相続登記手続きのご依頼を受けた中で、共同相続人の一人が被相続人の預貯金を被相続人の生前に勝手に引き出していたケースがありました。引き出した本人(相続人A)はその後亡くなり、Aの相続人であるBが引き出した分を戻すということで合意をし、その点については全く争いはありません。しかし引き戻した分を遺産分割で相続した相続人に振り込む場合、贈与と見做されないようにするため、遺産分割協議書の中に、次のことを盛り込むことにしました。
①共同相続人全員が、引き出した本人(相続人A)が〇〇円引き出して受領している旨の確認
②共同相続人全員が、引き出した金額が被相続人の遺産である旨の確認及びそれを相続人Cが取得する。
次のとおり記載
「〇〇銀行普通預金 口座番号の相続開始前の出金〇〇円に係る返還請求権」
③BがCに対し、〇〇円(引き出された金額)を支払う。
預貯金等の遺産の使い込みを取り戻す法的根拠は、不当利得返還請求権(又は不法行為)になります。
被相続人が行使するはずだった不当利得返還請求権を相続したという構成です。