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【アメリカ前編】 シンシナティ自然史・科学博物館をレポート

2014年06月30日 | 展示レポート

こんにちは!WEcafeスタッフ『ほろ酔い1号』です

こちらのブログでは、国内の博物館や展示場での企画展の様子をレポートしてきましたが、

今回は展示レポート~アメリカ編~として、アメリカの博物館と科学館を2回の記事に分けてご紹介したいと思います

第一弾はオハイオ州のシンシナティ自然史・科学博物館!

シンシナティは北米の中西部、五大湖のほぼ真下にあります。

 

WEcafeのトークイベントの一つ、博物館見聞録でもご紹介してきたように、

海外旅行に行った際、現地の博物館を訪れてみるのもなかなか面白いものです!

特に今回ご紹介するような「自然史博物館」では、その土地の歴史や特徴も知ることができるので、おすすめです

 

それではいざ、館内へ~

 

雰囲気のある入り口を抜けると、立派なマンモスが迎えてくれました

 

このマンモスの化石はケンタッキー州で発掘されたそう。

シンシナティ博物館があるオハイオ州や、そのお隣のケンタッキー州は約18,000年前まで氷河に覆われていました。

かつてはこの場所に、マンモスが生きていたんですね~

 

 

 

“シンシナティの氷河期”コーナー!

 

さて氷河期は、どんな環境で、他にどんな生き物がいたのでしょうか?

 

 

入り口にはシャーロックホームズのシルエットが。

曰く、“それは探偵の仕事のようなもの 科学者たちは残された手がかりを元に調査します”

なんだかワクワクしますね

それでは、過去の生き物たちの“証拠”すなわち彼らの“痕跡”を調べることでその謎に迫っていきましょう

 

 

ヒントとなる痕跡は3つ。

、そして花粉です。

  

骨や貝は固く、微生物に分解されにくいため化石として残ります。

また、実は花粉も、化学的に安定な構造をしているため化石として残りやすいので、

骨や貝に比べるととっても小さいけれど、大事な証拠になるそうです

 

こちらは“ボーリング調査”という、地中から土を採取する作業について説明した展示です。

この細長い筒のような道具で、深いときには何十メートルも下の土を掘り出します。

 

地中を深く深く掘り下げていくと、地表から遠ざかるほど過去の植物の花粉が見つかります。

オハイオ州の湖の土を調査したところ、

地表から比較的近い約200年前の土には、ナラやカシなどの広葉樹の花粉が見つかりましたが、

さらに深くの約18,000年前の土からは針葉樹の花粉しか見つかりませんでした。

 

広葉樹は平均気温が3~20℃の地域に分布しています。

一方で針葉樹は平均-16~5℃の地域に分布し、地中が凍るような寒い場所でも生きていける植物です

かつてはとても寒冷だった気候が何千年ものうちに約15℃も暖かくなった、ということが花粉の化石から分かるんですね

 

また、

年輪の幅、つまり年ごとの木の成長度から、当時の気温を割り出すこともできるそうです。

 

直径2メートル以上ありそうな大きな年輪。

白い矢印には、年輪幅から計算した西暦が書かれていました。


幹を丸ごと切らなくても年輪幅を知ることができる、便利な方法もあります。

地中のボーリング調査については先ほどご紹介しましたが、

こちらは幹の中心に向かって掘り下げる木のボーリング調査

木の幹をボーリングしている様子です。

ドリルのような道具を回しながら、木の中心を目がけて掘り進めています。

 

この方法なら生きた木からも試料を取ることが出来ます。

 

ボーリングで掘り出した木の幹(下)と、その年輪幅を元に作成した、成長度の“年表”(上)


木の生長度は、気温だけでなく、洪水や干ばつ、害虫の大量発生や地震の影響も受けることから、

優秀な“記録表”として重宝されているそうですよ

 

 

また、暑さが苦手なカタツムリの移住記録から、その土地の気温の変化を知ることもできるそう

“カタツムリは語る「暑いのに我慢できなくなったら、オハイオから引っ越すしかないよ」” 

 

先へ進むと、何だか幻想的なトンネルが・・・

トンネルを抜けると、そこは氷河期のオハイオ州

木陰や川のほとりに、かつてこの時代に生きていた動物たちが隠れています。(もちろん、復元模型ですけれど・・)

風の音や、鳥の声も聞こえてきて、まるでタイムスリップしたかのようです

 

上段左から、オオナマケモノ、ダイアウルフ、アメリカワシミミズク、

下段左から、古代バイソン、プラティゴヌス、ジャイアントビーバー


この中でアメリカワシミミズクだけが、現在も北アメリカに生息しています。

残りの生き物は氷河期以降の気温上昇に適応できず絶滅してしまい、私たちはもう彼らの生きている姿に出会うことは出来ません

環境が変わるとそこに住む生き物も変わる、ということが体感できる展示でした。

 

他にも、世界一長い洞窟としてギネスブックにも登録された、ケンタッキー州の洞窟を再現した展示や

洞窟に住む生き物、コウモリの生態について博物館のスタッフが説明するコーナー、

Bat Flight!(コウモリ飛びます!)」も。 

このコーナーでは生きているコウモリが登場しましたが、コウモリは網に掴まったままスヤスヤ・・・(夜行性ですもんね

なかなか飛んでくれませんでした。笑

 

網を張った小部屋の中で、博物館のスタッフがコウモリを手に乗せながら説明してくれました。

子供たちが興味津々に見つめています。矢印は網に捕まるコウモリたち。

 

 

その他にも宇宙コーナーや、

オハイオ州でとれる鉱物コーナー

 

白亜紀の生き物コーナーもあり、盛りだくさんの博物館でした

 

次回の展示レポート【アメリカ後編】では、コロンバスの産業科学博物館についてご紹介したいと思います。

どうぞお楽しみに

 

<参考>

シンシナティ自然史・科学博物館について

Cincinnati museum of natural history and science

ユニオン ターミナル シンシナティ博物館センター(トリップアドバイザーHP)

 

常緑広葉樹と針葉樹の生息地の気候について

http://www.keirinkan.com/kori/kori_biology/kori_biology_2_kaitei/contents/bi-2/4-bu/4-3-5.htm

 

 


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