『すずめの戸締り』を見ました。
神様が世界を守りたいのだけれど、
日本の神様は全能ではないので、人間の力を借りたくて、
手伝ってくれる人を、その資格があるか試していく、
というお話です。
(試験問題)
1.多くの人を災害に巻き込んでも平気でいられるか、
2.自分を犠牲にして多くの人を救う覚悟はあるか、
3.自分の大切な人を多くの人の命のために犠牲にできるか、
4.自分が行(おこな)ってしまった取返しのつかないことを
償(つぐな)うことができるか、
5.・・・・
6.・・・・
次から次へ出されてくる資格試験の問題に対し、
主人公達は、その答えを行動で表していきます。
試験問題は、他にもいくつかあります。
正解のある学校の試験と違い、正解がない問題に答えを示しながら、
最後に神様の信頼を得ることができます。
そして、神様と人間の共同作業により、困難を乗り越えます。
少数の人を犠牲にして多数の人を助けることが、
倫理的に正しいのか、という問題を、
トロッコ問題と呼んで、一時期話題になりました。
新海誠監督は、監督なりのトロッコ問題への
解答を示しているんだと思います。
(似たような指摘はすでにネットに出てますね。)
トロッコ問題はともかく、新海誠監督が
陸前高田の看護師さんのブログを読んでることが、分かりました。
災害派遣で東日本大震災の被災地の状況を伝えてくれた看護師さんのブログです。
ブログの記事でとりわけ印象深いのが、避難場所での少女との出会いを描いた
『瑠奈ちゃん』です。
映画の主人公「すずめ」の小さいころに瑠奈ちゃんが重なり、
涙が止まりませんでした。
[JKTS 陸前高田の看護師さんのブログ 瑠奈ちゃん]
https://blog.goo.ne.jp/flower-wing/e/d4a8d7abe8329331acca5f438a03c492
このブログの記事は永遠に残してほしいと思っていたので、
この映画をきっかけに保存の動きがあるといいな。
そう思いました。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『すずめの戸締まり』で提示されているトロッコ問題は、
メインテーマではないような気もしますが、
一時期話題になったので、私の解答を書きます。
トロッコ問題というのは、
1.暴走機関車(トロッコ)の前に5人の人が動けない状態で線路に立っている。
2.私は機関車と5人の間にある機関車の軌道を変更するレバーを握っている。
3.軌道を変更すれば、5人は助かる。
4.でも、変更した軌道には一人の人が立っているので、その一人が犠牲になる。
5.さあ、どうしよう、
というものです。
私の答えは、
1. 現実はこんなに単純な条件設定のみということは絶対ないので、
2. ぎりぎりまで6人全員が助かる方法を探して、
3.それを行う。
4.絶対あきらめない。
というものです。
トロッコ問題のような単純化された議論が必要になる時というのは、
事後に言い訳をする時だけです。
これから起こることに言い訳は必要ありません。
1.目を凝らして、
2.いろいろやってみて、
3.強い気持ちで6人全員助ける。
これが正解です。
隠れた条件を付加してはいけないというルールがあるそうなので、
与えられた条件だけでも無限の可能性がある
ということを教えてくれる動画があります。
私の解答がダメならこれが最終解答です。
[ツイッター B作@Btoretsukuru 『トロッコ問題』で全員助かる方法 こんな答えはどうかな? #鉄道模型 #Nゲージ]
https://twitter.com/Btoretsukuru/status/1514889606847639552?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1514889606847639552%7Ctwgr%5E0315b558cb045c5cfa0bcb21f9b75fecc8896187%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fpublish.twitter.com%2F%3Fquery%3Dhttps3A2F2Ftwitter.com2FBtoretsukuru2Fstatus2F1514889606847639552widget%3DTweet
単純化した議論は隠れた意図がある問題設定です。
目の前の現実世界はどんな状況でも無限の可能性と正解があります。
『すずめの戸締まり』をトロッコ問題の舞台設定で考えると、
まず、何かの目的を持って機関車を暴走させ、
五人の犠牲者を出そうとする人(?)が現れます。
(後でそう装っているだけだったことが分かりますが)
その人は心の痛みを感じないようなそぶりを見せます。
現実の歴史では、このような人がたくさん現れていますね。
とても怒りを感じます。
次に、自分の体や人生、そして命までも犠牲にして、
多くの他人を助けようとする人が現れます。
トロッコ問題で言えば、暴走機関車に危険を冒して飛び乗り、
ブレーキを掛けたり、体当たりして機関車を止めたりする人です。
いろいろやってみて最後どうしようもなく、
軌道変更のレバーを引き、数の少ない方を犠牲にして、
多い方を助けるという選択をする人が描かれます。
「しかたがなかった」
という言い訳の理屈は無限に作れますが、
その人はそれを良しとはしません。
自分の選択に責任を感じ、
その選択の償いを人生掛けて行(おこな)っていこうとします。
自分の行為の結果に責任を取る、と言い換えることができます。
トロッコ問題の舞台で考えれば、
軌道をそのままにするのか、変更するのか、
どちらを選んだとしても、選ぶという行為よりも、
その選択がもたらす結果に責任を取ることが重要だということだと思います。
蘇る方法を考えだすのか、
遺族に一生かけて償うのか、
出家するのか、
切腹するのか、
償い方も無限にあると思います。
舞台設定はだいぶ異なりますが、
私には『すずめの戸締まり』がそんな風に見えました。
#すずめの戸締りのトロッコ問題 終わりです。
自動運転技術の開発上トロッコ問題が重要だという人がいますが、
本当に重要でしょうか?
トロッコ問題のような状況になった時点で
自爆する自爆装置を開発すれば良いのです。
いかに周りに迷惑を掛けずに自爆できるかの技術を磨けば良いと思います。
乗っている人の命を助ける方法はその次です。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
すずめの戸締りについてのツイートで、
トロッコ問題は、メインテーマではないと書きました。
それではメインテーマはなんでしょう?
映画の中で、主人公が危険を顧みず、
多くの人を助けようとする描写が印象的でした。
監督は、危険を冒すことを喜んでいるような表情を描いています。
他人のために命を投げ出すことは、貴い行為ですが、
その行為と天秤にかけるもう一方の自分の命を軽く見ているとすると、
とてもつらい二重の悲劇です。
何かのきっかけで、あるいは、何かが欠けていることで、
自分が生きることに意味がないと思ってしまう人は
たくさんいるのではないでしょうか。
意味がないとまでは思わなくても、自分を大切に思えず、
言葉にできない不安を抱えて生きている人もいると思います。
新海誠監督は、そんな人々に
あなたが生きていることはとても大切なことで、
あなたが知らない多くの人が
あなたのためにがんばってきたし、
あなたが生きていくことを応援しているんだよ。
だから、あなたも自分が生きていくことを
大切にしてください。
≪届け≫
これがメインテーマです。
「そんな人々」と書きましたが、
実は、実在の女の子に向けたとてもプライベートなメッセージなんです。
大きな悲しみを抱えたその子の幸せを、
日本全国の心ある人たちが願っていて、
その一人として、監督は願いを映画に託しました。
映画には、全国いたるところで、
地表から湧き上がる黄色い紐のようなものが描かれています。
宮崎駿監督の映画『風の谷のナウシカ』でナウシカを蘇らせる王蟲の触手のようです。
色々な解説動画では、この紐のようなものを、悪い気や怨念と解釈しているようです。
この黄色い紐は、たとえ名前や顔も知らなくても、
何かの縁(地縁も含め)で、結びついている人たちが、
頑張っている人を応援してくれている、
頑張ってなくても、同じ仲間として、
大切に思ってくれている、
そんな気持ちを形にしたものなのではないでしょうか?
思い込みの激しい解釈にしか見えないと思いますが、
私には、こうとしか思えません。
おしまいです。
映画1回だけ見て、小説版も読んでいない私ですが...
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[追伸]
『すずめの戸締まり』は『言の葉の庭』の返歌にあたるんですね。
『言の葉の庭』は、
目の前から世界との結びつきが消えてしまった女性と
彼女が世界とつながるただ一つの細い糸となる青年のお話です。
その返歌である『すずめの戸締まり』は、
目の前から世界との結びつきが消えてしまっても、目に見えないところで、
暖かいまなざしがたくさん注がれていることを教えてくれるお話です。
神様が世界を守りたいのだけれど、
日本の神様は全能ではないので、人間の力を借りたくて、
手伝ってくれる人を、その資格があるか試していく、
というお話です。
(試験問題)
1.多くの人を災害に巻き込んでも平気でいられるか、
2.自分を犠牲にして多くの人を救う覚悟はあるか、
3.自分の大切な人を多くの人の命のために犠牲にできるか、
4.自分が行(おこな)ってしまった取返しのつかないことを
償(つぐな)うことができるか、
5.・・・・
6.・・・・
次から次へ出されてくる資格試験の問題に対し、
主人公達は、その答えを行動で表していきます。
試験問題は、他にもいくつかあります。
正解のある学校の試験と違い、正解がない問題に答えを示しながら、
最後に神様の信頼を得ることができます。
そして、神様と人間の共同作業により、困難を乗り越えます。
少数の人を犠牲にして多数の人を助けることが、
倫理的に正しいのか、という問題を、
トロッコ問題と呼んで、一時期話題になりました。
新海誠監督は、監督なりのトロッコ問題への
解答を示しているんだと思います。
(似たような指摘はすでにネットに出てますね。)
トロッコ問題はともかく、新海誠監督が
陸前高田の看護師さんのブログを読んでることが、分かりました。
災害派遣で東日本大震災の被災地の状況を伝えてくれた看護師さんのブログです。
ブログの記事でとりわけ印象深いのが、避難場所での少女との出会いを描いた
『瑠奈ちゃん』です。
映画の主人公「すずめ」の小さいころに瑠奈ちゃんが重なり、
涙が止まりませんでした。
[JKTS 陸前高田の看護師さんのブログ 瑠奈ちゃん]
https://blog.goo.ne.jp/flower-wing/e/d4a8d7abe8329331acca5f438a03c492
このブログの記事は永遠に残してほしいと思っていたので、
この映画をきっかけに保存の動きがあるといいな。
そう思いました。
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『すずめの戸締まり』で提示されているトロッコ問題は、
メインテーマではないような気もしますが、
一時期話題になったので、私の解答を書きます。
トロッコ問題というのは、
1.暴走機関車(トロッコ)の前に5人の人が動けない状態で線路に立っている。
2.私は機関車と5人の間にある機関車の軌道を変更するレバーを握っている。
3.軌道を変更すれば、5人は助かる。
4.でも、変更した軌道には一人の人が立っているので、その一人が犠牲になる。
5.さあ、どうしよう、
というものです。
私の答えは、
1. 現実はこんなに単純な条件設定のみということは絶対ないので、
2. ぎりぎりまで6人全員が助かる方法を探して、
3.それを行う。
4.絶対あきらめない。
というものです。
トロッコ問題のような単純化された議論が必要になる時というのは、
事後に言い訳をする時だけです。
これから起こることに言い訳は必要ありません。
1.目を凝らして、
2.いろいろやってみて、
3.強い気持ちで6人全員助ける。
これが正解です。
隠れた条件を付加してはいけないというルールがあるそうなので、
与えられた条件だけでも無限の可能性がある
ということを教えてくれる動画があります。
私の解答がダメならこれが最終解答です。
[ツイッター B作@Btoretsukuru 『トロッコ問題』で全員助かる方法 こんな答えはどうかな? #鉄道模型 #Nゲージ]
https://twitter.com/Btoretsukuru/status/1514889606847639552?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1514889606847639552%7Ctwgr%5E0315b558cb045c5cfa0bcb21f9b75fecc8896187%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fpublish.twitter.com%2F%3Fquery%3Dhttps3A2F2Ftwitter.com2FBtoretsukuru2Fstatus2F1514889606847639552widget%3DTweet
単純化した議論は隠れた意図がある問題設定です。
目の前の現実世界はどんな状況でも無限の可能性と正解があります。
『すずめの戸締まり』をトロッコ問題の舞台設定で考えると、
まず、何かの目的を持って機関車を暴走させ、
五人の犠牲者を出そうとする人(?)が現れます。
(後でそう装っているだけだったことが分かりますが)
その人は心の痛みを感じないようなそぶりを見せます。
現実の歴史では、このような人がたくさん現れていますね。
とても怒りを感じます。
次に、自分の体や人生、そして命までも犠牲にして、
多くの他人を助けようとする人が現れます。
トロッコ問題で言えば、暴走機関車に危険を冒して飛び乗り、
ブレーキを掛けたり、体当たりして機関車を止めたりする人です。
いろいろやってみて最後どうしようもなく、
軌道変更のレバーを引き、数の少ない方を犠牲にして、
多い方を助けるという選択をする人が描かれます。
「しかたがなかった」
という言い訳の理屈は無限に作れますが、
その人はそれを良しとはしません。
自分の選択に責任を感じ、
その選択の償いを人生掛けて行(おこな)っていこうとします。
自分の行為の結果に責任を取る、と言い換えることができます。
トロッコ問題の舞台で考えれば、
軌道をそのままにするのか、変更するのか、
どちらを選んだとしても、選ぶという行為よりも、
その選択がもたらす結果に責任を取ることが重要だということだと思います。
蘇る方法を考えだすのか、
遺族に一生かけて償うのか、
出家するのか、
切腹するのか、
償い方も無限にあると思います。
舞台設定はだいぶ異なりますが、
私には『すずめの戸締まり』がそんな風に見えました。
#すずめの戸締りのトロッコ問題 終わりです。
自動運転技術の開発上トロッコ問題が重要だという人がいますが、
本当に重要でしょうか?
トロッコ問題のような状況になった時点で
自爆する自爆装置を開発すれば良いのです。
いかに周りに迷惑を掛けずに自爆できるかの技術を磨けば良いと思います。
乗っている人の命を助ける方法はその次です。
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すずめの戸締りについてのツイートで、
トロッコ問題は、メインテーマではないと書きました。
それではメインテーマはなんでしょう?
映画の中で、主人公が危険を顧みず、
多くの人を助けようとする描写が印象的でした。
監督は、危険を冒すことを喜んでいるような表情を描いています。
他人のために命を投げ出すことは、貴い行為ですが、
その行為と天秤にかけるもう一方の自分の命を軽く見ているとすると、
とてもつらい二重の悲劇です。
何かのきっかけで、あるいは、何かが欠けていることで、
自分が生きることに意味がないと思ってしまう人は
たくさんいるのではないでしょうか。
意味がないとまでは思わなくても、自分を大切に思えず、
言葉にできない不安を抱えて生きている人もいると思います。
新海誠監督は、そんな人々に
あなたが生きていることはとても大切なことで、
あなたが知らない多くの人が
あなたのためにがんばってきたし、
あなたが生きていくことを応援しているんだよ。
だから、あなたも自分が生きていくことを
大切にしてください。
≪届け≫
これがメインテーマです。
「そんな人々」と書きましたが、
実は、実在の女の子に向けたとてもプライベートなメッセージなんです。
大きな悲しみを抱えたその子の幸せを、
日本全国の心ある人たちが願っていて、
その一人として、監督は願いを映画に託しました。
映画には、全国いたるところで、
地表から湧き上がる黄色い紐のようなものが描かれています。
宮崎駿監督の映画『風の谷のナウシカ』でナウシカを蘇らせる王蟲の触手のようです。
色々な解説動画では、この紐のようなものを、悪い気や怨念と解釈しているようです。
この黄色い紐は、たとえ名前や顔も知らなくても、
何かの縁(地縁も含め)で、結びついている人たちが、
頑張っている人を応援してくれている、
頑張ってなくても、同じ仲間として、
大切に思ってくれている、
そんな気持ちを形にしたものなのではないでしょうか?
思い込みの激しい解釈にしか見えないと思いますが、
私には、こうとしか思えません。
おしまいです。
映画1回だけ見て、小説版も読んでいない私ですが...
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[追伸]
『すずめの戸締まり』は『言の葉の庭』の返歌にあたるんですね。
『言の葉の庭』は、
目の前から世界との結びつきが消えてしまった女性と
彼女が世界とつながるただ一つの細い糸となる青年のお話です。
その返歌である『すずめの戸締まり』は、
目の前から世界との結びつきが消えてしまっても、目に見えないところで、
暖かいまなざしがたくさん注がれていることを教えてくれるお話です。