以前、取締役が1名しかいない有限会社で、その唯一の取締役が亡くなってしまい、後任の取締役を選任しなければならないケースがありました。
しかし、株主総会を招集する取締役が不存在なわけです。
裁判所で仮取締役を選任してもらう??(めんどくさい・・・)と思いましたが、今回は株主は死亡した取締役の父親1名だったので、会社法第319条第1項の「株主総会の目的たる事項について取締役または株主から提案があった場合において、当該事項につき議決権を行使できる全ての株主が書面または電磁的方法によって同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する株主総会の決議があったものとみなされる。」という「書面決議」で無事解決することが出来ました。
書面決議には、会社法施行規則第72条4項1号に定められた事項を記載した議事録を作成する必要があります。会社法施行規則72条4項1号に定められた事項は、次のとおりです。
①株主総会決議があったものとみなされた提案事項
②上記第1号議案の提案をした者の名称
③株主総会の決議があったものとみなされた日
④議事録作成に係る職務を行った取締役(新たに就任した取締役)
この議事録は登記申請書類に必要ですが、株主が提案し同意した書面は登記申請には添付しなくてもOKです。
このケースは、たまたま取締役と株主が別だったので良かったのですが、取締役と株主が同じケースはたくさんあるでしょうから、万一のことが起きた場合のリスクは大きいですね。
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