ウィークエンド・カフェ・デ・サイエンス (WEcafe)

国立科学博物館認定サイエンスコミュニケータによるサイエンスカフェWEcafe公式ブログ

WEcafe vol.31 「牛乳ができるまで~土からはじまるミルクの輪~」レポート

2013年05月09日 | WEcafeイベント

こんにちは!WEcafeサイエンスコミュニケータの村田です

今回は3月2日に開催したサイエンスカフェの様子をレポートします!

サイエンスカフェに参加したことのない方にもWEcafeの雰囲気が伝われば嬉しいです

 

WEcafe vol.31のゲストは、なんと北海道からいらしてくださった酪農学園大学の松中照夫さんです。

サイエンスカフェ当日の北海道には暴風雪予報が出ていました「暴風雪」は関東では聞き慣れない言葉ですよね。

WEcafeスタッフは飛行機の欠航を心配してソワソワしてしまいましたが、幸運にも松中さんは無事に、さんさき坂カフェにお越し下さいました

写真左がゲストの松中さんです

右はファシリテータのWEcafe村田です

 

10代~50代まで幅広い年代の12名が参加してくださいました!

自己紹介では牛乳への想いを一言ずついただきました

牧場で酪農実習したことのある方、牛乳の銘柄にこだわって飲んでいる方もいましたよ

参加者の皆さんはケーキやカレーを食べながらリラックス。

 

まずは牛乳がどのようにして生産されているか、写真を見ながら松中さんの話が進みます。

牛に与えている餌は「サイレージ」と呼ばれる、刈り取った草を乳酸発酵させたものです。

私たちが食べているお漬物も、多くは乳酸発酵させたものなんです。

松中さんはサイレージのことを「草をお漬物状態にしたもの」と表現されていましたよ。

うまく発酵できたサイレージは人が嗅いでも、いい匂いがするそうです。

続いて松中さんの大学の搾乳場にて、機械で牛乳を搾っている写真を見ているところです。

牛はデリケートな一面も持っており、見慣れない人が乳搾りに来ると、乳量が減ってしまうことも!

 

 

たくさんのお乳を出させるため、酪農家は牛にしっかり栄養を摂らせなければいけません。

サイレージだけの食事では、しっかりと栄養摂取させようと思っても、すぐにお腹いっぱいになってしまいます。

そこで栄養がギュッとつまった、トウモロコシや穀物の餌を加えます。

ところがそのトウモロコシや穀物は、ほとんどが外国産。

外国から輸入した栄養分の多くは、牛が食べることで糞尿に形を変えます。体重が600kg以上もある牛の糞尿は多量です。

糞尿が捨てられ土に戻ると、栄養分は農場周囲にとどまり、土地が富栄養化してしまう問題も抱えているそうです。

 

その土地で採れた草や穀類をその土地の牛に与えることで、栄養が循環し富栄養化を防ぐことが出来ます。

しかし、狭い日本で飼料を生産するとコストがかかってしまい、安い輸入飼料には太刀打ちできません。

「それなら放牧すればいいのでは?」という質問が参加者の方からでましたが、放牧をするための広い土地が必要なことや、放牧されている間に牛がどのくらい草を食べたかわからず餌の管理がしにくいことなど、課題もあるそうです。

 

参加者一同、牛乳作りの大変さを実感しました。多くの人に牛乳を飲んでもらいたい!という松中さんの牛乳に対する熱い想いが伝わってきました。

土壌が富栄養化を防ぐための即効性のある方法はいくつか存在するのですが、現在の日本の酪農状況を考えると、実現するのは難しいように感じられます。

でも、スーパーマーケットやネット上では、実にたくさんの牛乳が売っています。

中には環境に負担の少ない放牧で生産された牛乳や、国産飼料を利用して生産された牛乳もあるんです!

私もサイエンスカフェをきっかけに、どうやって作られた牛乳なのかを見て、牛乳を購入したいです。

 

サイエンスカフェ終了後の懇親会も盛り上がりました!普段の生活ではなかなか話すことのない「土」について性別や年代を超えておしゃべりするなんてWEcafeならでは!

参加してくださった皆さん、ありがとうございました!またのご参加をお待ちしております

 

サイエンスカフェの様子は、当日のtwitterによる中継でもご覧いただけます→http://togetter.com/li/465294

 

 

 

 

 

 


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