さざなみ日記

日々思うこと、懐かしいことなど、つらつらと…

ひまわりのせいくらべ

2020-10-01 14:03:23 | その他
ちょっと時間ができたので、前に書いたおはなしを載せますね。ひまわりの季節は、ちょっと過ぎたけれども…。
(イラストは、私の友人が描いたものですが、無断で転載しないでください)


「ひまわりのせいくらべ」



「ねえ、おかあさん。きょうのおそらはなにいろ?」

「きょうは、うすいみずいろをしているわ。くもがひとつ、ぷかぷかういている。」

「いいなあ、おそらみたいなあ。」

ひまわりの子そうたは、このひまわりばたけではいちばんのおチビ。まわりのおとなのひまわりたちにじゃまされて、おそらがみえません。



「ねえ、おかあさん。なつになったら、ぼくも花をさかせるんでしょ?」

「そうよ。なつになったら、あなたも花をさかせるのよ。」

「もうすぐなつになる?」

「そうねえ、これからあめがいっぱいふるつゆがきて、つゆがあけたらなつになるわ。」



おかあさんのいったとおり、よくじつから雨がふりはじめました。
それから、くる日もくる日も、あめ、あめ、あめ…。

そうたは、あたまをじっとたれて、がまんしました。



いっかげつほどすぎると、雨がすっかりあがり、おひさまがカンカンてりつけてきました。

「ねえ、あついよ~。もうなつがきたの?」

「そうよ、そうた。なつがやってきたの。もうすぐ花をさかすのよ。」



それからしばらくして、ひまわりばたけのひまわりたちは、ひとつ、またひとつと、花をさかせはじめました。

けれど、そうたの花はいっこうにひらきません。せいもひくいまま。



そうたは、さきにきれいな花をさかせているおかあさんに、またたずねました。

「ねえ、おかあさん。ぼくの花いつさくの?」

「しんぱいしなくてもだいじょうぶ。もうすぐさくわ。」



8月になって、はやくから花をさかせていたひまわりたちは、みをつけ、えだをからしはじめました。
そして、8月がおわりかけ、あきかぜがふくようになりました。

そうして、やっとそのころ、そうたのせいが、ぐんぐんとのびはじめたのです。



きがつくと、はたけでいちばんのせいたかのっぽになっていました。

「わあー、そらってこんないろしていたんだ。きもちいいなあ。」





そうたは、かおをそらにむけ、てあしをうんとのばしました。
それから、だいりんのきれいなきいろい花をつけたのです。

「おめでとう、そうた。りっぱな花だわ。」

おかあさんがにっこりわらいました。



そうたは、うれしくほこらしく、そしてちょっとはずかしそうに、もういちどそらをみあげました。

とおくのたいようも、にっこりほほえんでくれているようでした。