバー口座に振り込めばオーケーというわけだ。何の面倒もない。勿論、国税庁が「監修するAI」だから間違うことなど有り得ないし、なんなら間違えた時には「お詫び料」を貰っても良いかも知れない。とにかく脱税することはほぼ不可能だから、国は税金の取りっぱぐれもなく、国民んが全員平等に納税する理想社会が実現されるのである。税務調査といえば普通は税務署員が2、3人やって来て、何日もかけて書類や伝票を調べてやっと調査が終わる大変な作業だ。しかしこれからはデータはサーバーで一元管理してあるから、同じレベルの税務調査が「全国一律に、しかもあっという間に」出来てしまうのだ。目出度し目出度し。まあ、税務署員も要らなくなるから、彼らの職も探さなきゃいけないけど。
5、寄付・贈与の禁止
お金の流れを完全に個人消費とリンクすれば、他人から金銭を奪うという犯罪も撲滅できる。仮にAさんから1000万円のお金を奪ったとして、現金が無い社会では「Aさんの口座」から「犯人の口座」へ移動することになる。それを防ぐには、マイナンバーが異なる口座同士で「寄付や贈与」などの、対価のない数字の移動は出来ないようにすればよい 。万一何らかの科目をつけて移動されたとしても、移動した先は当然「犯人の口座」であるから、即座に御用となるわけだ。仮に、他人の口座を使ったとしても本人認証」があるから、他人の口座を犯人が使って買い物は出来ないのだ。結局お金を奪っても使えない仕組みである。すべての口座はマイナンバーで紐付けされていることで、これらのことが可能になる。つまり日本のお金は全部、誰のお金か「持ち主」が決まっている、ということである。誰のものか不明なお金は「1円」たりとも存在しないというのが現金の無い社会の基本である。実際にはすべての口座取引については「本人認証」を求められるので、「金を盗む」ということは出来なくなる、というのが正しい。それには寄付・贈与を禁止する必要があるわけだ。まあ、飲み屋で気前良く奢ったりする程度は構わないが、単に「移動するだけ」の取引は禁止しても困ることはないだろう。なお、親が子供に生前贈与するなどという行為は、親子と言えども「禁止」であるから注意が必要だ(私のブログ、社会保障費をタダにする方法、を参照頂きたい)。マイナンバーを跨いでお金を移動する時は、必ず経済活動があるというのを基本にしたい。
以上。今回はお金というものの「考え方」について説明した。これで大体のイメージは掴めたものと思う。次回は最終回・後編として、キャッシュレス決済と本人認証について考えてみたいと思います。
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