司法書士伊藤弥生の好好学習天天向上

日々の司法書士業務に関してあれこれ備忘録など。

令和3年度第1回会員研修会

2021-09-21 10:30:59 | 研修会

9月18(土)、静岡県司法書士会の第1回会員研修会にオンラインで参加しました。

第1講は「所有者不明土地を巡る一群の法律の活用」がテーマで、所有者不明土地を巡る一群の法律の全体像を通して、所有者不明土地問題とその解決方法についての内容でした。

所有者不明土地問題の解決の一環として、相続登記が義務化されます。

「不動産を取得した相続人に対し、その取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をすることを義務付ける」(過料の罰則あり)

相続人間で揉めていて遺産分割がまとまらないケースなど、3年以内に登記が出来ないケースもあるのでは?と思っていましたが、そのような場合には、「相続人申告登記」という新しい制度で対応するようです。相続人が登記名義人の法定相続人である旨を法務局に申し出る手続きをとればいいようです。

相続登記義務化の他に「住所変更登記」も義務化されます。

今までは、売買などの所有権移転、担保権の設定や抹消登記などをする際に住所変更登記をしていたケースが多く、お客様にも積極的には勧めていなかったと思いますが、今後はその都度行う必要があります。これについては、他の公的機関から取得した情報に基づき、登記官が職権で変更登記をする新たな制度も導入予定とのこと。他の公的機関(市区町村など)から情報を取得するには、ネットワークの整備が必要なので、住所変更登記の義務化は5年くらい先になるようです。

第2講は「民法・不動産登記法改正」がテーマで、2年後に施行される財産管理分野及び相続土地国庫帰属法の内容でした。

共有者の中に所在不明者がいる場合の対処方法として

①共有物の変更行為について、裁判所の関与のもと、所在不明者を除外して行うことが可能になる

②不動産が共有されている場合に、裁判所の関与のもと、所在不明者の共有持分を他の共有者に取得させることが可能になる(なお、遺産共有の解消手段としてこの手続きを利用する場合には、相続開始から10年経過していることが必要)

③裁判所の関与のもと、所在不明者以外の共有者全員が特定の者に対して持分を全部譲渡することを停止条件として所在不明者の共有持分を当該特定の者に譲渡することが可能になる、つまり、共有者の中に所在不明者がいても売買などの譲渡が可能になるわけです。

新設される「相続土地国庫帰属法」について。

不動産を相続したものの「負動産」となってしまい市に寄付したいけど、取り合ってもらえないという相談もたまにあります。この制度で土地の所有権の放棄が認められる可能性も出来ました。但し、承認要件は厳格で、安易に使うのではなく、色々やり尽くしたがどうしようもなく、最終手段として検討するべきだというお話でした。また、この制度は無料ではなく「負担金」というものが発生します。今後の運用が気になるところです。



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