【映画の感想文】
2.『アナと雪の女王』(原題:Frozen)2013年アメリカ合衆国。
ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオズ製作。
監督:クリス・バック、ジェニファー・リー。
製作:ピーター・デル・ヴェッチョ、ジョン・ラセター 。
*
誰でも尖った何かを持っていますよね。
その尖った部分というものは、ある角度から見ればとても優れた才能であり、また、違った角度から見れば、とてもやっかいなものだったりします。
いつの頃からか、その尖った部分が人を傷付けるものだと分かって、「抑えなきゃ」、って思うようになります。
尖ったところも自分の一部だから、抑えられません。「でも抑えなきゃ。」人を傷付ける以上に自分を傷付けていることに気付かず、悩み続けます。
**
ある日、『ありのままで良いんだよ』という心の声が世界を変えてくれます。
それまで自分を押さえ付けていた力が強ければ強いほど、『ありのままでいいんだ。』という言葉の持つ解放感は鮮烈なものとなります。
***
でも、解放感に浸るだけでは、『ありのままで良いんだ。』という言葉は、『孤独でも良いんだ。』ということでしかありません。
解放感に浸っている心は、『孤独で良いんだ。』という言葉がどれだけ悲しく、人を傷付けるものか、やはり気付くことができません。
人を傷付けたくないという優しい心が引き起こす悲劇の連鎖はいつまでも続きます。
****
この映画の中で妹は、孤独の罠にはまってしまった姉を何の迷いもなく助けにいきます。そして妹と関わりを持った仲間達も危険を顧みず妹と行動を共にします。
物語の最後に姉は、妹の心に応え、人々の輪の中に戻ります。
抑圧でも、孤独でもない。人の輪の中にいながら、ありのままでいてほしい。そう思ってくれる誰かが...。自分を顧みず、孤独の闇から引き戻そうとしてくれる誰かが...。
そんな誰かがいてくれたら...。
たくさんいてくれたら、世界はもっと輝いていることでしょう。
以上が映画『アナと雪の女王』の解説と感想です。
*****
姉(エルサ)が魔法で氷の城を築く映像の素晴らしさは言い尽くせませんが、みんなが喜ぶように広場をスケートリンクに変えるラストも素敵なシーンです。
※※蛇足※※
『雪だるまつくろう』という可愛らしい歌にのせたエルサの孤独と絶望の描写があまりにも切ないだけに、『Let It Go~ありのままで~』が流れる場面での解放感が鮮烈に感じられます。
映画史に残るだろう映像と音楽の素晴らしさと共に、ここにカタルシス(浄化)を感じる人が多いのだと思います。(YOUTUBEで『Let it go(英語版)』を子供たちと聞いていたら、4才の息子が涙目になっていました。「カンドウした。」そうです。息子は一切英語を理解しませんが。)
抑圧からの解放を描くこの場面の印象が強すぎるために、もう一つのテーマである、孤独からの解放(または、抑圧か孤独かという二者択一からの解放)を描いている後半の印象が薄くなってしまっているのかもしれません。
でも、人々がこの映画に共感を寄せているのは、後半のテーマがあるからだと思います。
人々の輪の中で自分らしく生きることはとても難しく、誰もが悩みを抱えている重たいテーマです。そのテーマに対し、この映画は明確な答えを与えてくれます。
姉妹愛を描いてはいますが、姉妹や恋人ではなくても誰か一人でも自分を顧みず自分を思ってくれる人がいれば、また逆に誰かに対してそう思えれば、人々の中で自分らしく生きていける、ということがこの映画のテーマだと思います。
※※蛇足2※※
私の理解では、カタルシスは、感情移入によって登場人物の激しい感情の波を自分のものとして感じることができることだと思っています。そして激しい感情の波を経ることで観客の心が浄化されます。
そんなにたくさん映画を見ている訳ではありませんが、ここ数年映画を見て不満に思うのは、カタルシス(浄化)を感じさせてくれる映画が少ないことです。「で、誰に感情移入すればいいんだ。」と、映画館で切ない思いをすることがしばしばあります。
この作品、特に『Let It Go~ありのままで~』が流れる場面で、久々にカタルシスを感じることができました。
コンピュータグラフィックスアニメーションの技術もとても素晴らしくなっています。私は『ファインディング・ニモ』にとても感動したのですが、その時よりもとても進化している感じがします。今回特に洋服の質感が目につきました。その質感がキャラクターのリアリティを出すのに大きく貢献していると思います。(もちろん氷の城を創る場面の壮大な映像美にも何度も感動しました。)
音楽も良いですし、色々な点で語りつくせない作品です。
2.『アナと雪の女王』(原題:Frozen)2013年アメリカ合衆国。
ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオズ製作。
監督:クリス・バック、ジェニファー・リー。
製作:ピーター・デル・ヴェッチョ、ジョン・ラセター 。
*
誰でも尖った何かを持っていますよね。
その尖った部分というものは、ある角度から見ればとても優れた才能であり、また、違った角度から見れば、とてもやっかいなものだったりします。
いつの頃からか、その尖った部分が人を傷付けるものだと分かって、「抑えなきゃ」、って思うようになります。
尖ったところも自分の一部だから、抑えられません。「でも抑えなきゃ。」人を傷付ける以上に自分を傷付けていることに気付かず、悩み続けます。
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ある日、『ありのままで良いんだよ』という心の声が世界を変えてくれます。
それまで自分を押さえ付けていた力が強ければ強いほど、『ありのままでいいんだ。』という言葉の持つ解放感は鮮烈なものとなります。
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でも、解放感に浸るだけでは、『ありのままで良いんだ。』という言葉は、『孤独でも良いんだ。』ということでしかありません。
解放感に浸っている心は、『孤独で良いんだ。』という言葉がどれだけ悲しく、人を傷付けるものか、やはり気付くことができません。
人を傷付けたくないという優しい心が引き起こす悲劇の連鎖はいつまでも続きます。
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この映画の中で妹は、孤独の罠にはまってしまった姉を何の迷いもなく助けにいきます。そして妹と関わりを持った仲間達も危険を顧みず妹と行動を共にします。
物語の最後に姉は、妹の心に応え、人々の輪の中に戻ります。
抑圧でも、孤独でもない。人の輪の中にいながら、ありのままでいてほしい。そう思ってくれる誰かが...。自分を顧みず、孤独の闇から引き戻そうとしてくれる誰かが...。
そんな誰かがいてくれたら...。
たくさんいてくれたら、世界はもっと輝いていることでしょう。
以上が映画『アナと雪の女王』の解説と感想です。
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姉(エルサ)が魔法で氷の城を築く映像の素晴らしさは言い尽くせませんが、みんなが喜ぶように広場をスケートリンクに変えるラストも素敵なシーンです。
※※蛇足※※
『雪だるまつくろう』という可愛らしい歌にのせたエルサの孤独と絶望の描写があまりにも切ないだけに、『Let It Go~ありのままで~』が流れる場面での解放感が鮮烈に感じられます。
映画史に残るだろう映像と音楽の素晴らしさと共に、ここにカタルシス(浄化)を感じる人が多いのだと思います。(YOUTUBEで『Let it go(英語版)』を子供たちと聞いていたら、4才の息子が涙目になっていました。「カンドウした。」そうです。息子は一切英語を理解しませんが。)
抑圧からの解放を描くこの場面の印象が強すぎるために、もう一つのテーマである、孤独からの解放(または、抑圧か孤独かという二者択一からの解放)を描いている後半の印象が薄くなってしまっているのかもしれません。
でも、人々がこの映画に共感を寄せているのは、後半のテーマがあるからだと思います。
人々の輪の中で自分らしく生きることはとても難しく、誰もが悩みを抱えている重たいテーマです。そのテーマに対し、この映画は明確な答えを与えてくれます。
姉妹愛を描いてはいますが、姉妹や恋人ではなくても誰か一人でも自分を顧みず自分を思ってくれる人がいれば、また逆に誰かに対してそう思えれば、人々の中で自分らしく生きていける、ということがこの映画のテーマだと思います。
※※蛇足2※※
私の理解では、カタルシスは、感情移入によって登場人物の激しい感情の波を自分のものとして感じることができることだと思っています。そして激しい感情の波を経ることで観客の心が浄化されます。
そんなにたくさん映画を見ている訳ではありませんが、ここ数年映画を見て不満に思うのは、カタルシス(浄化)を感じさせてくれる映画が少ないことです。「で、誰に感情移入すればいいんだ。」と、映画館で切ない思いをすることがしばしばあります。
この作品、特に『Let It Go~ありのままで~』が流れる場面で、久々にカタルシスを感じることができました。
コンピュータグラフィックスアニメーションの技術もとても素晴らしくなっています。私は『ファインディング・ニモ』にとても感動したのですが、その時よりもとても進化している感じがします。今回特に洋服の質感が目につきました。その質感がキャラクターのリアリティを出すのに大きく貢献していると思います。(もちろん氷の城を創る場面の壮大な映像美にも何度も感動しました。)
音楽も良いですし、色々な点で語りつくせない作品です。