ちょっと時間ができたので、前に書いたおはなしを載せますね。ひまわりの季節は、ちょっと過ぎたけれども…。
「ねえ、おかあさん。きょうのおそらはなにいろ?」
「ねえ、おかあさん。なつになったら、ぼくも花をさかせるんでしょ?」
おかあさんのいったとおり、よくじつから雨がふりはじめました。
いっかげつほどすぎると、雨がすっかりあがり、おひさまがカンカンてりつけてきました。
それからしばらくして、ひまわりばたけのひまわりたちは、ひとつ、またひとつと、花をさかせはじめました。
そうたは、さきにきれいな花をさかせているおかあさんに、またたずねました。
8月になって、はやくから花をさかせていたひまわりたちは、みをつけ、えだをからしはじめました。
きがつくと、はたけでいちばんのせいたかのっぽになっていました。
そうたは、かおをそらにむけ、てあしをうんとのばしました。
そうたは、うれしくほこらしく、そしてちょっとはずかしそうに、もういちどそらをみあげました。
(イラストは、私の友人が描いたものですが、無断で転載しないでください)
「ひまわりのせいくらべ」
「ねえ、おかあさん。きょうのおそらはなにいろ?」
「きょうは、うすいみずいろをしているわ。くもがひとつ、ぷかぷかういている。」
「いいなあ、おそらみたいなあ。」
ひまわりの子そうたは、このひまわりばたけではいちばんのおチビ。まわりのおとなのひまわりたちにじゃまされて、おそらがみえません。
「ねえ、おかあさん。なつになったら、ぼくも花をさかせるんでしょ?」
「そうよ。なつになったら、あなたも花をさかせるのよ。」
「もうすぐなつになる?」
「そうねえ、これからあめがいっぱいふるつゆがきて、つゆがあけたらなつになるわ。」
おかあさんのいったとおり、よくじつから雨がふりはじめました。
それから、くる日もくる日も、あめ、あめ、あめ…。
そうたは、あたまをじっとたれて、がまんしました。
いっかげつほどすぎると、雨がすっかりあがり、おひさまがカンカンてりつけてきました。
「ねえ、あついよ~。もうなつがきたの?」
「そうよ、そうた。なつがやってきたの。もうすぐ花をさかすのよ。」
それからしばらくして、ひまわりばたけのひまわりたちは、ひとつ、またひとつと、花をさかせはじめました。
けれど、そうたの花はいっこうにひらきません。せいもひくいまま。
そうたは、さきにきれいな花をさかせているおかあさんに、またたずねました。
「ねえ、おかあさん。ぼくの花いつさくの?」
「しんぱいしなくてもだいじょうぶ。もうすぐさくわ。」
8月になって、はやくから花をさかせていたひまわりたちは、みをつけ、えだをからしはじめました。
そして、8月がおわりかけ、あきかぜがふくようになりました。
そうして、やっとそのころ、そうたのせいが、ぐんぐんとのびはじめたのです。
きがつくと、はたけでいちばんのせいたかのっぽになっていました。
「わあー、そらってこんないろしていたんだ。きもちいいなあ。」
そうたは、かおをそらにむけ、てあしをうんとのばしました。
それから、だいりんのきれいなきいろい花をつけたのです。
「おめでとう、そうた。りっぱな花だわ。」
おかあさんがにっこりわらいました。
そうたは、うれしくほこらしく、そしてちょっとはずかしそうに、もういちどそらをみあげました。
とおくのたいようも、にっこりほほえんでくれているようでした。