気楽に山歩き

山歩きもHPも気楽に楽しむ日々を綴ります。話題は主に山歩き関連です。

『羊と鋼の森』 宮下奈都著 (文藝春秋)

2017年01月16日 | 
昨年の本屋大賞に選ばれた本。

北海道の山奥に育った感性と、調律師のピアノの音色が結びつくという偶然の出会いからピアノの調律師を目指し、成長していくストーリー。

ピアノの調律師のお話というのは独特かなとか、音楽関係の人には読まれるのかなとか思いつつ読んでみました。

さすが本屋大賞、本屋さん推薦の本だけあって、一般向けでもあり、読みやすかったです。

人は迷いながら生きている、でも意味が無い事じゃないと、改めて思いました。

生まれ育った環境は成長に大きく影響すると思いますが、意識していなかった潜在的な意識がある時ふと引き出される時ってありますよね。

そんなふとした事が人生の、ある時は指針であったりするのかもしれません。

山とか森とか、何もない自然の中に子供の頃培われた匂い、音、風景などが呼び覚まされて、生きている糧になっているなぁと思うことあります。

ピュアな気持ちは年と忙しさに紛れてしまいましたが、山に行くと少し取り戻せた気になるのは人間の素の姿なのでしょうか。

そういうのがあるからまた前に進む元気が出てくるわけで、人間の生きるエネルギーは食料など即、身になる形のあるものだけではないわけです。

このストーリーの場合、目標はピアノの調律師になることですけど、形のないもの(音やイメージなど)を形にしていくという難しい仕事です。

これは調律師に限らない事かもしれないですが、それには想像力も必要でしょうけど知らぬ間に身に着いた感性や経験値が生きてくるようですね。

主人公の外村君は素朴で、周りの人からいろいろな事を吸収していく姿は好感がもてます。

ピアノを弾いたこともなく、調律のことを知らなかった17歳の時に、素晴らしい調律師に出会って進路が決まるというのは偶然かつ幸運なことだと思います。

その目標に向かって、迷いつつ、悩みつつ、苦しみつつ、逃げずに真摯に向き合うって、とても幸せな事ですね。

果たして現代、どれだけの子が学生のうちに進路を見極められているものか、住環境が変わってきていますから、孫たちの行く末が心配でもあります^^;

外村君のおばあちゃんの、孫を思う言葉、信じる言葉には、孫の立場としても祖母の立場としても、印象に残りました。



我が家の約35年前のピアノ(アップライト)


今年からマゴタンが習い始め、ずっとしていなかった調律を頼んでいる所です。
20年ぶりくらいですから調律師さん大変だろうなぁ・・・
この本読んだ人だろうか?ちょっと興味あったりします(^^ゞ




インレッドさん、薦めていただきありがとうございました。
心に響くとても良い本でした。
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2 コメント

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Unknown (インレッド)
2017-01-19 09:41:21
読みましたか、
さすがに最近一番読まれている本だけありますね。
私は音楽が好きで毎日聞いていますが、特にピアノ・ヴァ
イオリンの曲が好きですから多変興味があり面白い本
でした。図書館で借りれば1年は待たないと借りられない
ようです。
お宅のマゴタンズもピアノ習い始めたようで、楽しみですね。
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インレッドさん (sanae)
2017-01-19 21:45:40
インレッドさんは絵画、詩歌、音楽、いろいろな分野に精通してらして驚かされるばかりです。
お蔭でこの本にも巡り合うことができました。
図書館に予約したら2000人以上待ちで、何年待つことやらな状況、人気のほどが分かりました。
眠っていた我が家のピアノですが、マゴタンが起こしてくれました。
調律はこれから来てくれることになっているようですが、大変なことでしょう(^^ゞ
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