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WEcafe vol.24「ブラックホールカフェ」レポート

2012年03月21日 | WEcafeイベント

こんにちは、WEcafeスタッフの宮崎です。


春が近づいているのを感じますね。


今回は、2月29日開催の「ブラックホールカフェ」の様子を紹介します!



2月29日は朝から雪が積もるような寒さ。そんな中、11人の方がcafe&barさんさき坂に集まりました。


天文学ファン、近所に住む親子、酒屋さん、理科の先生などなど・・・


バックグラウンドは様々だけれど、宇宙に興味があるというのは共通している様子。



ゲストは宇宙物理学者の川勝望さん(中央右)です。


ファシリテータはWEcafeスタッフの鈴木佑(中央左)が務めました。



この日のカフェは、川勝さんの「ブラックホールとは何か」という簡単なレクチャーからスタートです。


ブラックホールとは、太陽の十倍以上の質量を持った星が、死んだ後に自分自身の重力に絶えきれなくなり、どんどん圧縮されてできた、超高密度の天体のこと。重力がとても強く、光ですら一度吸い込まれたら外に出られないんだそうです。地球ももし仮に角砂糖サイズにまで縮めることができたら、理論上はブラックホールになってしまうんですって!



「ブラックホールって、宇宙にぽっかり空いている、何でも吸い込む穴なんでしょ?」なんて知識レベルの私にとっては、この時点で驚きの連続です。


「中心に近づくほど時間の流れる速度が遅くなるってホント?」


「ブラックホール同士が出会ったらどうなるの?」


参加者の皆さんからも、次々と質問が飛び出します。



カフェでは、ブラックホール研究の歴史も話題になりました。


ブラックホールは、なんと、望遠鏡による観測(※注)で発見される1世紀近くも前に、理論的に存在が予言されていたんだそうです。


計算によって理論的に予測された現象が、実際に観測されて裏付けられる。


また、今まで知られていなかった現象が観測されることによって、それを説明する新しい理論が構築される。


ブラックホール研究に限らず、このような流れで、宇宙研究は進んでいくんだそうです。



カフェの後半では、川勝さんのご専門の話に。


川勝さんは、ブラックホールに飲み込まれていく物質の動きを、コンピュータシミュレーションで予測している理論屋さん。


計算して予測する研究者(理論屋さん)と、観測する研究者(観測屋さん)が協力して、最近もブラックホールついて新発見が相次いでいるんです。


最近では、銀河の中心に、超巨大ブラックホールが存在するのでは?という発見がされたそうです。


なんとそのブラックホール、銀河の形成とブラックホールの形成に密接な関係があるかも!?という話もあるんだとか。


何だかワクワクしますよね。



という話をしている間に、あっという間に終了の時刻。


休憩時間もゲストを休ませない参加者と、川勝さんのブラックホールへの情熱とで、最後まで笑顔の絶えないカフェとなりました。


(サイエンスカフェの様子は、当日のtwitterによる中継でもご覧いただけます→ http://togetter.com/li/265792




最後には、みんなの熱気で窓がくもってしまいました・・・(笑)



それにしても、宇宙は謎に満ちているなぁと、しみじみ思った夜でした。


今後もWEcafeのイベントを予定しております。ブログのチェックをお忘れなく!



※注:正確には、観測されたのは「ブラックホールに吸い込まれている物質が、摩擦による熱で燃えているところ」です。ブラックホールを直接、望遠鏡で見つけることはできません。



文・宮崎寧子


ツイッター中継・蓑田裕美


写真撮影・杉原奈央子、蓑田裕美


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