気楽に山歩き

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『庭仕事の愉しみ』 ヘルマン・ヘッセ著 (草思社)

2017年06月30日 | 
『庭仕事の愉しみ』 ヘルマン・ヘッセ著 :岡田朝雄訳(草思社)

ヘッセといえば『車輪の下』ですが、忘れました^^;

この本は若いころ買って、長らく我が家の本棚にあった本。

エッセイや詩、手紙、童話など盛り込まれた内容な為、いつでも中断できるので読んでは放り出しを繰り返してました(^-^;

庭いじりをするたびに開いたりしてましたが、若いときには退屈な内容だったと改めて思いました(^^ゞ

便利な生活を望まず、花や昆虫、生き物がいる自然の中での生活を好み、ヘッセにとっては庭仕事が瞑想の世界なんですね。

私にとっての庭仕事は自分が無になる時間かな、なにも考えないですもん・・・っていつも?^^;

いえいえそんなことありませんって!^^;



草花を愛おしむ気持ちがよく伝わってくる本です。

草花からはいろいろな思いを引き出されますよね。

我が家の庭は狭いのですが、山に行くと、より感受性が研ぎ澄まされるというか、野山の花も自然全体が新鮮で心がウキウキします。

ただ見て喜び、楽しみ、励まされてまた前に進む、そんな元気を貰えます。

大抵は一年の周期で葉が萌え花を咲かせ実を結びまた冷たく寒い冬の間を土の中、あるいはそのままジッと過ごし、そしてまた驚くほど正確に芽を出して咲くのですから凄いですよね。

人間はいろいろな意味で学習しなければ一人前にはなりませんけど、そんな理屈無しで咲く姿にいつも感心させられます。


木が伐り倒されたりする姿に自分を重ね、どんなに切り刻まれても「私の本質は破壊し得ない」、「我慢強く新しい葉を燃え出させ」、「どんな苦しみにも抵抗して」「この狂った世界に恋し続けている」という個所などいいなと思います(刈り込まれた柏の木:より)。

柏の木自体がまさにそういう木で、枯れても葉がいつまでもしがみついているんですけどね^^; 人によっては潔くない木とも言われていますが、お蔭で山では冬の枯れ木の中でも目立ちます。

他にも人間の生き方から老いて向かう先のことなども美しい旋律で書かれています。

私はいつもきれいに咲いているかのような造花が好きでは無くて、家にはあまり飾らない方ですが、生花の枯れていく様子も又寂しい思いをします。ところがヘッセは枯れゆく姿もまた美しく華麗で愛すべきものと書いているのですね。一生懸命生きた命を愛おしむ気持ちが優しいです。



印象に残った詩のひとつ(短かったので引用)

「花に水をやりながら

夏がしぼんでしまう前に もう一度
庭の手入れをしよう
花に水をやろう 花はもうつかれている
花は間もなく枯れる もしかしたら明日にも。

世界がまたしても狂気になり
大砲がとどろく前に もう一度
いくつかの美しいものを見て楽しみ
それらに歌を捧げよう。」




ご存知の方が多いと思いますが
ヘルマン・ヘッセはドイツの詩人、作家。
1946年、ノーベル文学賞受賞
(1877-1962年)

第一次、二次世界大戦の時代に生きていますから大砲とか出てきますけど、戦争を知らない世代が圧倒時に多くなった今の日本が今またその脅威に晒されていますね。
世界にはまだ戦争している国がいくつもあり、その巻き添えに遭っている国も増えるばかり・・・
戦争に限らず喧騒と不安はついて回りますが、「草や樹木は変わりなく成長しています」そして「人間は芸術の助けをかりてそこかしこに、神々しいものへ通じる一つの扉をあけておくでしょう」など、心に響く言葉がいくつか見つかると思います。

早く安心して暮らせるようになって欲しいですね。



余談ですが、ヘッセの顔、私の祖父に似てる気がします(^^ゞ
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